日帰り登山できる、長野県の燕岳(つばくろだけ)とは
長野県にある燕岳は長野県大町市と安曇野市にまたがる山。
全体が花崗岩で出来た大変ユニークな風景を見て、日帰りができる山として知られています。
燕岳は北アルプスの中でも有名で、日帰りでも利用できる山小屋の燕山荘と合戦小屋も非常に人気の小屋の一つ。
また、北アルプスを燕岳の山頂から見渡す事ができるなど、表銀座コースの見どころとして、日帰りだけではなく縦走登山の大事なポイントともなっています。
燕岳(つばくろだけ)は北アルプス登山の入門コース
北アルプスには様々な山が存在し、その多くが岩場であったり、山岳小説に出てくるような険しい山です。
3000m峰の山々を数多く有しているのも特徴。
また、北アルプスで有名な穂高岳や槍ヶ岳などは、どのコースでもしっかりと岩場を登らなくてはならない他、山中での宿泊も必要になります。
他にもコースが複雑だったり、道迷いの危険など、登山初心者が日帰りで行くことができない場所が多いのです。
ですが、燕岳は、標高がそこまで高くなく、岩登りの箇所も少なく、子どもでも日帰りができる上、道迷いの心配がないという特徴を持っています。
北アルプスの中では非常に登りやすく、日帰り登山の入門向けであると言えるでしょう。
燕岳は難しい道が無いので安全
初心者が日帰りで燕岳に登る場合、人気が高いのが中房温泉からのコースとなっています。
ここから日帰りで燕岳頂上を目指すと、北アルプスの他の山にあるようないくつもの分岐であったり、岩稜帯などがありません。
中房温泉から燕岳頂上までは整備された林道が続いているので、体力さえ整っていれば初心者でも燕岳山頂まで数時間でいたることができます。
日帰り登山としての達成感を味わいつつ、なおかつ難しい崖登りなどが無くひたすら登っていれば山頂に到着できる、安全な山であると言う事ができるでしょう。
女性でも簡単に日帰りで登ることができるので、燕岳に登った女性のブログも多く公開されています。
とくに、山頂近くにある燕山荘は、山好き女子のあこがれナンバーワンです。
燕岳の山頂までは5時間程で登れる
燕岳へ日帰りで登る場合には難しいコースはありません。
基本的に上高地側から入るか、中房温泉から合戦尾根をへて登るコースの2通りが存在します。
燕岳の合戦尾根は、北アルプスに数多くある尾根の中でも急登を有する尾根として知られており、山と高原地図の地図などにも北アルプス三大急登の文字が書かれているほどの急な登り坂です。
日帰り登山の下りでも同じコースを通るため、この急登が急な降り坂となります。
登山口からはまず5.5km、高さにして1260mを登らなければなりませんが、急登なため、一気に高度を稼ぐ事が可能。
途中には休憩用のベンチが置かれていて、日帰り登山初心者にもやさしくなっています。
第3ベンチからは、2km歩くと燕山荘に到着。
燕山荘に到着したあとは、急登はなく、なだらかな道を登っていくと、およそ40分ほどで燕岳の山頂です。
燕岳の標高
燕岳は標高2763mの山です。
日本百名山、日本二百名山に選ばれています。
3000mには届きませんが、その登りやすさ、また日帰りができたり、アクセスのしやすさなども含め、非常に挑戦する人が多い山です。
燕岳山頂や燕山荘から、また日帰り登山の最中に見える山の風景も大変見応えがあって人気です。
3000m峰を目指す練習として日帰りで登る、という目標として設定されることが多々あります。
燕岳の登山口へのアクセス
日帰り燕岳登山の際、アクセスする方法としてはマイカー、バス、タクシーの方法が存在します。
マイカーであれば、安曇野ICより国道147号経由でおよそ1時間で、燕岳への登山口の中房温泉に到着。
ただし、中房温泉までは山間部の道を走ることとなるので、対向車に注意することや、時期によっては残雪などにも注意が必要です。
