広島の方言の特徴は?広島弁以外にも種類がある?
広島弁と言われると、どんな方言なのか、何となくイメージできます。
日本全国の方言の中でも結構有名です。
広島出身の芸能人、有名人も多いので、メディアでもよく耳にしますね。
そんな広島弁を詳しく解説していきます。
広島の方言(広島弁)の特徴
言葉の真ん中にアクセントを置くイントネーションが特徴です。
例えば「かていか」だと「てい」の部分、「こくご」だと「く」の部分にアクセントが来る感じです。
そして印象的なのは語尾。
「~じゃ」「~じゃけぇ」「~じゃのう」といったフレーズは広島弁を代表する言い回しとして有名ですね。
また語尾に「ん」が付くと否定を意味するようになる言葉が多いのも特徴。
「そんな事しない」→「そんな事せん」といった具合になり、手足が届くという意味の「たう」は「たわん」になります。
広島弁では自分を表す一人称が、男性だと「わし」、女性だと「うち」となります。
男性が自分のことを「わし」と言っているとたくましい、女性が「うち」と言っていると可愛らしい印象ですね。
また広島は海を介して四国と隣合わせの関係になりますので、愛媛地方の方言、伊予弁と似ている部分が見られるのも特徴。
「~じゃけん」「~なんよ」を語尾につけるのは広島弁、伊予弁共に使われています。
広島の方言(広島弁)の種類
広島弁と一言でいっても、地方によって若干ニュアンスが変わってきます。
大まかに呉市や広島市といった安芸方面の方言と、広島県の東寄り、福山市やラーメンで有名な尾道市がある備後方面とで分かれます。
東寄りの備後方面は岡山に近い事もあり、関西方面の方言に似た共通点があり、安芸方面の方言は四国や山口地方の方言に似ている傾向があります。
広島弁は安芸方言と備後方言の二種類があるといえるでしょう。
広島県民がよく使う広島弁の定番フレーズ14選
広島方言の中でも特に広島の人が良く使うフレーズを14個ご紹介します。
①:「~じゃ」「~じゃけぇ」
広島弁と言えばこのフレーズ。
語尾に「じゃけぇ」と付けるだけで広島弁に聞こえますね。
それくらい有名で、広島弁と言えばコレという感じです。
意味は「~だ」「~だから」を表します。
「宮島は鹿もいるし、鳥居も綺麗だし、良いところじゃけぇ」といった感じで使われます。
②:「~のぅ」
「だよね」と意味で、これも広島弁を代表する方言です。
年配の人がよく使っているフレーズで、貫禄が感じられますね。
「今日は寒いね」→「今日は寒いのぅ」といった感じで使います。
また広島を舞台にした戦争漫画、はだしのゲンの登場人物が使っているイメージです。
③:「~しんさい」
何かをして欲しいときにいいます。
一見厳しく、目上の人が部下や後輩に命令するときに使われるような言い方ですが、実際はそれだけではなく、対等な目線で親しみを込めて「~しよう」「~した方がいいよ」というニュアンスでも使われます。
「これ、美味しいから食べてみてください」→「これ、美味しいから食べてみんさい」といった感じですね。
④:「いなげな」
「変な」「変わった」「異なる」といった意味。
「変なものが置いてあるな」→「いなげなものが置いてあるな」という感じになります。
警戒や不審な感情を表すため、あまりポジティブな表現ではありません。
⑤:「はぶてる」
すねている、いじけている、機嫌が悪い様子をあらわす意味で使われます。
子供がいじけて言う事を聞かない、すねて不機嫌な様子を見せつけているときに叱るような感じで使います。
「いつまでもすねていると怒るぞ!」→「いつまでもはぶてると怒るぞ!」という風になります。
⑥:「あがーな」
「あのような」や「あんな」という意味になります。
ちょっとネガティブに対象を表すときに使われます。
「あのような事をしたら怪我をするぞ」→「あがーな事をしたら怪我をするぞ」という風になります。
⑦:「もろーて」
何かを貰う、いただく、頂戴するという意味です。
これは比較的標準語と近いニュアンスです。
「お土産をいただいた」→「お土産をもろーた」になります。
これはイメージしやすい方言ですね。
⑧:「わや」
乱れた、滅茶苦茶な様子の事です。
もっと酷い状態だと「わやくちゃ」と言われ、少しネガティブなイメージで使われます。
「せっかく買ったのに、落として滅茶苦茶になった」→「せっかく買ったのに、落としてわやくちゃになった」になります。
⑨:「ほいなら」
納得して話を続ける、対案を出す際の接続詞、「それだったら」「そうしたら」というニュアンスを意味します。
「東京にはいけそうにないよ」→「ほいなら大阪にいこう」という感じで使われます。
