岩手で日本酒が有名なのはどうして?
日本酒を作る仕事をする人を、杜氏と呼びます。
現在の杜氏は酒造メーカーの社長やスタッフが務めることも増えていますが、本来の杜氏は地元で農業を営みながら畑仕事ができない冬の間だけ日本酒造りをする人のことでした。
酒造りにはたくさんの人が携わります。
杜氏はたくさんの蔵人のまとめ役でもあり、酒造りの責任者でもあります。
酒造りは専門職としてプロがこなすイメージですが、造る環境や人手を考えた場合、冬がもっとも適しており、冬の間仕事ができない農業の人が出稼ぎできるということから冬の間だけ酒造りをする人が増えました。
いつしか杜氏が集まり地域の日本酒造りの技術を後世に伝えることを目的として、杜氏集団が誕生します。
杜氏集団は全国各地の酒造りをしている地域にも存在していますが、中でも有名なのが岩手県の南部杜氏・新潟県の越後杜氏・兵庫県の丹波杜氏の日本三大杜氏です。
日本三大杜氏の中で最も規模が大きいのが南部杜氏で、全盛期は3,000人を超えることもありましたが、現在は300人ほどになっています。
それでも新潟の170人、兵庫の40人と比べると規模の大きさがわかるでしょう。
日本酒造りを知り尽くした杜氏が多いのが、岩手県の日本酒が有名な理由です。
日本酒の種類が多い岩手!選ぶ基準は?
日本酒とひとことで言ってもその種類は実に豊富です。
日本酒を造っている酒蔵は全国にありますが、岩手県は日本三大杜氏でも最大の杜氏がいるので、その分造る日本酒の種類も多いのが特徴的。
岩手県内だけでもたくさんの酒蔵がありますが、造る日本酒は酒蔵ごとに違いがあります。
岩手県産の日本酒というだけでも種類が豊富に揃うので、選ぼうにもどれにしていいか迷ってしまうのも仕方ありません。
岩手県で造られる豊富な種類の中から、自分の好みや目的の日本酒を探すにはいくつかのポイントがあります。
使用する米や水によっても違いますし、甘口と辛口は好みが分かれます。
純米酒や吟醸酒、大吟醸に生酒など製法による味の違いも。
大手がつくる有名な銘柄は大量生産できるので、お手頃価格で比較的入手しやすくなります。
小さいながらこだわりを持って造っている酒蔵のお酒は、数が少ないのでなかなか入手できずレア価値も高くなります。
選ぶ基準は好み見合わせるのが一番ですが、人に贈るような場合は相手の好みに合わせて選ぶといいでしょう。
口に含んだ時と飲む時、飲んだ後の後味や香りなどにもこだわって選んでみてください。
酒蔵に直接買いに行くと試飲や飲み比べできるので、酒蔵見学を実施しているところに出かけて行って自分で確かめてから買うというのもいいかもしれませんね。
初心者でも飲みやすい!岩手のおすすめ日本酒5選【定番】
おすすめの岩手のおすすめ定番日本酒①:赤武
1983年創業の赤武酒造は、岩手県大槌町にある酒蔵で造っていました。
岩手県ではとても有名でしたが、2011年の東日本大震災で酒蔵が災してしまいます。
2013年に以前酒蔵があった場所から盛岡市内に移転した際に、新ブランドとなるAKABUを立ち上げます。
復活蔵からの再出発となりましたが、AKABUを立ち上げてからわずか数年で岩手県新酒鑑評会の最高賞受賞というのもさすがですね。
AKABUは兜がトレードマークとなっていて、ラベルには赤い兜のマークが入っています。
他にも岩手県産米を使った特定名称酒も豊富に揃い、赤武で扱う日本酒は1,404円~12,960円と購入しやすい価格帯となっていますよ。
おすすめの岩手のおすすめ定番日本酒②:南部美人 (なんぶびじん)
岩手県二戸市にある株式会社南部美人が造るお酒は、岩手県のオリジナル酒造好適米を使用しています。
水は県立自然公園折爪馬仙峡からの伏流水を使用。
麹菌や酵母、もろみやしぼり、火入れに至るまで全てにこだわりを持っているのが特徴です。
南部杜氏の技術で造る日本酒は、岩手県だけでなく全国的にも根強いファンがいます。
種類が豊富で1,400円と購入しやすい価格帯から、贈り物にも喜ばれる10,980円の純米大吟醸酒まで幅広く揃っています。
おすすめの岩手のおすすめ定番日本酒③:酉与右衛門(酔右衛門)
日本三大杜氏として知られる、南部杜氏の本拠地でもある石島谷で岩手県産の米を使用して日本酒を造っています。
使用するのは岩手県産米が中心で、飲みごたえのある直汲み特別純米無濾過生原酒が人気です。
岩手県の海の幸とも相性がよく、温度による味の違いを楽しめるのが特徴的です。
原料に吟ぎんがを使った名前そのままの吟ぎんがや、阿波山田錦を使った酉与右衛門純米酒などが定番です。
価格帯は3,348円とお手頃価格なので、気軽に試せます。
おすすめの岩手のおすすめ定番日本酒④:月の輪
月の輪酒造店は、紫波郡紫波町にある酒蔵でお酒を造っています。
新米新酒の純米生原酒や、もち米の生産が盛んな紫波郡ならではのもち米で造るもち米純米酒などがあります。
新米新酒の純米生原酒やもち米純米酒は、数に限りがあるので売り切れとなるのも早く、売り切れると次の年まで販売されません。
大吟醸 月の輪や純米吟醸 月の輪などは比較的購入しやすく、月の輪酒造のオンラインショップからも購入できます。