バスは穂高駅からの便が出ていますが、日によって便数が異なり、1日6便、5便、1便と日によってその本数に異なりがあります。
前もって時刻表を確認しておきましょう。
日帰り燕岳登山の場合は朝一番のバスを利用するなど、時間にはしっかりと余裕を持ち、行動するようにしてください。
バスの運行は、2019年度は4月26日から11月4日までです。
穂高駅から中房温泉までは1700円です。
なお、穂高駅までは松本市から大糸線でおよ25分です。
タクシーで燕岳へ訪れるなら、穂高駅から中房温泉または燕岳登山口へ行けます。
安曇観光タクシーの料金であれば7600円、ジャンボタクシーであれば11600円で利用する事が可能です。
グループで燕岳日帰り登山をするときにはぴったりです。
燕岳の日帰り登山におすすめの時期と、あるといい持ち物
燕岳の日帰り登山におすすめの時期
燕岳の日帰り登山は雪のない時期に行われる事が通例です。
そのため、残雪期と積雪期は避ける事になります。
日帰りの時期としては7月上旬から10月上旬がおススメ。
ですが、7月の早い時期は年によっては残雪もあるため、日帰り登山の前にしっかりと山小屋や天候などの情報を集めて向かうようにしましょう。
この時期は夏山として楽しめるシーズン。
晩秋の頃になると、燕岳はかなり肌寒い時期も続くので、7月から9月までの時期が特におすすめです。
燕岳の日帰り登山におすすめの持ち物
燕岳への日帰り登山の持ち物は、軽登山をするときの服装、水分、行動食、ライトが必要となります。
夜間行動する事になった場合のことを考えると、暖かいお茶を入れられる魔法瓶があると便利。
燕岳への日帰り登山の荷物はスピードを重視し、常より軽めを心がけつつ、その中でもしっかりと緊急時の対策を怠らないようにすることも必要です。
また、腹持ちの良い行動食や、バテて疲れているときにでも食べやすい食料も持ち合わせていると、長時間行動する事ができます。
燕岳で日帰り登山するときの注意点
登山届を必ず出そう
北アルプスでは毎年必ず遭難者が多発します。
燕岳は初心者日帰り向け山と書きましたが、それでも実際に帰るまで何が起こるかわかりません。
下り道の険しい燕岳では、日帰り登山の下山中にバテてしまい、そのまま動けなくなるというケースも考えられます。
また、何かの際につまずいたりして、こけて動けなくなってしまった場合なども考えられますので、日帰りの場合でも必ず登山届を出すようにしましょう。
登山届を出すことで、救助する側の手間も減るのです。
燕岳登山口近くにポストが存在しますので、そちらを利用してください。
標高が上がると気温が下がるので防寒対策を
燕岳は夏山シーズンに最盛期を迎え、日帰りや縦走目当てで多くの登山者で賑わうことに。
麓の中房温泉は暑い・または少し涼しい程度なので、日帰り登山では油断をしがちですが、合戦小屋から上は森林限界を越えるため、かなり風が強くなります。
燕山荘から燕岳山頂にいたる道は稜線歩きとなるため、風が吹くとかなり寒く感じられる事でしょう。
燕岳山頂の温度は松本市からマイナス12度程度の気温だと言われている上、風が強いと余計に寒く感じられます。
山では100mで0.6度、また風が吹いた場合には1m/sにつき1度、体感温度が下がるもの。
日帰りであっても防寒はしっかりとしていき、燕岳に登るようにしましょう。
雨合羽や手袋なども忘れずに持ち歩く事が大切です。
地図を必ず確認してから登ろう
燕岳への日帰り登山には地図を持っていきましょう。
「山と高原地図」などの2万5000分の1の地図が、燕岳の一般的な地図として本屋やネットなどで販売されています。
燕岳は非常に簡単に登る事が出来る山で、山頂までは一直線となっていますが、日本三大急登の合戦尾根を経て山頂にいたるため、日帰りの場合は特に時間配分などが非常に重要です。
