京都名物「鱧(はも)」とは?
体長は1m前後あるウナギのように長い胴体と、歯の鋭い、少し強面の顔つきで知られる高級魚です。
見た目の通り肉食の魚で、迂闊に顔に手を近づけると噛みつかれてしまう、取り扱いには注意が必要な魚。
その恐ろしい見た目とどう猛な性格からは想像できない程、美しい白身が特徴。
湯引きや天ぷら、鍋の具材等に使用され、関西地方では一般家庭でも親しまれている魚です。
京都の鱧の特徴
京都では夏の風物詩と言われている鱧。
小骨が多くて食べにくい魚ですが、京都の料理人が工夫に工夫を重ねて、骨切りという技術を編み出し、誰でも食べやすいような調理方法を編み出しました。
鱧が旬の時期の京都では、老舗の料亭から一般家庭まで様々な鱧料理が振舞われるようになります。
鱧は京都で採れる食材ではありませんが、京都だからこそ有名になった食材でもあります。
京都で鱧が人気の理由
昔から京都では鱧が人気でした。
海のない京都では、魚を食べる機会が限られていて、行商人が持ってきた魚はとても重宝されました。
しかし、夏場になるとほとんどの魚が生きたまま届かなくなり、生きた魚は生命力の強い鱧くらいでした。
夏場でも食べられる貴重な新鮮な魚という事で、骨っぽい鱧を美味しく調理するために様々な工夫がなされていき、京都といえば鱧と言われるほどに定着しました。
また、暑い夏でも生きている、生命力の強い魚という事で、食べると精が付くと信じられている事も人気の理由の一つです。
京都の鱧が旬な時期
京都の鱧が旬を迎えるのは5月から7月になります。
鱧は梅雨の水を飲んで美味くなる、と言われているほど、この時期の鱧は有名。
また、産卵を終えてしばらくたった後、10月から11月頃の鱧も第二の旬を迎えるといわれています。
これは産卵後の痩せた身を肥やすため、餌を大量に摂って太った鱧の事で、脂の乗りがよく、歯ごたえも抜群で通に人気があります。
京都の鱧と「祇園祭」の関係
京都の夏を代表するお祭りの祇園祭。
毎年7月に開催される、1200年近い歴史を持つ、伝統のお祭りです。
京都中をあげて盛り上がるという事で、京都の料理人達はこの時期に旬を迎える鱧料理でおもてなししました。
この事から、祇園祭は別名鱧祭りと呼ばれるほど、鱧と繋がりの深いものになります。
京都で鱧が人気なのは、歴史あるお祭りと縁が深いからだという事もありますね。
京都の鱧料理の種類
代表的なのが湯引き。
鮮やかで涼しげな見た目も楽しい、鱧の代表的な調理方法で、酢味噌やからし味噌をつけていただきます。
他にも、かば焼きも定番の調理方法。
錦市場等では鱧のかば焼きが総菜として売られています。
天ぷらや、鮮度の良い鱧ならばお造りでいただいたりと、京都の鱧料理にはたくさんの種類があります。
京都で人気の鱧料理店12選【三栄/堺萬/みこう】
では、京都で人気の鱧料理店をみていきましょう。
京都には、以下の人気の鱧料理店があります。
- 三栄
- 堺萬
- みこう
- 本家たん熊
- たん義
- 割烹なか川
- 三源庵
- 割烹やす田
- 富久
- 甚之助
- 日本料理 櫻川
- 割烹 濱喜久
続いて、京都で人気の鱧料理店を、それぞれ詳しくみていきます。
三栄
昭和9年創業、80年以上の歴史を誇る、京都の老舗割烹料理屋。
すっぽん鍋と鱧料理が名物の、京都の鱧料理を代表する名店の一つです。
鱧料理は5月から10月の間振舞われます。
じっくりと手間暇をかけて作られた出汁が決め手の鱧しゃぶはまさに絶品!
