中国の通貨は元(人民元)
中国の通貨単位は、人民元(元「ユエン」)です。
英語においては、RMBと表記されます。
人民元以下の補助通貨単位としては、角(ジャオ)と分(フェン)があります。
100分=10角=1人民元です。
人民元の紙幣は、1元紙幣、5元紙幣、10元紙幣、20元紙幣、50元紙幣、100元紙幣とあり、いずれも毛沢東の肖像画が描かれた同じデザインです。
これに、1角紙幣と5角紙幣もあります。
コインは、1、2、5分硬貨と、1、5角硬貨、それに1元硬貨です。
人民元の為替レートは現在、「管理変動相場制」が採用されており、中国の政府がアメリカ合衆国の米ドルと人民元との変動幅を決定し、日本円などの他の通貨は、その変動幅に比例して変動していく、といった具合になっています。
2018年12月現在の、中国の人民元の為替レートは、1人民元=16.43円となっています。
尚、同じ中国の一部ではあるものの、香港とマカオは「一国二制度」という特殊な統治制度にあるため、それぞれ香港ドルとパタカが使用されています。
中国の物価は日本に比べて高い?安い?
中国の都市部は物価が高い
中国という国は、ご存知のように大陸国家であり、その国土は非常に広く、おまけにそれぞれの地域に多くの異なる民族の住む多民族国家でもあります。
政府は中国共産党一党独裁の社会主義国家でありながら、経済だけを自由化し市場開放しているいびつなスタイルで急激な近代化と経済成長を遂げた国ゆえに、国内でも賃金をはじめ生活レベル、物価の格差は日本では想像もつかないほど大きなものがあります。
ですから、経済成長し近代化を果たして高層ビル群の林立する大都市の北京や上海などでは、日本と比較しても同等かそれ以上に物価が高いのは当たり前です。
北京や上海などはこれに加えて海外から多くの観光客やビジネスマンが訪れるため、都心部においては、レストランやバーなどは東京都心の店よりも価格の相場が高くなっています。
中国で物価の安い都市は?
北京や上海のような近代的な大都会は東京よりも物価が高いのが普通になっている中国ですが、地域が変われば同じ国とは思えないほど物価が安くなります。
一般に、中国では開発の進んだ沿岸部や東側が物価が高く、西、つまち内陸部へ進めば進むほど物価は安くなります。
大きな都市で、日本人観光客からしても物価が安いと思える代表的な都市は、日本とも歴史的な縁の深い中国北東部の街、ハルビン市が挙げられるでしょう。
旧満州国の都市としても有名ですが、この都市においては、交通費から食事にかかる料金にに至るまで、物価は全般的に日本よりもだいぶ安いです。
中国の都市部の物価が高い理由
中国の物価が高い理由①:経済成長と比例
周知のように前世紀の終わりに政治形態は社会主義体制のままで、経済(市場)だけ解放した中国は、その後はグングンと経済成長を続け、遂に2010年にはGDP(国内総生産)で日本を抜き去り、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になりました。
こうしたドラスティックな経済成長は、中国国内に様々なそれに伴う諸問題を引き起こしました。
環境破壊(公害・大気汚染)や不動産バブル、食の安全問題、貧富の大きな格差、地域差などです。
その大きなものとして、年々急上昇を続ける物価があります。
とりわけ、早い段階から急速な経済発展の結果開発を繰り返してメトロポリス化した北京や上海などの大都会では、経済的に大成功した大企業グループや富裕層が大量に生まれるとともに、海外企業も世界中からビジネス参入しており、局所的に賃金や生活レベルが引き上げられました。
こうした急速で大きな経済成長に伴って、中国の都市部は地方に比べると遥かに物価が高い環境が醸成されていったわけです。
日本もかつて昭和時代の高度経済成長期やバブル期ぐらいまでは、今の中国のように年々物価が上がり続けていた時代を経て、長い低迷期で物価の安定した時代を迎えています。
そういった意味では、市場経済的には中国はまだまだ若い国だと言えるわけです。
中国の物価が高い理由②:富裕層が多く住むから
北京や上海では、経済的に大成功した富裕層も数多く住んでおり、彼らの多くは日本の富裕層よりも遥かにお金持ちです。
そのため、上海など非常にバブリーな階層の人々も多く街中をフェラーリやランボルギーニ、アストンマーチンなどといった超高級スーパーカーが走っているのを見ることも珍しくはありません。
こういった超富裕層の一方で、日本の労働者より遥かに賃金の安い労働者も多くその貧富の格差は日本の比ではありません。
しかし、東京でもそうですが、このような富裕層が働いたり飲み食いしたり遊んだりする都心部、中心街においては、こういった中国の富裕層および海外から集まっている比較的エリート層のビジネスマンなどに合わせて物価も生活レベルも吊り上がっているわけです。