また、燕岳の地図がないと、終わりのない道を歩かされているような感覚になるため、日帰り登山のペースが大変に掴みづらい事からも、地図は持ち歩くことがおすすめ。
地図には燕岳各要所にあるベンチの位置をはじめとし、小屋の位置も記されているほか、周辺の施設、山小屋の電話番号なども記されています。
日帰りでのペース配分を決めることも出来ますし、また、到着が遅くなりそうな際は小屋に電話をすることも可能。
何かあった際でも、地図とコンパスを持っていれば、自ずと自分の位置を把握することもできるため、地図は燕岳日帰り登山に必須のアイテムであると言えるでしょう。
立ち入り禁止の場所には近づかない
燕岳は中部山岳国立公園に指定されており、立ち入り禁止の場所が多く存在します。
燕岳日帰り登山道から外れると美しい風景が見られるのも確かですが、ルールを守って日帰り登山をしましょう。
燕岳は森林限界を超えた場所まで行けるので、高山特有の固有種であったり、また、雷鳥などの鳥も生息しています。
高山植物の中には、枝が折れると育たなくなったりする種類もあるので、そういった場所には入らないようにしましょう。
また、燕岳の立ち入り禁止箇所にはこのような理由以外にも、実際に危ないから入ってはならない箇所も存在します。
立ち入り禁止となっているのにはしっかりと理由があるのです。
ルールをしっかりと守った上で、燕岳日帰り登山を楽しみましょう。
天候の確認は怠らない
燕岳日帰り登山をする上で最もチェックすべきは天気予報です。
燕岳の麓の街である松本市、および、大町や安曇野の天気予報が晴れだったとしても、燕岳は曇りであったり雨であるということは往々にしてあるもの。
山と都市部の天気は違うので、街中の天気のみで判断してはいけません。
特に曇り空の時などは余計に言えるでしょう。
また、燕岳の天気に関しては、晴れていたとしても風が強い日なども存在します。
風があまりにも強い日などであれば、稜線そのものが歩くことができない程になることもありますので、日帰り登山であっても注意が必要です。
計画を立てる時、燕岳の天気予報を確認してから登るようにしましょう。
天気が悪い時は、山は逃げないと割り切った上で、計画の変更、もしくは計画そのものを中止する事も日帰り登山をする上で大切です。
日帰り登山に人気の燕岳の混雑状況。駐車場は120台
燕岳の混雑状況
燕岳のハイシーズンは夏の暑い時期や紅葉の時期に集中します。
それ以外の日であれば燕岳の駐車場も比較的空いています。
お盆などの連休であったり、紅葉時期、3連休などは日帰りや縦走登山客で非常に混み合うため、駐車場の余裕がなくなることもあるので意識しましょう。
その場合は燕岳山頂付近の燕山荘および合戦小屋、また下の中房温泉も混雑します。
日帰り以外で登山を考えている方が必然的に増えてくることにもなりますし、その日数分駐車場は埋まります。
日帰り登山をする道には登山道での渋滞などが発生する事も。
出来るだけ早く行動を心がけましょう。
燕岳山頂までの道のりがいつもより時間がかかってしまうので、ゆったりと登山をしたい方は、そのような時期をずらす事も一つの策です。
朝は早めに行くのがおすすめ
日帰り登山をする上では朝は早めに行くことをお勧めします。
6時など、早朝であれば比較的駐車場が空いていて、自分の止めたい場所に車を駐車する事も可能です。
また、早朝に登山をする事で、夕方暗くなる前に下山できますし、いざという時にも余裕を持った行動をする事ができるでしょう。
更に、夏場であれば丁度午後2時くらいの時間帯が最も暑くなる時間帯です。
朝早くに稜線部分まで登ってしまう事によって、暑さでの体力の消耗も防ぐ事が出来ますし、蒸し暑い樹林帯を涼しい時間帯に通過する事が出来るのも早朝出発の利点と言えるでしょう。
登山口までの道のりはカーブが多いので早朝の運転に注意
中房温泉へ至る国道147号線はカーブが非常に多く、急峻な地形を切り開いた道です。