鱧しゃぶコースだけではなく、落としや天ぷらといった、オーソドックスなメニューのコースもあります。
鱧本来の美味しさと料理人の技を堪能できる、こちらもおすすめのコースです。
京都の鱧料理店の中ではかなり有名なお店。
予約の受付期間等をしっかりと確認して、是非とも訪れたいお店です。
三栄
住所:京都府京都市下京区稲荷町 河原町通四条下る 稲荷町319
電話番号:075-351-6992
営業時間:昼11:30~14:30・夜16:30~21:00
定休日:月曜日
URL:http://kappou-sanei.com/
堺萬
創業150年以上の老舗の名店。
元々仕出し料理店として営まれてきたお店で、四代目が鱧料理に目をつけて以来、鱧の名店として知られるようになりました。
鱧を様々な調理方法で楽しめます。
揚げ物や鍋料理はもちろん、お造りまでも楽しめるのが堺萬の特徴。
職人技の骨切りはもはや芸術の域に達している素晴らしさ。
伝統ある京料理をしっかり堪能するのにぴったりな名店です。
完全予約制なので、訪れる前に予約の可否を確認しておきましょう。
堺萬
住所:京都府京都市中京区 二条通室町西入大恩寺町248−2
電話番号:075-231-3758
営業時間:昼12:00~14:30・夜17:00~20:30
定休日:火曜日・最終月曜日
みこう
冬はてっちりやてっさ等のフグ料理、夏は京都の名物鱧料理が楽しめるお店。
築100年近くの情緒ある京民家を使った、和の心意気溢れる空間でいただく料理の数々はどれも絶品です。
フグや鱧の他にも京都の食材を使った彩り鮮やかなお弁当も人気。
丁寧に調理され、盛り付けられたお弁当が比較的リーズナブルな価格でいただけるのはとても嬉しいですね。
家族での集まりや、大切な人の接待にも最適なお店ですが、残念ながら、2019年3月末で閉店が決定しました。
京都で70年親しまれてきた料理が味わえなくなるのはとても残念です。
みこう
住所:京都府京都市中京区西革堂町 河原町夷川西入一筋目上ル西革堂町193-1
電話番号:075-221-4826
営業時間:昼11:30~14:30・夜17:30~21:30
定休日:水曜日・毎月第4火曜日
URL:http://kyo-mikoh.com/
本家たん熊
鴨川の夏の風物詩、納涼床で風情を味わえるお店。
納涼床とは川がよく見えるところにお座敷を引いて料理を楽しむ作法です。
川の流れ見て、水のせせらぎを聞いて、そして京都の夏の代名詞、鱧料理をたっぷりと堪能できる、まさに五感で楽しめるお店です。
鱧料理の提供は6月から9月まで、ちょうど納涼床の時期とあっているので、京都の夏をしっかりと堪能したい時にピッタリですね。
ミシュランガイドにも掲載された名店。
今年の夏はちょっとリッチな京都を堪能してみませんか。
本家たん熊
住所:京都府京都市下京区和泉屋町168
電話番号:050-3628-1645
営業時間:昼11:30~15:00・夜17:00~22:00
定休日:日曜日
URL:http://www.tankuma.jp/
たん義
1964年創業、半世紀以上の歴史を持つ京料理の老舗の名店。
昔ながらの割烹料理店といった店構え、創業時に作られたという、一本木の綺麗なカウンター席は襟を正して料理を楽しみたくなる雰囲気を醸し出してくれます。
代々伝わる秘伝のたれで仕上げた、鱧がたっぷり乗ったボリューム満点の鱧丼が名物。
高級な鱧が、下のご飯が見えなくなる程大量に盛られたその見た目もインパクト抜群の一品です。
カウンター席からは、職人が鱧をさばく姿をうかがう事が出来、小気味よい骨切りの音を楽しみながら絶品の鱧丼をいただく、至福のひと時を過ごせます。
たん義
住所:京都府京都市東山区西之町 新門前通大和大路東入西之町210−2
電話番号:075-561-0446
営業時間:12:00~21:30
定休日:不定休
URL:http://tanyoshi.com/
割烹なか川
四季によって変わる、彩り鮮やかな京料理の数々。
本格派板前による見事な技が光る、絶品京料理が味わえる名店です。
美味しい一品料理から、すっぽんや鱧を使ったコース料理が楽しめます。
世に鱧しゃぶを広めたお店とも言われており、元祖の鱧しゃぶは特に絶品の一品。
シーズン真っ盛りの夏はもちろん、冬の身が締まった鱧も絶品で、季節を問わずに楽しむことが出来ます。
風情溢れる造りのカウンター席の他、お座席も用意されているので、美味しい鱧を食べながらくつろぐことも可能。
京都の食材に、特に鱧に徹底的にこだわった名店。
京料理を楽しみたいなら、必ず押さえておきたいお店です。
割烹なか川
住所:京都市東山区祇園花見小路通新橋東橋本町
電話番号:075-541-0552
営業時間:17:00~22:00
定休日:日曜日・祝日
URL:http://www.kappou-nakagawa.com/
三源庵
鱧料理専門の三源庵もおすすめのお店です。
京都の四季を彩り豊かな、そして繊細な京料理で楽しめます。
季節ごとに時期に合わせた献立が用意されており、夏になるともちろん、鱧も提供されます。