関西弁でも似たような言い方をしますので、関西の人はさらに理解しやすいですね。
⑩:「がめる」
「盗む」「奪う」という意味です。
「人のお金を盗むな!」→「人のお金をがめるな!」となります。
⑪:「いぬ」
動物の犬、ではなく「去る」「帰る」といった意味になります。
「そろそろ帰るわ」→「そろそろいぬわ」といった感じです。
また一月はいぬ、二月は逃げる、三月は去ると言いますが、これは広島方言を含んでいるといえますね。
意味は一月から三月はそれぞれ行事が多く、立て続けに忙しい日を送ることになるので、この三か月はあっという間に過ぎ去ってしまうという事です。
⑫:「いたしい」
「辛い」「しんどい」を表すときに使います。
体調が優れなかったり、作業が厳しい時等、行動が辛い時にも使われます。
「今日はなんだかしんどい」→「今日はなんだかいたしい」
「この仕事は辛い」→「この仕事はいたしい」という感じになります。
⑬:「おいい」
標準語だと「多い」になります。
アクセントが真ん中の「い」の部分に置いているのが特徴。
「これは多いね」→「こんなんおいぃわ」という風になります。
これは標準語とあまり変わらないので、方言だと思われていないフレーズでもあります。
⑭:「しごうする」
「片付ける」「懲らしめる」という意味になります。
片付けるは始末するという意味合いが強くなります。
これだけ聞くとちょっと怖いイメージですが、魚をさばくときに「魚をしごうする」という風に使ったり、総じてネガティブな使い方をするわけではありません。
ただ「あいつしごぅたろか」はあいつを懲らしめてやろうかという意味になるので、怖い場面でも使われます。
広島県民が思わず使っちゃう広島弁の面白フレーズ16選!
①:「かばちたれ」
「文句をいう」という意味の方言。
「かばち」が文句、「たれ」が垂れるを意味します。
漫画原作のドラマ「カバチタレ!」が放送されたおかげで耳にしたことが多いフレーズかもしれません。
「いつまでも文句を言うな」「いつまでもかばちたれるな」という風になります。
②:「たいぎぃ」
思わず使ってしまうという意味ではこの「たいぎぃ」が一番かもしれません。
本当にいろんな場面で使用される、「~じゃけぇ」に並ぶほど有名なフレーズになります。
しかしはっきりと定まった意味はなく「だるい」「しんどい」「面倒くさい」といったニュアンスを含んでいる程度で、ほとんど広島弁をしゃべる人の口癖みたいなものになります。
愚痴を言うときに「たいぎぃ」、怒っているときに「たいぎぃ!」といろんな場面で飛び交うフレーズです。
「今日の授業はつまらないな」→「今日の授業はたいぎぃ」、そして「いい加減にしろ!」→「たいぎぃにしろ!」といった風に使われます。
③:鮫の事を「ワニ」と呼ぶ!?
広島県の一部では鮫の事をワニと呼びます。
スーパーでは鮫の切り身が「ワニの切り身」として売っているので、知らない人が見ると爬虫類のワニが売ってると勘違いしてしまいそうですね。
広島の東北方面ではワニめしや煮こごり、お刺身といった鮫料理が食べられています。
鮫の肉自体が珍しい食べ物ですが、味は甘く、臭みも少なくて食べやすく、とても美味しいと評判です。
④:「ぶち」
「凄い」という意味。他にもっと凄い事を「ぶり」、ぶりよりさらに凄い事を「ばり」といい、「ぶち」「ぶり」「ばり」の三段活用と言われることも。
「ばり」は関西方面でも使われますので、広島特有の方言ではないかもしれません。
しかし関西弁で「ぶち」とはほとんど使われないので、「ぶち」は広島弁と言えるでしょう。
「この魚は凄く美味しい」→「この魚はぶち美味しい」という風に使います。
⑤:「ケーキ」
標準語ではいちごショートケーキやチョコレートケーキといった、スポンジ生地の丸いケーキ。
しかし広島弁で「ケーキ」というのはアイスクリームを意味します。
アイスケーキという呼び方が一般的で、それを略してケーキと呼ばれています。
⑥:「ありゃあ」
「あれは」というときに思わず出てしまうかも。
「あの人は」という意味でも使われますので、使う機会が多いですね。
「あの人は知り合いだよ」→「ありゃあ知り合いだよ」という風になります。
小文字が入る事で可愛らしい雰囲気になりますね。
⑦:「げに」
「本当に」「本気で」という意味で、しみじみとした感じで言うイメージです。
過去の話をするときに、特に強調したい部分の前に使うと効果的。
「あの頃は本当に辛かったね」→「あの頃はげに辛かったね」となります。
⑧:「にがる」
痛い、という意味で使われます。
「怪我をして足が傷む」→「怪我をして足がにがる」となります。
⑨:「いびせー」