また、見通しも大変に悪く、先が見えないブラインドカーブが数多く存在します。
ライトをつけている車だけではなく、ライトをつけていない車も数多く、慣れた道だからとかなりの速度で飛ばしてくる車もいるため、注意が必要です。
日帰り登山に行くため早朝に走行する際には必ずライトをつけて、カーブ手前では減速しましょう。
ミラーで対向車が来ていないかを確認すること、対向車が来た場合は道を譲り合って気持ちよく通過することを心がけましょう。
事故が起きた場合、山あいにある道路ですので救助隊が到着するのに時間がかかります。
楽しい日帰り登山のために、山に入る前から安全に気を付けていく事が一番です。
燕岳の日帰り登山ルート①:登山口の中房温泉~合戦小屋
中房温泉登山相談所に寄ろう
中房温泉には登山相談所と呼ばれる施設があり、日帰り客や縦走者のために登山の案内を行なっています。
当日の登山道の状況や、中房温泉をはじめとした周囲の観光の案内、そしてあまりききたくはないでしょうが、遭難の情報など、周囲の情報を全て扱っていますので、日帰り登山の前に是非立ち寄ってみてください。
また、日帰り登山で大切な登山届を提出することも可能。
登山届の用紙を登山相談所で配布しています。
もちろん持参した物をこちらに投函しても構いません。
登山前にここでストレッチなどを行なったら、いよいよ日帰り登山の出発です。
登山口にはトイレがあるので利用しよう
燕岳日帰り登山道にはトイレが多くありません。
中房温泉登山口と合戦小屋、そして燕山荘にしか存在せず、道半ばには存在しません。
登山口のトイレは非常に清潔に手入れされています。
こちらでトイレを済ませてから日帰り登山を始めましょう。
トイレ以外で用を足することは、自然を破壊することにつながります。
普段からトイレが近くて心配という人は、日帰りでも携帯用のポータブルトイレをする用意などの配慮が必要となります。
また、トイレは利用する際の注意を見た上で利用するように心がけてください。
バイオトイレの場合、紙を流してはいけないなど、家のトイレとは異なったルールがあることもあり、注意が必要です。
気楽な日帰り登山でも、自然に寄り添う気持ちを持ちましょう。
始めは森林の中を進む
燕岳日帰り登山では、最初は森林限界を越えないため、森林の中をどんどんと進んでいくことに。
森林の道は大変綺麗に整備されています。
合戦小屋までは階段での登りが主で、ハイペースに標高を稼いでいくこととなります。
途中に難所は存在はしませんが、高山病にならないようにゆっくりしたペースで歩くことがおすすめ。
日帰り登山といえども焦りは禁物。
体調と相談しつつ登りましょう。
2時間ほど歩くと「合戦小屋まであと10分」の看板を見ることができるでしょう。
途中の4つの休憩用ベンチ
合戦尾根までの日帰り登山道には、地図にも記されていますが、休憩場所としてのベンチが4つほど設置されているので、それを目印にペース配分をしましょう。
第1ベンチは森林を少し抜けてひらけた場所にあり、合戦尾根ルート唯一の水場でもあります。
日帰り登山の最中に冷たい湧き水を飲むことができるのです。
これ以降は水場がないベンチが続きます。
最後のベンチは富士見ベンチと呼ばれ、晴れていると眺望が開けます。
日帰り登山での見どころの一つ。
このベンチから合戦小屋までは、およそ30分ほどで到着。
各ベンチの間隔は、およそ30分ごと。
ただし、道の歩きやすさがそれぞれのベンチ間で異なるので、あくまで目安と考えてください。
ベンチで休憩をとりつつ、森林浴を楽しみながら合戦小屋まで登っていきましょう。
燕岳の日帰り登山ルート②:合戦小屋~燕山荘
合戦小屋から燕山荘の間はおよそ90分。
段々と樹林帯を抜け出て、森林限界を超えた風景を楽しみながら歩くことができます。
燕岳山頂への日帰り登山道は、合戦小屋までの急登に比べると少し平坦な箇所も増えて、足への負担は少なくなるのです。