使われる鱧も韓国や淡路島といった、美味しい地域から採れたものを厳選したもので、素材の良さも一級品。
出汁にサッとくぐらせて、鱧本来の旨みをしっかりと楽しむ鱧しゃぶがメインのコースも外せません。
鱧の薄造りや落としも付いた、まさに鱧尽くしのコースで、京都で鱧を楽しむにはぴったりです。
三源庵
住所:京都府京都市南区吉祥院高畑町26
電話番号:075-681-7614
営業時間:昼12:00~15:00夜17:00~22:00
定休日:火曜日
URL:https://www.sangenan.jp/
割烹やす田
冬はカニやフグ、春は鯛、そして夏は鱧と、旬の魚でおもてなししてくれる割烹料理店。
魚介類に対するこだわりは、他の京都の料理屋とは一線を画す徹底ぶりです。
カウンターもお座席も雰囲気有る割烹料理店で、料理に対してしっかりと向き合え、そして落ち着く空間になっています。
このお店の鱧は七輪で焼いていただく焼き鱧になります。
湯引きやお鍋の具材に入れるのは、よく行われる調理方法ですが、七輪で焼くのはとても珍しい食べ方です。
素材にこだわっているからこそ出来る一品、是非とも堪能してみてください。
割烹やす田
住所:京都府京都市下京区七条御所ノ内南町39
電話番号:075-312-8023
営業時間:17:00~22:00
定休日:日曜日・祝日
URL:http://www.kappo-yasuda.jp/
富久
鱧料理とフグ料理の専門店。
旬に合わせて鱧かフグのどちらかの絶品コースが堪能できます。
鱧が食べられるのは3月下旬から10月の下旬にかけて。
鮮度や大きさ、脂の乗りにこだわった、選りすぐりの鱧の実を使用しています。
鱧のお造りや白焼き、天ぷらが楽しめる会席コースから、最高級の鱧だから出来る、絶品の鱧しゃぶが堪能できるコースまで、様々なコース料理が用意されています。
骨とう品や美術品が並ぶ、祇園情緒溢れる店内で、最高の京都の夏を堪能できます。
富久
住所:京都府京都市東山区大和大路通新橋下ル元吉町73
電話番号:075-561-0984
営業時間:12:30~21:30
定休日:日曜日
URL:https://tomikyu.net/
甚之助
二条駅近くにある、昔ながらの居酒屋といった店構えの老舗。
定食メニューをメインに扱っているお店です。
美味しくて品数が多い定食はどれも美味しいと評判です。
京都らしく鱧も取り扱っており、天ぷらや湯引きで定食で提供されています。
高級食材として知られている鱧ですが、こちらのお店では1,500円前後でいただけます。
とてもリーズナブルで、しかもお腹がいっぱいになれる定食屋さん、隠れた名店です。
甚之助
住所:京都府京都市中京区壬生馬場町15-17
電話番号:075-841-6633
営業時間:昼11:00〜14:00・夜17:00〜22:00
定休日:月曜日・日曜日
URL:http://blog.livedoor.jp/non5535-jinnosuke/
日本料理 櫻川
日本料理の伝統を大切にした、料理人の技が光る逸品を楽しめるお店。
川のほとりでゆっくりとした、贅沢なひと時を過ごせる空間を提供してくれます。
季節ごとに旬の魚を使ったしゃぶしゃぶが美味しいと評判。
フグやノドグロはもちろん、夏には鱧しゃぶも楽しめます。
玉ねぎ風味の出汁にサッとくぐらせていただく鱧はまさに絶品。
丁寧に仕込まれた、シンプルながらも料理人の技術と素材の味の両方を楽しめる贅沢な一品です。
この鱧しゃぶはお土産でも購入する事が可能。
自宅で本格的な京料理を味わえる、おすすめの商品です。
日本料理 櫻川
住所:京都府京都市中京区木屋町通二条下ル上樵木町491
電話番号:075-255-4477
営業時間:昼12:00~14:00・夜18:00~22:00
定休日:日曜日・年末年始
URL:http://www.kyoto-sakuragawa.jp/
割烹 濱喜久
1937年創業、80年以上の歴史を持つ割烹料理屋です。
新鮮な京野菜や旬の魚介を使った、本格的な京料理が味わえます。
炙り、落とし、お造りとどれもシンプルながら美しい見た目と繊細な味わいが絶品です。
ランチのお弁当から夜の会席コースまで、一品料理も手軽の楽しめる、時間を問わず鱧尽くしを堪能できます。
地元の常連さんも多く、中には祇園の舞妓さんも訪れているという噂の名店。
京都の地元の人達に長く愛されているという事は、その味は保証済みですね。
割烹 濱喜久
住所:京都府京都市中京区河原町四条上ル三筋目東入ル下大阪町352-4
電話番号:075-221-4180
営業時間:昼12:00~14:00・夜17:00~22:00
定休日:水曜日
URL:http://www.gojoryoin.gr.jp/hamakiku/
京都で人気の鱧料理店12選!ランチの安い名店から老舗の高級店までのまとめ
京都の夏の風物詩である鱧。
京都と鱧の縁の歴史や、京都ならではの鱧料理の名店をご紹介しました。
老舗の高級店から、安い値段で気軽に食べられるランチの名店まで、時間帯問わず楽しめる京都の鱧。
夏は祇園祭と鱧料理を楽しむために京都に出かけみるのもいいですね。