栃木の方言の特徴は?栃木弁以外にも種類がある?
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栃木の方言(栃木弁)の特徴
栃木弁の特徴は大きく分けて3つあります。
1. 尻上がり調のイントネーション
2. 平坦なアクセント
3. 語尾をのばす
では詳しく見てみましょう。
1. 尻上がり調のイントネーション
栃木弁の最大の特徴とも言われているのがこのイントネーションです。
疑問系じゃなくても尻上がりになりがちなので会話をしている時には注意が必要ですね。
2. 平坦なアクセント
同じ音だけど意味が違う言葉ってありますよね。(雨と飴、橋と箸、など)
これらは一般的にはアクセントで区別されています。
ですが栃木弁はアクセントが平坦!
つまり同じ発音になってしまうことが特徴です。
そうなると文脈から見分けるしかないので、栃木弁で話している時は前後の文章から意味を考えることが必要です。
3. 語尾をのばす
栃木弁と聞くと「〜べぇ」「〜ぺぇ」などの語尾を想像する人も多いかと思います。
語尾を伸ばすのも特徴のひとつです。
語尾を伸ばす話し方は少し幼いような、かわいらしい印象を相手に与えます。
これも栃木弁がかわいいと言われる理由のひとつでしょう。
このほかにも
「い」と「え」の区別があまりない、
濁点や「っ」をよく使う
といった特徴もあげられます。
栃木の方言(栃木弁)の種類
栃木弁は「違う町の人と話すと、方言が分からず話が通じない」と言われるほど、栃木県内でも場所によって異なります!
県東(益子市など)、県西(日光市など)、県南(足利市など)、県北(那須塩原市など)、県央(宇都宮市など)で分けられるそうです。
その中でも県南(足利市や佐野市)で使われている方言は足利弁と呼ばれ、少し変わっています。
足利弁の特徴はアクセントのある話し方をすること。
栃木弁の特徴である無アクセントではないのです。
ちなみに足利弁は両毛弁と呼ばれることもあります。
これは栃木県南西部と群馬県南東部を合わせた地域が両毛呼ばれているためです。
栃木県民がよく使う栃木弁の定番フレーズ14選
栃木弁の特徴については先ほどご紹介しましたが、それではどんなフレーズがあるのでしょうか。
- だいじ
- 〜んさぁ
- 〜けぇ?
- 〜べぇ(〜っぺぇ)
- 〜ぱぐる
- おわす
- あるって
- らいさま
- めっけ
- したっけ
- でれすけ
- おっかない
- とうと
- おばんです
これだけ見て分かる方はかなり栃木弁に詳しい方でしょう。
では意味と使い方について詳しく見ていきましょう。
1. だいじ
「大丈夫」という意味。
栃木県内で最もメジャーな言葉です。
県外の人に対してうっかり使ってしまうと「え?何が大切なの?それとも、何かおおごとがあったの?」と疑問に思われることが多々あります。
けれど栃木県民にとってあまりに身近な言葉なのでこれが方言だと気付いていない人もいます。
(例)「あんべえはどうだい?」/「だいじだいじー。」(調子はどうだい?/大丈夫大丈夫。)
※あんべえ=(調子)
2. 〜んさぁ
「〜なんだ」という意味。
語尾によく使われるフレーズです。
こちらも方言という意識があまりないので、ついつい標準語を話している感覚で使ってしまいがち。
(例)「きのうおととい、サッカーしたんさぁ」(一昨日、サッカーをしたんだ。)
※きのうおととい=一昨日
3. 〜けぇ?
「〜かな?」という意味。
疑問や質問の時に使われるフレーズです。
(例)「あおたんあんな。だいじけぇ?」(青あざがあるね。大丈夫?)