このあたりからは、風景は開けますが、反面樹林帯ではなくなります。
風を防いでくれる木々が亡くなるので、防寒対策をしましょう。
また、夏場以外でも直射日光がかなりきつくなるので、紫外線対策をしっかりしましょう。
1時間半、のんびりと空中散歩の気分で歩けば、燕岳頂上近くにある燕山荘にたどり着くことができます。
合戦小屋の名物のスイカ
燕岳の日帰り登山で利用できる合戦小屋には、様々な名物が存在しますが、その中でもスイカが有名です。
こちらは松本市波田町下原のスイカで、合戦小屋公式サイトにも案内されている燕岳登山の人気者。
大きなスイカをカットして出してくれます。
値段は800円と少々張りますが、それでもこのスイカの甘さとみずみずしさは絶品。
合戦尾根を登ってきて疲れた身体に、また、山頂からの日帰りの後に一切れ食べると、甘みと水分が五臓六腑にしみわたります。
販売開始は6月下旬頃。
合戦小屋の詳細(トイレ、軽食、売店について)
合戦小屋は燕岳中房温泉登山口から約4時間、燕山荘から90分のところにある、標高2350m地点にある山小屋です。
住所で言えば長野県松本市からほど近い、安曇野市に属しています。
清掃が行き届いたトイレがあり、また売店では、燕岳のシャツ、ピンバッジなどのグッズの購入が可能。
名物のスイカをはじめ、うどんなど、日帰り客でもいくつかの軽食を楽しむことができます。
合戦小屋では、高度純化のため、日帰り登山でもしっかりと体を休めることが必要。
北アルプスの登山ルートの中でも、日帰り登山者や縦走登山者に使いやすいといわれる小屋の一つです。
テント泊をすることができるのも特徴です。
が、テントは5張しか張れないため、あまり広くありません。
そのため、日帰りではなく縦走をする登山者は、次の燕山荘でテント泊をするのが通例となっています。
合戦小屋
住所:長野県安曇野市穂高有明中房国有林内
電話番号:090-1420-0008(燕山荘)
営業期間:4月下旬~11月下旬
URL:http://www.enzanso.co.jp/gassengoya/index.html
合戦尾根は北アルプス三大急登
日帰り登山で歩くことになる合戦尾根ルートは、北アルプスの一般ルートの中でも急な登りとなっています。
ここは何と、北アルプス三大急登の一つ。
燕岳までは、途中の鎖場も含め、およそ1287mの高低差があり、かなりの標高差になります。
気楽な日帰り登山ではありますが、鎖場では注意を払いましょう。
あと二つの北アルプス急登は烏帽子岳と剱岳の尾根です。
烏帽子岳は北アルプスの長野県と富山県の県境にある山です。
登山口からは1350m、また、七倉山荘からであれば1558mの標高差があり、裏銀座登山コースの代表的急登です。
烏帽子岳自体は標高が2628mと燕岳よりは低いものの、その尾根の長さは合戦尾根よりも長くなります。
また、剱岳の早月尾根は非常に有名な尾根で、驚くべきはその長さ。
なんと馬場島登山口から2238mもの尾根をひたすら登っていかねばなりません。
岩と雪の殿堂と呼ばれ、登山家の憧れでもある剱岳は、途中に難所もあるため、初心者向けのコースではありませんが、燕岳以外の尾根にも行けるように技術を磨き、この三大尾根に挑戦する、という目標を持つ登山者も大勢います。
合戦尾根からの見晴らし
燕岳の合戦尾根からは、山頂に近づくに連れて多くの山々を見ることができます。
朝方であれば朝焼けのモルゲンロートを稜線から眺められ、また夕方以降であれば、眼下に安曇野市街地の夜景も望むことができます。
日帰り登山では昼間の時間が多くなりますが、それでも広い青空の下に連なるアルプスの山々の絶景を見られます。
常念山脈の山々である大天井岳や蝶ヶ岳の他、遠くには登山家憧れの山である槍ヶ岳や穂高の勇姿をのぞむことも。