「恐ろしい」「怖い」等を表すときに使います。同じような意味で「きょうてい」とも言います。
「あの先生は怖いよ」→「あの先生はいびせーよ」
⑩:「てご」
「手伝う」という意味です。
「てつだう」の「だ」の部分が「ご」に変化してますね。
「引っ越しを手伝ってくれ」→「引っ越しをてごーてくれ」という風に使われます。
⑪:「ぱーぷー」
甘えているみたいで可愛い言葉に聞こえますが、「あほ」「馬鹿」といった意味になります。
「お前は馬鹿だろ」→「お前はぱーぷーだろ」とからかったり、注意したりする場合に使います。
⑫:「のかす」
人や物を動かす、「どかす」という意味で使います。
「そこをどいてくれ」→「そこをのいてくれ」という感じになります。
⑬:「はぁ」
「既に」「もう」といった意味になります。
話し言葉等だとため息やうんざりした様子、または疑問を表す意味になりますが、広島弁ではもう少し広い意味で使われます。
「あなた、もう新しいスマホ買いました?」「あなた、はぁ新しいスマホ買いました?」となります。
⑭:「ようせん」
「出来ない」「無理」という拒否を表す方言です。
「よう~せん」という風にも使い、「せん」が「れん」に変わることもあります。
「大人になっても逆上がりはできません」→「大人になっても逆上がりはようせんわ」
「お肉は食べられないんです」→「ようお肉食べられん」という風になります。
⑮:「よばれる」
名前を呼ばれる、等という意味にも使われますが、「招待される」「ごちそうになる」といった意味も持つ方言です。
「今日は隣の奥さんの家に、夕飯を招待された」→「今日は隣の奥さんの家に夕飯をよばれた」となります。
⑯:「おどりゃあ」
おどりゃあ!といきなり言われると、相手は怯んじゃいますね。
意味は強い意味で「おまえ」という意味で、相手を威嚇する、ケンカ腰の時に使います。
主に怒っているときに使う言葉ですが、「君」「あなた」といった意味で使う人もいます。
標準語でも怒っていなくても「お前」という事があるのと同じような感じです。
ただやはり怒っている場合が大半なので、気を付けた方がいいかもしれません。
【番外編】広島弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ5選
①:「好きじゃけん」
ただ「好き」だと伝えるだけなのに、語尾に「じゃけん」と付いているだけで印象が全然違います。
女性に上目遣いで照れくさそうに「好きじゃけん」と言われると、男性は気持ちを完全に持っていかれちゃうかも!?
②:「付きおうて欲しいんよ」
広島弁特有のイントネーションをつけて、こう告白されるとグッと来ること間違いなしですね。
語尾に「よ」をつける事で一生懸命さがより伝わる感じがします。
③:「幸せにするけぇの!」
こちらは男性が主に使いそうなフレーズ。
標準語だと「幸せにするから!」になりますね。
まっすぐ見つめられながら、こんな事言われたらグッと来ること間違いなし!
少しの訛りで印象度が全然違いますね。
④:「こっちん来んしゃい」
そっと肩に手を回されて、抱き寄せられながらこう言われたら最高ですね!
これも男性から女性に言われて効果のあるフレーズかも。
⑤:「ぶち好きなん」
とても好き、凄く好きだと気持ちをアピール。
「ぶち」という響きが可愛いですね。
【番外編】広島県出身の芸能人や広島で撮影された広島弁の映画やドラマ
広島出身の芸能人、いろんな人がいますね。
ポップなテクノミュージックで世界的に人気のある、Perfumeは三人とも広島出身として有名で、イベントやライブ等で広島弁を使ったトークを行っている事がファンの間でも知られています。
他にもお笑い芸人のアンガールズは二人とも広島出身です。
よく彼らのトークを聞いていると、山根さんと田中さん共に広島方言が出る時があります。
広島を舞台にした映画では、任侠映画「仁義なき戦い 広島死闘篇」が有名です。
この映画は広島で実際に起こった事件を元に描いた、シリーズの中でも傑作と呼ばれる作品です。
雑誌モーニングで連載され、2001年には常盤貴子さん、深津絵里さんの主演でテレビドラマにもなった「カバチタレ!」も広島が舞台の作品です。
広島の方言は何種類?広島弁の特徴や定番フレーズを紹介!【かわいい/告白フレーズ/映画やドラマ】のまとめ
とても表現力が豊かな広島弁。
メジャーな方言から、あまり聞いたことのない方言まである、広島弁はとても奥が深いものだとわかっていただけたでしょうか。
独特のアクセントや言い回しがかわいらしく、普段は標準語を使っている広島の人も、ふとした会話の中に広島弁を混ぜてみると、感心されるかもしれませんね。