※あおたん=青あざ
4. 〜べぇ。(〜ぺぇ。)
「〜でしょう」という意味。
文脈によっては「〜だべぇ」になることもあります。
栃木弁を話す時にはかなりよく使います。
栃木弁を代表するフレーズのひとつです。
(例)「だからぁ、そう言ったべぇ。」(だから、そう言ったでしょう)
5. 〜ぱぐる
「〜しそこねる」という意味。
「食いっぱぐれる(食べそびれる)」という言葉を耳にしたことがあります。
けれど栃木弁の場合はそれだけでなく、色々な動詞とともに使われます。
(例)「行きっぱぐる」(行きそこねる)
6. おわす
「終える、終わらせる」という意味。
「おわす」という音だけ聴くと"ある、いる"の尊敬語のように聞こえますね。
知っていないと一瞬きょとんとしてしまうフレーズのひとつです。
(例)「てれんこてれんこしてねーで、はやく宿題おわしな。」(早く宿題終わらせなさい。)
※てれんこてれんこ=ダラダラと。やる気のない様子。
7. あるって
「歩いて」という意味。
このように動詞の中に「っ」が入って来るフレーズが栃木弁にはいくつかあります。
かっつぁく=掻きむしる、おっかける=追いかける、おっかく=折る・割る、など。
一般的に、「っ」(促音)を使う話し方は舌ったらずでかわいい印象を与えます。
(例)「あすこまで、あるってった。」(あそこまで、歩いていった。)
※あすこ=あそこ
8. らいさま
「雷」という意味。
北関東(栃木県・群馬県・茨城県)は雷が起きやすく、雷銀座なんて呼ばれているほど。
地形上の特性から夏場に雷が発生しやすいそうです。
(例)「きのうはすげぇらいさまだったな。」(昨日はすごい雷だったね。)
9. めっけ
「見つける」という意味。
「あるって」と同様、促音を使った動詞です。
特徴にて「い」と「え」の区別があまりないと書きましたが、それもあってみつけた→みつけ→めつけ→めっけと変化したのでしょうか。
短くてかわいらしいフレーズですが、栃木弁の特徴がたくさん詰まっていますね。
(例)「たんぽぽ、めっけたよ」→(たんぽぽを見つけたよ。)
10. したっけ
「それなら」「そしたら」という意味。
栃木弁だけではなく東北弁や北海道の一部でも使われるフレーズです。
(例)「きのうおとといゴルフしたんさ。したっけ筋肉痛だべ」(一昨日ゴルフをしたんだよ。そしたら筋肉痛だよ。)
11. でれすけ
「ばか、アホ、役立たず、怠けもの」という意味。
12. おっかない
「怖い」という意味。
ちなみに栃木弁で「こわい」というと疲れた、くたびれた、硬いという意味になります。
おっかない=怖いというのは想像しやすいですが、栃木の人にうっかり「こわい」と言ってしまうと誤解を招くかもしれませんね。
13. とうと
「ずっと、いつも」という意味。
(例)「とうとお菓子よばれてわりぃなぁ。」(いつもお菓子をご馳走になって悪いね。)
※よばれる=ご馳走になる、もてなされる
14. おばんです
「こんばんは」という意味。
挨拶で使います。
以上、栃木県民がよく使う栃木弁の定番フレーズ14選をご紹介しました。
ただ方言の説明の場合、文字だけだと少しわかりにくいですよね。
特に栃木弁はフレーズそのものよりイントネーションが特徴的です。
そこで、より栃木弁について知ってもらうために、解りやすい動画をご用意しました。
お時間あればご覧になってみてください。
栃木県民が思わず使っちゃう栃木弁の面白フレーズ8選!
方言はその地域に住んでいる人にとっては普通でも、知らない人が聞いたらわからないことが多いですよね。
ここでは聞いた瞬間、意味を知らないと戸惑ってしまうような栃木弁のフレーズを8つご紹介します。
- ごじゃっぺ
- しずむ
- よして
- ひやす
- なげる
- うら
- てばたき
- わすら
これだけ見てどんな意味か想像がつきますか?
では以下で意味と使い方をご説明します。
①: ごじゃっぺ
「嘘、冗談、いい加減なこと」という意味。
茨城弁でもよく使われるフレーズです。
今まで出てきたフレーズは何となく意味を想像できました。
ですが、これは初めて耳にしたら意味が全くわからないでしょう。
(例)「そんなごじゃっぺばっかりいってんなぁ」(そんな嘘ばっかり言ってないで)
②:しずむ
「お風呂で肩までつかる」という意味。
(例)「ちゃんとしずんでおいで」(ちゃんと肩までつかっておいで)
栃木弁を話す側としてはよかれと思ってかけた言葉。
でもお風呂でしずむ、なんて聞いたら一瞬どきっとしてしまいますよね。
③:よして
「泊まらせて、寄らせて」という意味。
音だけ聞くと「やめて」という意味と勘違いしていまいそう。
(例)「今夜よして」(今夜泊まらせて)
こう言われて「都合が悪いから今夜の予定はなしってことかな」なんて勘違いが生まれてしまうかもしれません。
④:ひやす
「水につける」という意味。
(例)「食べ終わったらお皿ひやしといて」(食べ終わったらお皿を水につけておいて)
"食べ終わったのに、このお皿を冷蔵庫で冷やすの・・・??"