燕岳山頂近くの燕山荘までは山肌に隠れてしまう場所もありますが、背後には安曇野市街地、そして数々の高山植物や綺麗な青空を楽しみつつの日帰り登山ができます。
燕岳の日帰り登山ルート③:燕山荘~燕岳山頂
燕山荘から燕岳山頂へは、稜線を進んでいくとたどりつけます。
燕山荘から山頂までは約40分程です。
危険な場所はないので、燕岳の山頂までのご褒美を楽しみながら、日帰り登山のクライマックスポイントをのんびり散策しましょう。
燕山荘で休憩や食事ができる
燕岳山頂の燕山荘では軽い休憩と食事をとることが可能です。
ラーメン、カレーなどの山小屋の定番がメニューとして並んでいます。
燕山荘の外には綺麗なベンチがあり、日帰りで来て休憩する登山者もみられます。
燕山荘は全ての人が気軽に利用できる山荘。
食事も美味しく、明るい山小屋で、多くの人に愛されています。
燕岳山頂への途中に見れるもの
燕岳山頂への途中に見れるもの①:雷鳥
雷鳥は、燕岳などの高山帯に生息する鳥。
キジの仲間であり、冬には毛が生え変わって白くなります。
生息数がかなり少なくなってきたため、特別天然記念物指定を受けていますので、日帰り登山で見られた場合はかなり幸運です。
オスは目の上に赤い色があり、メスは背中が茶色になるのが特徴です。
また、雷鳥は北アルプスの山々がある岐阜・富山・長野の三つの県においては県鳥として親しまれています。
その昔、神の使いとされて信仰されてきた歴史があり、人との関わりも古い鳥です。
長野県松本市のサッカーチーム、松本山雅FCのエンブレムも雷鳥。
地域の人々に非常に愛されている鳥なのです。
燕岳山頂への途中に見れるもの②:珍しい草花
燕岳日帰り登山では、平地とは違う植生を楽しむことができるほか、都会では見られない植物のあり方を見ることができます。
燕岳に生えている高山植物として有名なものはハイマツ。
ハイマツはマツの一種ですが、低木で、その枝の間には数多くの生物が生息しています。
雷鳥もハイマツに紛れて生息しているのです。
燕岳山頂への途中に見れるもの③:イルカ岩やメガネ岩
燕岳山頂までの道には、メガネ岩、イルカ岩と呼ばれる岩があります。
イルカ岩は、空を仰いだイルカそっくりで、おもしろい写真がとれるので、インスタグラムなどのSNSでも非常に人気。
メガネ岩は、林立した岩の上部がつながっているもの。
隙間から向こうの空が覗いています。
両方、日帰り登山中に見られるインスタ映えスポットとなっています。
燕岳山頂への途中に見れるもの④:花崗岩でできた不思議な風景
燕岳では花崗岩が多く見られます。
花崗岩は侵食がしやすい岩で、それ故に奇岩が作り出す風景は燕岳名物。
燕岳山頂までの風景は、日帰り登山の中で大変に見応えのある風景となっています。
親子や友人同士の日帰り登山に、このような奇妙な風景について語りながらのんびりと歩いて行くのも楽しいでしょう。
燕岳山頂への途中に見れるもの⑤:山頂の360°パノラマ
燕岳山頂へ向かう稜線からは、遠くに槍ヶ岳、穂高岳、焼岳、また後ろを振り返れば常念山脈などの大パノラマがのぞめます。
360℃、どこを見ても山と空の織り成すパノラマ。
遠くには富士山などが見えることもあります。
花崗岩の奇岩の絶景を眺めながら、正面に山頂をみて、最後のフィナーレのように歩いて山頂を目指すことができる、北アルプスでも特別に綺麗なコースの一つです。
体力があれば、北燕岳にも挑戦しよう
北燕岳は、燕岳から700mほど歩いたところにあるピークです。
時間に制限のある日帰り登山でも行くことが可能なので、体力に余裕があるなら、折角なので訪れてみましょう。
こちらも奇岩を楽しみながら歩けるコースになっています。
燕岳からさほど離れていないので、あまり休憩をしなくても縦走することができます。
燕岳の登山だけで疲れを感じている人や、体力的に自信のない人は、無理して向かわないようにしましょう。
上級者は燕山荘から北アルプス表銀座へ