日本でも東京一極集中化が大問題になっていますが、国土の広い中国における北京や上海への富裕層の集中はこの周辺の物価を引き上げる大きな要因になっています。
中国の物価が高い理由③:輸入品が非常に高いから
中国の都市部においては、総じて物価が高く、北京や上海などの大都会においては東京よりも物価が高いなんて現象はザラです。
そんな中でも、国内で生産されるものは比較的安価なものも多い反面、日本製品をはじめとした海外からの輸入品は、とても高価です。
これは、関税の問題です。
中国政府は、外国産の輸入品に対してはガッツリ高い関税をかけるのが常なのです。
ですから、都市部のデパートやスーパーなどで、日本のしょうゆやみそといった調味料を購入すると、日本の販売価格の数倍の物価も珍しくないわけです。
中国の物価を日本の物価と比較
中国の物価を日本の物価と比較:交通費
電車
中国における電車(列車)の価格は総じて日本よりも安いです。
広い国土内の都市間や地域間を移動する長距離列車の運賃は、数百円~数千円程度であり、日本の新幹線をはじめとする長距離の特急電車と比較するとかなりお得です。
更に、北京や上海などの大都会では、地下鉄が走っており、市民の通勤や日常の足としてにぎわっています。
こちらも、日本の地下鉄料金と比べるとかなりお安く、上海地下鉄の初乗り料金の場合は、6kmまでなら3元(約50円)で、それ以降も10kmごとに1元+という安さです。
タクシー
中国のタクシー料金はその地域や都市によってかなり差があります。
しかし、総じて言えることは、日本のタクシー料金よりはかなり安いということです。
一般的に、北京や上海のような国際都市の大都会では高目ですが、それでも日本のタクシー料金よりは安いです。
中国で平均的な大都市と言われる青島においては、初乗り料金は9~10元(約148~165円)なので、このぐらいが中国における平均的なタクシーの初乗り料金と思って良いでしょう。
ただし、無許可の白タクにはぼったくりや質の良くない連中もいるので、必ず正規のタクシーを利用するようにしましょう。
バス
中国は、各都市で路線バスが網羅していて、移動にとても便利な手段となっています。
首都北京にもたくさんの路線バスが市内を縦横無尽に網羅しています。
乗る際には、日本のSuicaにあたる「一卡通」という名前のICカードを購入し利用します。
このカードはメトロ(地下鉄)と共通のカードですが、バス利用に使うとなんと5割引き!という大変お得な特典付きなので使わない手はないですね。
バス運賃も日本に比べると大変安く、10km以内であれば、2元(約33円)で済み、それ以後も+5kmごとに1元ずつ上がっていく方式です。
中国の物価を日本の物価と比較:通信費
当然のことながら、中国へ行ったら、日本で普段使用している、ドコモやau、ソフトバンクなどの日本のキャリアの電波は使えなくなります。
そのため、中国国内のキャリアに電波を使わせてもらう海外ローミングサービス契約をしなくてはならないわけですが、中国の場合には、共産主義国家ということもあり、SNSをはじめ、インターネットに規制がかかっています。
しかも海外ローミングサービスは大手社のキャリア以外は使えません。
楽天モバイルユーザーなどは使えないわけです。
そこでオススメの方法としては、レンタルWiFiを利用するやり方です。
1日料金の中に通信料金がセットされていて、料金は1日数百円という安価で済みます。
長期滞在ではなく、観光旅行などであれば、このレンタルWiFi利用が最もリーズナブルで合理的でしょう。
中国の物価を日本の物価と比較:コンビニ
お水
中国においては、国内のどの地域であっても水道水は衛生上飲むことはできません。
ですから、飲料水にはミネラルウォーターを購入しなければなりません。
ですが、中国においてミネラルウォーターの販売価格はとても安く500ml入りのペットボトルで1元(約17円)、1.5L入りのペットボトルであれば、2元(約33円)で購入することができます。
お酒
中国においてお酒を購入する場合には、中国産のお酒であれば非常に安価で販売されているのでお得です。
現地の無名の酒であれば、3元(約50円)程度から売られています。
ビールに関しては輸入物の日本でもお馴染みの銘柄類であっても、ほぼ日本と同じ位の13元(約214円)~の価格で販売されていますが、輸入物のワインやウイスキー類は日本で買うよりも高いです。
タバコ
中国は日本と比べると、まだまだ喫煙者の多い国の1つです。