月の輪酒造店では、米こうじで作るアイスクリームも人気があります。
敷地内にある直売店で購入できるので、行く機会があったら人気のアイスクリームも試してみてくださいね。
おすすめの岩手のおすすめ定番日本酒⑤:タクシードライバー
タクシードライバーは、喜久盛酒造の5代目が造るユニークなネーミングの日本酒です。
平成17年に新しく立ち上げたブランドとして、地元でたちまち注目されるようになります。
この名前を聞いてどこかで聞いたことがあるという人も多いかもしれませんね。
喜久盛酒造の5代目と名前の発案者が、大の映画好きということもあって映画が元になっているのだそうです。
ネーミングに惹かれて飲む人が多いといいますが、甘口ではないスッキリとした口当たりがクセになるとファンが急増しています。
パンチのある純米原酒は、ラベルも特徴的で1度見たり飲んだりしたら、忘れられないお酒になりそうです。
1度は飲んでみたい!岩手のおすすめ日本酒5選【レア】
岩手のおすすめのレア日本酒①:あさ開
あさ開酒造は盛岡市にあります。
創業148年の老舗酒造の日本酒は、南部杜氏のお酒としても知られています。
美味しいお米と水に南部杜氏の技術が揃う盛岡市で酒造りを始めたのも特徴的。
岩手でお酒を造るならお米も岩手にというこだわりのもと、麹・酵母・もろみまで徹底的にこだわって作っています。
多くの人に日本酒の良さを知ってほしいという想いから、純米酒をベースにした和の雰囲気あふれるリキュールなども販売しています。
岩手県にある酒蔵の多くが使っている、岩手県産酒造好適米吟ぎんがは、精米を50%に抑えることで香りと味が爽やかになると定評があります。
岩手のおすすめのレア日本酒②:浜千鳥
1923年に釜石酒造商会としてスタートし、1956年より株式会社釜石酒造商会となり、2003年に社名を株式会社浜千鳥に変更し現在に至ります。
浜千鳥酒造は、三陸海岸と北上産地に囲まれてるのでお酒造りに適した場所にあります。
使用するのは酒造好適米として知られる山田錦や美山錦などの他にも、岩手県オリジナルの結の香を使用しています。
吟ぎんが100%のめほなみ 本醸造は、浜千鳥でしか買えない銘酒です。
味わい深く後切れのよい浜千鳥は、純米大吟醸や純米酒・特別純米酒など豊富な種類を取り揃えています。
地域ならではのイベントを取り入れたラベルや、生貯蔵酒なども扱っています。
岩手のおすすめのレア日本酒③:廣喜
紫波郡紫波町にある廣田酒造店で造る廣喜は、酸基醴酛という製法で平成29年に新しい挑戦としてスタートした銘柄です。
廣喜というネーミングには、たくさんの人に広く喜んでもらいたいという願いが込められているのだそう。
廣田酒造店は日本酒で米の旨みを実感してもらうために、冷ではおにぎりのような甘さ、燗では炊きたてのご飯のような旨みを目指す醸造法を取り入れています。
この廣喜ならではの製法が酸基醴酛なのです。
廣喜は、純米酒・特別純米・純米吟醸・純米大吟醸の4つのラインナップが揃います。
岩手のおすすめのレア日本酒④:鷲の尾
1829年創業の老舗酒蔵が造る鷲の尾は、大鷲が住む巌鷲山の麓から湧き出る水を使用していることから名付けられました。
ラベルにも大鷲を取り入れており、店内には昔のラベルも飾られています。
岩手県酒造好適米 結の香を使用した結の香は定評があります。
古代米で醸造することで天然色素アントシアニンが、お酒を赤紫色に染めることから命名されたあかむらさきなどユニークなお酒もあつかっています。
その他にも生酒や吟醸酒、季節限定商品なども登場するのでチェックしてみてください。
岩手のおすすめのレア日本酒⑤:酔仙
2011年の東日本大震災で酒蔵を失うも、地元のファンに支えられ新工場として復興しています。
新工場になってから少しずつ販売できる銘柄も増え、ファンを喜ばせています。
いつ飲んでも飽きないお酒、旨さとキレのあるお酒造りを目指しているのも特徴です。
水へのこだわりは特に強く、新工場での再出発を期に3度もボーリング調査を行い、北上山系に属する氷上山の麓の湧水にたどり着きました。
地元の人に愛される地酒としても知られていますが、オンラインショップでも購入できるので、岩手県外の人でも購入できます。
季節により数量限定で販売するお酒は、レアなのでこまめにチェックしてみてくださいね。
誕生日やお土産に!岩手のおすすめ日本酒5選【プレゼント】
岩手のプレゼントにおすすめ日本酒①:酔右衛門
大正11年に創業した川村酒造店の酔右衛門は、岩手土産としても大変人気があります。
南部杜氏の本拠地としても知られる場所にある小さい酒蔵のお酒は、地元の人にも愛されるポピュラーなお酒としても知られています。
食中酒として飲みやすいお酒造りをモットーとしているので、岩手グルメと一緒に味わえば格別です。
岩手の地酒としては個性的といわれるのも特徴的。
生酒から火入れ酒まで豊富な銘柄を扱っているので、お好みに合わせて選べます。
扱う品種は多いものの、全て少量生産となるので、見つけたら即ゲットがおすすめ!