北アルプスには有名な縦走路として、表銀座登山コースが存在します。
こちらのルートは、中房温泉を起点として、合戦尾根を登り、燕山荘へ。
そしてその後大天井岳まで縦走をし、喜作新道を通って槍ヶ岳へといたります。
シンプルに山頂を目指すのではなく、いくつもの山頂を巡れる登山コースです。
日帰りではなく、2泊から3泊の山中泊になるため、上級者向けのコースではありますが、変化に富んだ風景を見ることができることから、人気の高いコースです。
上級者の仲間入りをした際には、日帰りを卒業してこちらの登山コースにも挑戦してみましょう。
燕岳の日帰り登山ルート④:来たルートを下山
燕岳の日帰りコースの下山では、合戦尾根を下っていきます。
この登山コースの最大の難所は、この下りです。
燕岳の合戦尾根は前述した通り急な坂であるため、この坂を下ると、その衝撃が膝にきます。
なので、帰りに体力を温存しておくために、日帰りの場合は登りではペースを上げないようにしましょう。
日帰り登山者の中には、燕岳帰りの第2ベンチか第1ベンチ辺りではばてている人の姿がよくあります。
ペース配分というのは非常に大事です。
日帰り登山でばてないためには、膝のサポーターなども非常に有効ですので、膝に不安がある人は活用してみてください。
落ち着いて下って行けば見慣れた風景の中房温泉に到着します。
帰りは登山口にある日帰り温泉に寄るのがおすすめ
燕岳登山口にある中房温泉は9:30-16:30の間、700円の利用料を払えば日帰り入浴が可能です。
こちらの温泉は肌質が良くなると言われており、人気の秘湯。
温泉に浸かった後は、温泉卵、またコーヒーや軽食などを楽しむことができる施設も併設されています。
疲れた登山の身体にはやはり温泉。
燕岳日帰り登山のあとには、こちらで身体をほぐして疲れをいやしていきましょう。
中房温泉
住所: 長野県安曇野市穂高有明 7226
電話番号:0263-77-1488
営業期間:4月下旬~11月下旬
URL:https://www.nakabusa.com/
燕岳の日帰り登山の休憩所、宿泊もできる燕山荘
燕山荘はテレビでも紹介された人気施設
燕岳の燕山荘は北アルプスの中でも非常に人気の施設。
テレビや雑誌などでもよく紹介されています。
燕岳を目指す登山家にファンが多いのはもちろん、北アルプスの中でも比較的簡単にいけるということ、また、清潔で新しい山荘であることから、普段登山をしない人にも愛されています。
日帰り登山客にも人気ですが、宿泊すると、星空の下でホルンの音色が聴けたりするなど、特色のある宿としても知られています。
前述した表銀座縦走路の稜線の入り口にある宿ということから、これから縦走をする人であったり、日帰りであったり、色々な人たちが集います。
燕山荘のレストラン
燕山荘のレストランは、11-14時の昼食営業となっています。
その時間帯なら、宿泊利用者だけではなく、日帰り登山者にも開放されています。
メニューはきつねうどんや山菜うどんをはじめ、ビーフカレー、セットなどさまざま。
たくさん食べたい時には、100円をプラスすれば大盛りメニューにもしてくれます。
喫茶サンルームは時間を問わずで営業しており、ご来光や夜景を見られると人気。
日帰りの場合でも、美しい山の眺めを楽しみながら、ビール、ウィスキー、そして地元で有名なワインなどを楽しめます。
温かいコーヒーとスイーツを堪能することも。
がちんこアウトドアになりがちな日帰り登山の中に、優雅なひと時を持ち込めます。
燕山荘の売店
燕山荘の売店の人気商品は、「燕」と大きく書かれたTシャツです。
他に、簡単な登山用品であったり、燕岳限定のピンバッジやキーホルダーなど数多くのグッズを取り揃えています。
日帰り登山客でも立ち寄りやすくなっています。
燕岳日帰り登山の記念品や、おみやげとして人気が高い品々です。