喫煙率は、女性はわずか2%と低いものの、男性は50%を超えており、街のあちこちや公共の場も、中国国内では愛煙家天国のような場所が多いです。
そのためか、タバコも実に様々な銘柄が売られており、その価格も、下は1箱3元(約50円)から上は、1箱80元(約1315円)ぐらいまでとピンキリです。
中国の物価を日本の物価と比較:レストラン
中国のレストランと一口に言っても、中国はとても広く地域差の大きな国なので括って言うことはできません。
総じて言えることは、北京や上海などの大都会では、かなり相場は高く、地方のレストランは日本よりもだいぶ安いという事実です。
具体例として、北京の平均的な中国料理のレストランの料金を挙げておくと、ランチが60元~100元(約1000円~1650円)程度、ディナーが200元(約3300円)~となっています。
もちろんこれよりも安価のファストフード的な食堂もたくさんありますが、日本人の衛生観念から言うと、ある程度の価格のレストランで食事をとる方が無難でしょう。
中国の物価を日本の物価と比較:ローカルフード
中国は俗に4000年の歴史という古い伝統もあって、食文化も深いものがあります。
ですから、美味しいローカルフードはたくさんあることは言うまでもありません。
その中でもここでは、特にオススメのローカルフードをご紹介しておきましょう。
広州のローカルフードである「伊府麺」です。
伊府麺とは、小麦粉を卵だけで練って製造した麺を一旦お湯で茹でで、その後油で揚げた麺のことです。
これに様々な餡をかけて食す絶品の食感が味わえる料理です。
一般的な上海他の大都市のレストランでの伊府麺の値段は、14元~18元(約230円~300円)程度が相場となっています。
中国の物価を日本の物価と比較:ショッピング
中国、とりわけ大都市である北京や上海などの大型ショッピングモールやスーパー、デパートなどでショッピングをする場合、日本よりも高いものはかなり多いです。
特に家電製品は日本製を買う場合には高い関税がかかっており、非常に高価です。
具体例を挙げれば、日本で買えば1万円程度の電気ポットが、中国で同じものを買うと、3000元(約49500円)もするといった具合です。
同じく、海外ブランドの衣料品やバッグなども日本で買う方がずっと安いです。
中国人観光客の皆さんが日本で、家電製品を爆買いするのもわかりますよね。
中国の物価を日本の物価と比較:観光・アクティビティ・テーマパーク
広大な中国には実に数多くの観光名所やテーマパークが存在します。
ここではその中でも、近年なんといっても話題独占の2016年6月にオープンしたばかりのテーマパークである「上海ディズニーランド」をご紹介しましょう。
上海ディズニーランドのチケットは、平日券が大人1dayで、399元(約6600円)、こども1dayで、299元(約4950円)となっています。
ハロウィンやクリスマス、年末年始、旧正月にはイベントも盛りだくさんでパレードも多く催されます。
面白い点は、ディズニーランド(アメリカ)なのに、園内のレストランはほとんどが中国料理の飲食店だという点でしょう。
中国の物価を日本の物価と比較:ホテル
中国のホテルも、都市部と地方では大きく相場が変わってきますが、大都市部であっても日本と比較すると全体的に安い宿泊費となっています。
料金の目安としては、三つ星ランクのホテルでだいたい日本円で1泊5000円~、四つ星、五つ星ランクのホテルでは、1泊10000円~といったところが相場です。
中国の物価を日本の物価と比較:スターバックス
世界展開するコーヒーショップチェーンであるスターバックスは中国にもたくさんあります。
ただし、中国のスタバで注意しなくてはならない点があります。
それは、「中国においてはスタバは高級店の一種である」という空気です。
当然、日本のスタバよりもアメリカのスタバよりも、コーヒーはじめ全ての飲食メニューの値段は高いのが中国のスターバックスの特徴です。
具体的には、ラテのショートサイズは日本のスタバなら、320円ですが、中国のスタバで頼むと27元(約445円)します。
中国は貧富の格差がとても大きく、スターバックスを利用できる層は日本とは違い富裕層だけなのです。
ですから、価格はお高いというわけです。
中国の物価を日本の物価と比較:お土産
中国もお菓子の月餅などをはじめとして、数々のお土産の多い国です。
その中で、ここでは中国お土産の定番の1つである中国茶をオススメします。
一口に中国茶と言っても、ウーロン茶にプーアル茶、ジャスミン茶など実に多彩な茶葉の種類があります。
中国茶専門店も多く、お土産用に色々な中国茶の詰め合わせが、1箱(50g)あたり100元(約1650円)というお値打ち価格で購入できたりします。
中国で特に物価が高いものと安いものは?