と混乱してしまいそうですね。
栃木弁を話すお友達の家に行く際はこのフレーズを知っておいた方がいいかもしれません。
⑤:なげる
「捨てる」という意味。
(例)「これ、ちょっとなげといて」(これ、ちょっと捨ててきて)
栃木弁を知らない人からしたら
"どこに投げるの?っていうか適当に投げていいものなの??"と驚いてしまいます。
⑥:うら
「うしろ」という意味。
一見わかりそうなフレーズです。
「スーパーのうらの家」などは分かりますよね。
でも県外からきた転校生に対してうっかり「席は教室のうらの方な」(席は教室のうしろの方だよ)なんて言ってしまったら・・・?
一瞬いじめかと焦ってしまうかもしれません。
⑦てばたき
「拍手」という意味。
栃木弁ではよく使うフレーズです。
ゆっくり考えてみれば意味を想像できますが、突然言われたらどうしていいのか戸惑ってしまいます。
(例)「はい、じゃぁみんな、てばたきー。」(はい、それではみんな拍手してください。)
⑧わすら
「いたずら」という意味。主に学校などでよく使われる栃木弁です。
(例)「てわすらしてんじゃねぇよ。」→(手をもごもごさせて、いたずらするなよ)
以上、初めて聞いたらびっくりするような栃木弁の面白フレーズ8選でした。
【番外編】栃木弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ5選
告白というと、いくつになっても緊張するものですよね。
緊張すると普段標準語で話していても、つい方言が出てしまうこともあるかもしれません。
でも栃木弁での告白ってどんな表現をするのでしょうか。
よく使われる栃木弁で愛の告白をするなら、というテーマで告白フレーズを5つ考えてみました!
- とうと好きだべぇ
- 付き合ってくれんけ?
- とうと、いっしょにあるってかねぇ。
- あーもう、でれすけぇ、何度も言わすなぁ。
- いつもごじゃっぱばっか言ってっけど、ほんとに好きなんさぁ
甘酸っぱい響きが満載ですね。
では以下で詳しく見ていきましょう。
①:とうと好きだべぇ
→「ずっと好きだよ」。
ストレートな表現ですが、栃木弁でいうとかわいい響きがします。
②:付き合ってくれんけ?
→「付き合ってくれませんか?」
こちらも告白の代表的な言葉!
栃木弁を知らない人にも十分に意味が伝わります。
そして栃木弁の独特な尻上がりのイントネーションで言うことでかわいく聞こえるでしょう。
③:とうと、いっしょにあるってかねぇ。
→「ずっといっしょに歩いていこうね。」
プロポーズの時に使われそうな言葉です。
「とうと(ずっと)」という言葉の中にあたたかさを感じます。
④:あーもう、でれすけぇ、何度も言わすなぁ。
→「あーもう、ばか!何回も言わせないで。」
このフレーズ自体は直接的な告白ではありませんが、素朴なツンデレの栃木っこが告白して照れながら言いそうです。
「でれすけ」はバカ、アホなどの意味ですが、恥ずかしがってつい憎まれ口を叩いてしまうという心理、分かる気がします。
⑤:いつもごじゃっぺばっか言ってっけど、ほんとに好きなんさぁ。
→「いつも冗談ばかり言ってるけど、ほんとに好きなんだ」
語尾に「〜んさぁ」と付けると文章全体がかわいくなりますね。
栃木弁のかわいさの秘訣は語尾にあるとも言えるでしょう。
以上、栃木弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ5選でした。
【番外編】栃木県出身の芸能人や栃木で撮影された栃木弁の映画やドラマ
栃木県出身の芸能人で、よく栃木弁を話す人は
山口智子さん、
U字工事さん、
大島美幸さん(森三中)がいます。
大島優子さん(元AKB48)も栃木県出身ですが、あまり栃木弁を使っているところは見かけません。
音楽業界では
河口恭吾さん、
齋藤和義さんが栃木県出身です。
齋藤和義さんの「オリオン通り」という曲を出しているのですが、これは宇都宮市にある商店街の名前です。
また、河口恭吾さんは「渡良瀬橋」という森高千里さんの曲をカバーしています。
渡良瀬橋は足利市に実際にある橋です。
河口恭吾さんの出身地である佐野市は足利市の隣にあります。
地元への思いを込めて歌っているのかもしれませんね。
魅力満載でかわいい栃木弁
栃木弁の3つの特徴である
尻上がり調のイントネーション
平坦なアクセント
語尾を伸ばす
これに加えて栃木弁の定番フレーズ15選や面白フレーズ8選を抑えていればあなたも栃木弁を使いこなせるかもしれません。
かわいい栃木弁に、ぜひチャレンジしてみてください!
ちなみに栃木弁の復習するのによいインターネットドラマを見つけました。
<栃木県発異色刑事ドラマー方言刑事ー>
これは栃木県が栃木弁のPRのために作成したものです。
栃木県が公認で作った栃木弁満載のドラマ。
栃木弁の魅力を再確認したい方はぜひ見てみてください。