静岡の方言の特徴は?静岡弁以外にも種類がある?
静岡の方言の特徴は語尾にあります。強い訛りではないので他県の人にも理解しやすく、思わずマネしたくなる言葉がたくさんあります。またイントネーションも特徴の一つで、言葉は標準語なのにちょっと独特に感じるのはそのせいかもしれません。
静岡は横に広いため、東と西でも話されている言葉に違いがあります。同じ語尾でもニュアンスが違ったり、同じ言葉でもアクセントが違ったりと微妙な差があります。
中部地方の「静岡弁」、西部地方の「浜松弁」のそれぞれの特徴をみていきましょう。
静岡の方言(静岡弁)の特徴
静岡の中部地方は大井川を挟んで東側、かつて今川氏で栄えた駿河国です。江戸時代、徳川家康が江戸に行く際に多くの職人を駿河から連れて行ったことから、江戸弁の基礎が駿河弁とも言われています。
語尾の特徴は「〜ら」です。
「〜ら」は肯定にも否定にも使える便利な言葉です。
「これうまいら」→「これうまいね」
「食べるら?」→「食べるよね?」
また静岡弁では「そうら?(そうでしょ?)」という使い方もします。
実は浜松弁でも語尾に「ら」は使うのですが、「そうら?」という使い方はしないので、ここが大きな違いです。
静岡の方言(浜松弁)の特徴
静岡の西部地方は大井川を挟んで西側、かつての遠州国です。そのため浜松弁は「遠州弁」と呼ばれてもします。
隣県の愛知県にほど近いため、西に行けば行くほど西の言葉の影響も強く受けています。
語尾の特徴は「〜だら」や「〜だに/〜に」です。
子供A「お父さんって明日出張だら?」子供B「だら」→子供A「お父さんって明日出張だよね」子供B「そうだと思う」
「だら」は「ら」と同じく肯定にも疑問にも使える言葉で、語尾でなくてもそれ単体でも返事ができます。
この場合の返事の「だら」は確信はないけど多分そうだと思う、のようなニュアンスが含まれています。
「これ内緒だに」→「これ内緒だよ」
アクセントにも特徴があるのが浜松弁です。
代表的なのは「はんそで(半袖)」「なに(何)」などです。
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ15選
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ①:〜だもんで
県内に足を踏み入れればあちこちで聞こえるであろうフレーズです。この言葉が使えればあなたも静岡県民の仲間入り?
意味は接続詞「〜だから」です。他にもだからを意味する言葉として「〜だで****」も頻繁に使われます。
「こっち忙しいもんで手伝ってくれん?」→「こっち忙しいから手伝ってくれない?」
「明日は試験だで早く寝るわ」→「明日は試験だから早く寝るよ」
ちょっと言葉に詰まった時などにも使えます。
「えーっと、だもんでー、えーっと…」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ②:〜だよ
標準語では確認をする時に「だよ」を使いますが、静岡では異なります。
語尾に使う言葉で「〜するんだよ」という意味で使われ、①のだもんでと同じく頻出静岡方言です。
この言葉の特徴はその使い方です。「〜だよ」の前に来る言葉は動詞の終止形になります。
「この後友達と遊びいくだよ」→「この後友達と遊びいくんだよ」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ③:ちんぶりかえる
「すねる」「ふてくされる」という意味です。怒るやムカつくと言うとダイレクトで強く聞こえてしまいますが「ちんぶりかえる」を使うと小さい子供がすねているような光景が思い浮かびますね。
「もーあんたはほんとちんぶりかくじゃね」→「もーあんたはほんとすねるんじゃないいよ」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ④:しょんない
「仕方がない」「しょうがない」という意味です。「しょうがない」を短縮したような言葉です。
ピエール瀧さんの静岡ローカル番組のタイトル「しょんないTV」でも使われています。
諦め度が強かったり誰かに呆れたりしたときに使います。
「負けてもしょんないよ」→「負けてもしょうがないよ」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ⑤:うっちゃる
ラムちゃんが言ってそうななんとも可愛い表現ですが「ゴミをうっちゃる」と聞いたらどうですか?うっちゃるは「捨てる」「ほかる」という意味で使います。
「このゴミうっちゃって」→「このゴミ捨てちゃって」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ⑥:バカ
「バカ」というと怒られているようにも聞こえますが、「すごい」「すごく」と言う意味で物事を誇張するときに使います。
「バカ頭いいら〜」→「すごく頭いいね」
バカなのか頭がいいのか初めて聞く人にはよく分からないフレーズです。
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ⑦:ど
こちらも「バカ」と同じく物事を誇張する言葉で「すごい」「すごく」と言う意味を持ちます。西部地方や愛知県で多く使われる言葉です。
「どいかんら〜」→「すごくよくないよ」
子供がよく使うフレーズです。「どいかんら〜先生に言ってやるに〜」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ⑧:えらい
決してほめているわけではなく、風邪の時や苦しい時など体調が優れない時に使います。
東海地方でも使われる地域があります。
「最近寝不足でえらい」→「最近寝不足で体がだるい」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ⑨:〜したっけ
思わず語尾に?をつけたくなりますが、質問や確認の投げかけではありません。「〜したんだ」と過去にあった出来事を話す時に使います。
「昨日例のカフェ行ったっけ」→「昨日例のカフェ行ったんだ」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ⑩:うちっち