日本酒好きな人に試して欲しい逸品です。
岩手のプレゼントにおすすめ日本酒②:七福神
中津川に近い紺屋町は、南部氏の里としても知られています。
南部氏の里にある菊の司酒造は、1615年創業の老舗酒蔵として古くから地元の人に愛されてきました。
菊の司酒造を代表する七福神は、岩手土産にもおすすめ!
七福神と並んで菊の司も人気となっていますので、両方試してみるのもいいかもしれません。
七福神は縁起がいい神様にあやかれるように、菊の司は花の司として知られる菊にあやかって命名されました。
2種とも大吟醸や純米大吟醸など種類があるので、それぞれの特徴を吟味してお好みに合わせて選んでくださいね。
1,800mlは3,000円台から揃うので、気軽に購入できます。
岩手のプレゼントにおすすめ日本酒③:福来
福来屋酒店の福来は、ネーミングからも縁起のいいイメージでお土産にも喜ばれています。
日本酒セラーで品質管理をしているので、蔵の中と同じ状態で保管できるため、日本酒の良さを損なうことなく、常に最高の状態を維持できるのがポイントです。
日本酒セラーで保管することにより、季節に関係なく一定の環境を維持できます。
内部は15度~16度に設定されていて、紫外線が苦手な日本酒を守るために照明も裸電球を使用するというこだわりです。
吟乙女を使った手づくり本醸造1,800mlは、2,160円とお手頃価格で購入できます。
平成30年全国新酒鑑評会で金賞を受賞した福来大吟醸は1,800mlが10,800円と少しお高いながら、特別な時にぴったりのお酒です。
岩手のプレゼントにおすすめ日本酒④:酔仙 純米吟醸 煌琳
岩手県産米を50%精米の純米規格の吟醸酒で、酵母はゆうこの想いを使用しています。
甘味があり飲みやすいのが特徴で、甘さの後に香りが広がるお酒は岩手土産にもおすすめ!
アルコール度数は16.5度、通年販売しているので欲しい時に手に入らないということもありません。
720mlで1,890円、1,800mlで3,780円とお手頃価格も嬉しいところ。
辛口でもなく甘口でもないちょうどいい味で、少しだけ濃厚さも感じられます。
雑味はなくふくよかな味わいが特徴的、日本酒初心者にも飲みやすいので、幅広い人におすすめです。
好みもありますが、常温か冷で飲むのが美味しいとされていますので、試してみてください。
自分用にも人にあげるお土産にもおすすめです。
岩手のプレゼントにおすすめ日本酒⑤:あづまみね 純米吟醸 美山錦 生
クセのない吟醸香と、口に含んだ時の甘味が特徴的です。
紫波郡紫波町の吾妻嶺酒造店で購入できます。
麹米に美山錦50%、掛け米に美山錦50%、アルコール度数15度となっています。
冷酒で飲むとキリっとしていて、常温では甘さがより引き立つのが特徴的です。
燗にすると少し酸味が顔を出しますが、嫌味ではないので日本酒好きなら抵抗なく飲めるでしょう。
低めにすると渋みは控えめで、飲みやすくなります。
キレがあるのにしっかりと日本酒を感じられるのもポイント、
720mlで1,574円、1,800mlで3,168円と気軽に購入できる価格も魅力です。
日本酒好きな人へのお土産にもおすすめですよ。
岩手のおすすめ日本酒15選!選び方は?【定番/レア/プレゼント】のまとめ
岩手県には日本三杜氏に数えられる南部杜氏があります。
全盛期は3,000人を超えていた日本では最大級の杜氏集団が作るお酒は、全国の日本手好きを納得させるクオリティーの高い日本酒が揃います。
酒蔵も豊富でそれぞれにこだわりを持ってお酒を造っているので、岩手に行く機会があったら酒蔵巡りをしてみるのもいいでしょう。
日本酒を買う時は、ぜひ岩手の日本酒にも目を向けてみてくださいね。