また、水、ジュース、インスタントラーメンなどの簡単な飲食物も販売しています。
荷物を減らしたい日帰り登山の際に大変助かります。
燕山荘の宿泊スペース
燕山荘の宿泊スペースは基本的には広く取られており、また、各ブースごとに分けられています。
ドミトリータイプだけではなく個室も存在し、燕岳に家族やグループで行った際、繁忙期でなければ柔軟に対応してくれます。
朝日の差し込む部屋は燕岳登山の楽しみの一つです。
燕山荘で記念スタンプもゲットしよう
燕山荘では山スタンプが設置されています。
ぜひ燕岳スタンプをゲットしましょう。
日記帳に押したり、山スタンプ専用ノートに集めることで思い出として持って帰ることができます。
ご朱印のように、山スタンプを集める人も増えています。
燕山荘
住所:長野県安曇野市穂高有明中房国有林内 燕岳
電話番号:090-1420-0008
営業期間:4月下旬~11月下旬、年始年末
URL:http://www.enzanso.co.jp/index.html
日帰りでは物足りない?燕岳の宿泊施設
燕山荘周辺でキャンプ
燕山荘にはキャンプ場が存在し、テントを張って宿泊する事ができます。
幕営地は30張りと広め。
あまり埋まることもありませんが、ハイシーズンは注意が必要です。
料金は1人700円で、水場およびトイレは燕山荘のものを使用することが出来ます。
こちらのテント場は燕岳稜線にあり、天候には注意が必要です。
あまりにも悪天の時は幕営は控え、燕山荘を考えましょう。
好天であれば、素晴らしく綺麗な朝焼けに、常念山脈の連なる景色、夕刻には穂高や槍が夕暮れの中浮かび、夜は非常に透き通った星空を望むことができます。
日帰りだけでは物足りなくなった場合の山泊りにぴったりです。
中房温泉の旅館を紹介
中房温泉は信州の秘湯として知られ、その歴史は文政4年にさかのぼります。
古くから、燕岳への登山家だけでなく、多くの信州の方々に愛されてきました。
4月から11月までの営業で、冬季は営業をしていませんが、1泊2食付き、9654円からの料金となっています。
館内は趣のある建物となっています。
日帰り登山の拠点として、そして帰りはのんびりとするのにも最適の宿です。
中房温泉のキャンプ場を紹介
中房温泉キャンプ場は、燕岳登山口にほど近い場所に存在するキャンプ場です。
水場、トイレ、そして温泉に近いという至れり尽くせりのキャンプ場としてひそかな人気があります。
一泊の値段は1人700円で、申し込みは燕岳登山口近くの中房温泉温泉案内所にて承っています。
スペースは20張ですが、ハイシーズンでない限りはあまり埋まりません。
近くの駐車場に車を停めた場合、そこに荷物を置けるので、テントを広々と使えるのも、ここのキャンプ場の魅力です。
ここでキャンプをした後、登山自体を早朝出発の日帰りで済ませるのもおススメです。
中房温泉キャンプ場
住所:〒399-8306 長野県安曇野市穂高有明 7226
電話番号:0263-77-1488
営業期間:4月下旬~11月下旬
URL:https://www.nakabusa.com/
燕岳の日帰り登山に、調理器具を持参して昼食を作るのも楽しい
燕岳の日帰り登山に調理器具を持っていけば、山頂のベンチでご飯を作ることもできます。
その際おすすめなのがジェットボイル。
急速にお湯を沸かすことができる優れものです。
ラーメンやカレー、スープなど、お湯で簡単に作れるものを持っていくと、燕岳からの綺麗な景色を眺めながら温かい食事を楽しめます。
燕岳日帰りの素敵な記憶の一ページができるでしょう。
日帰りしやすい燕岳へ行こう!
燕岳は北アルプスにある山ですが、初心者でも危険なく日帰りで登ることができます。
日帰り登山の計画を立てる際に、一つ検討してみてはどうでしょうか。
貴方の山旅が良いものになるように期待しています。
安全、そして楽しい日帰り登山となりますように。