たまごっちのキャラクターの1種ではなく、一人称である自分や自分の家を指すときに使います。主に県中部〜東部で使われています。
男の子だと「俺っち」と言ったりもします。
「今日うちっちくるら?」→「今日うち来るでしょ?」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ11:いいにする
「やめておく」という意味で断るときに使えます。「嫌」というダイレクトな言葉を避けてやわらかい言葉で伝えられるのが良いですね。
「うち寄ってく?」「今日はいいにしとく」→「うち寄ってく?」「今日はやめておくよ」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ12:かう
「買う」でも「飼う」でもなく鍵をかける時に「かう」と使います。愛知県の一部の地域でも使われている言葉です。
「ちゃんと鍵かった?」→「ちゃんと鍵かけた?」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ13:たこる
凧をあげることでもなく蛸を食べることでもなく「サボる」ことを「たこる」と言います。
「今日の練習たころうよ」→「今日の練習さぼろうよ」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ14:ゆるせい
「のんびりできる」という意味を持ちます。言葉の雰囲気からもどことなくゆったりしている印象があるので想像しやすいかもしれません。
ただ否定の形でよく使われます。
「今日はみんないてゆるせくないね」→「今日はみんないてゆっくりできないね」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の定番フレーズ15:ちょびちょび
「落ち着きがない」「ちょっかいを出す」などの意味で使われます。標準語だと「少しずつ」のようなニュアンスがあるか思いますが全然違いますね。
ちょこちょこ走り回っているような光景が思い浮かぶので子供に対してよく使われます。
「ちょびちょびしてないで早くお風呂に入りなさい」→「ちょっかい出してないで早くお風呂に入りなさい」
静岡県民が思わず使っちゃう静岡弁・浜松弁の面白フレーズ5選!
実際に標準語で使われている言葉は、本当の意味を知らないと思わず「え…?」とフリーズしてしまうかもしれないません。思わず笑ってしまう面白フレーズです。
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の面白フレーズ①:かじる
「蚊に刺されたからかじった」「え…?(何をやっているんだこの人は)」と思ってしまいそうですが、標準語の「かみつく」を意味する口でかじることではありません。本当にかじったら大変です。
静岡県民は「指で掻く」「引っ掻く」という意味で使うので、例文は「蚊に刺されたから掻いた」となります。
「背中かじって〜」→「背中掻いて〜」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の面白フレーズ②:とぶ
こちらも元の意味と勘違いしてしまいそうですが、「走る」という意味です。意味を知ってもとぶように早く走るようなイメージですが一般的な「走る」として使われます。
「50m何秒でとんだ?」→「50m何秒で走った?」
「廊下をとんではいけません」→「廊下を走ってはいけません」
他県から引っ越して来ていきなり先生に言われたら思わず笑ってしまいそうですね。
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の面白フレーズ③:いただきました
ご飯を食べ終わった後「ごちそうさま」の代わりに「いただきました」を使います。「いただきます」とセットで考えると確かに違和感はないかもしれません。
しかも何だか少し上品な感じがします。これは県中部で使われ、他県では山梨県や長野県でも使われる地域があります。
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の面白フレーズ⑤:せにゃ
にゃーにゃー猫の鳴き声のようですが、「〜しないと」「〜しなければ」が短縮されたような言葉です。ネイティブ的には「せにゃー」と語尾を伸ばします。
県内でも貴重な方言で一部の地域でしか使われない言葉です。
「早く支度せにゃいかん」→「早く支度しないといけない」
静岡県民がよく使う静岡弁・浜松弁の面白フレーズ④:がんこ
一般的には頑なな人を指す言葉ですが、「ものすごく」「たくさん」と量が多い様子を表す言葉です。毎年浜松市で開催される「浜松がんこ祭り」というよさこいイベントのネーミングにも使われています。
ただ今の若者には「めっちゃ」などの言葉の方が浸透しているようです。
「今日はやることががんこある」→「今日はやることがたくさんある」
【番外編】静岡弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ5選
語尾が可愛くてなんだかほっこりする静岡弁で告白された「はい」と言わずにはいられないかもしれません。
静岡弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ①:好きだけんさー
ストレートが一番ということで、「好きだから」と真っ直ぐな気持ちを伝えるフレーズです。好きだけんさーの前に「〇〇のこと」と名前をつけてもらって言われたらたまらないですね。
静岡弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ②:うちっち好きだもんで
自分のことを「うちっち」と言っている時点でもう可愛さは120%です。女の子に上目遣いで言われたら鼻血が出てしまうかもしれないほど萌えるフレーズです。
言われた本人は使わない言葉だったとしても何となく意味はわかりますよね。
「私、好きだから」
静岡弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ③:うちっちのこと好きじゃないだか?