中国で特に物価が高いもの:「カフェとワイン」
中国は全般的に日本よりも物価の安い国ですが、ピンポイントで日本より目立って高いものもいくつか存在します。
その代表的なものが、カフェとワインでしょう。
スターバックスの項でも触れましたが、中国においてはカフェという場所は、富裕層や中流層以上の階層の人々の嗜みの場という共通認識があり、そのため「カフェは高くて当然」という空気感が支配しているのです。
コーヒーは嗜好品でもあるので、中国では贅沢な飲み物を飲む場所として、コーヒー一杯500円以上は当たり前の相場となっています。
次に、ワインは中国国内でまったく生産していないため、輸入品しかなく高い関税がかけられているために、日本で1000円で買えるワインであっても、中国で買うと2倍~3倍の価格が普通です。
中国で特に物価が安いもの:「交通費」
中国は総じて日本と比較すれば物価は安い国です。
しかし、北京や上海などの大都市では、例えばレストラン料金や日用品の値段などはむしろ日本よりも高くなったり地域格差が激しいくにでもあります。
そんな中で、地方のみならず北京や上海のような大都市でも漏れなく日本より格段に物価が安いものとして挙げられるのは「交通費」です。
先にご紹介した通り、北京や上海のメトロ(地下鉄)は、初乗り3元(約50円)~、バスは2元(約33円)~、タクシーも9~10元(約148~165円)と、日本とは比較にならない安さです。
物価の高い北京までの渡航費用は?
日本の各国際空港から北京までの往復航空運賃
空港名 | 航空運賃 |
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羽田 | 72280円 |
成田 | 74800円 |
関西 | 70230円 |
名古屋 | 62810円 |
福岡 | 107950円 |
日本の主要な国際空港からは、福岡を除き上表の空港すべてから北京への直行便が出ています。(福岡のみ一か所経由)
航空運賃は、季節によって大きく変動しますが、上の数値が平均的な目安です。
物価の高い中国を旅行する予算の目安は?
中国は北京や上海などの国際都市の大都会を除けば、決して物価は高くありません。
ですから、中国を旅行する場合にも、どこに滞在するか?によってその予算額も変わってきます。
大都市圏の場合であれば、航空運賃を除けば、宿泊に1泊1万円、1日のお小遣いとして8000円~10000円/日程度は用意しておかないと心もとないでしょう。
ですから、中国の都市部を旅行する場合の予算は、例えば1週間程度の旅程であれば、航空運賃+ホテルの宿泊費+現地での生活費(お小遣い含む)+お土産代3万円程度で、総額20万円~25万円程度は欲しいところです。
尚、現金は最小限だけ用意して、クレジットカード決済で対応する方法が賢いやり方です。
中国の物価に関するまとめ
日本の隣国の1つでもある中国の物価について、様々な視点から掘り下げて考察してきました。
最近はスピードも鈍化してきたとはいえ、経済成長が目覚ましくそれに比例して物価上昇もハンパない中国ですが、交通料金のようにそれでも日本よりもだいぶ物価屋相場の安いものも数多くあることがわかりましたね。
今後も中国の物価上昇は続いていくでしょうが、その分衛生面やクオリティなども比例して上がってきており、観光客にとっては快適さは上がっている一面も見逃せないところです。