「私のこと好きじゃないの?」とちょっと控えめで探るようなニュアンスのあるフレーズです。上では紹介できなかった語尾の「だか」がポイントです。
間違っても答える時に「うん」とは言わないように。
静岡弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ④:付き合わまい?
「付き合わない?」と直球で伝えるフレーズですが、どこかほんわかした雰囲気があります。「付き合わない?」と言われると少し上から目線な気もしてしまいますが、語尾が柔らかく「まい?」となっているので高飛車な感じはしませんね。
「まい」の他にも「ざぁ」という言葉も使われます。
「付きあわざぁ?」
静岡弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ⑤:好きになったでしょんないら
接続詞だからの「だで」+ しょうがないの「しょんない」+でしょを意味する「ら」で組み合わさった静岡弁トリプルパンチのフレーズです。
男女どちらが言っても少し恥じらいがあるようなハニカム様子が目に浮かびます。
【番外編】静岡県出身の芸能人や静岡で撮影された静岡弁の映画やドラマ
長澤まさみ
静岡県磐田市出身の女優。
静岡のローカルレストラン「さわやか」のげんこつハンバーグが好きなことでも有名です。
お父様は静岡のJリーグチーム「ジュビロ磐田」の初代監督である長澤和明さんです。
百田夏菜子
静岡県浜松市出身のアイドル、女優。
「茶畑のシンデレラ」でおなじみももいろクローバーZのリーダーです。
ラグビーワールドカップ2019の開催都市特別サポーター・静岡代表にも選出されています。
春風亭昇太
静岡県静岡市出身の落語家。
2006年に笑点メンバーに加わり、2016年には6代目司会者に抜擢されました。
2018年にはふじのくに観光大使に任命されました。
トータルテンボス
静岡県御殿場市出身のお笑いコンビ。
2007年のM-1チャンピオンでは準優勝。
静岡の人気ローカル番組「くさデカ」を担当しています。
ドラマ 世界の中心で愛をさけぶ
2007年7月から9月まで放映された、片山恭一さんの大ヒット小説が原作のドラマ。主人公を山田孝之さん、彼女を綾瀬はるかさんが演じたことでも話題になりました。
メインロケ地は静岡県賀茂郡松崎町。
映画 イニシエーション・ラブ
映画化不可能と言われた乾くるみさんの小説を実写化したもの。主人公を松田翔太さん、前田敦子さんが演じました。
小説も映画も舞台は静岡県静岡市です。
おんな城主 直虎
2017年のNHK大河ドラマ。後の彦根藩藩祖、井伊直政を育てた井伊直虎が主人公のドラマです。
主人公の井伊直虎を柴咲コウさん、井伊直政を菅田将暉さんが演じ、遠江井伊谷(現:静岡県浜松市北区引佐町)がメイン舞台の時代劇でした。
東と西では他県並みに違う言葉を持つ静岡弁
東と西で使われる言葉が違うのは横に広い静岡県の特徴です。
言葉は同じでも微妙にニュアンスやイントネーションが違ったりと、使い方が変わるのはとても興味深いですね。
静岡弁は訛りが弱く理解しやすい方言なので、ぜひ真似して静岡県民を喜ばせてあげましょう。
また標準語を話していると勘違いしている静岡県民に「それ方言だよ」と優しく教えてあげてください。