【食べ方の前に】クコの実とは?そのまま食べられる?
クコの実とは?
クコの実は赤い小さな実のつくナス科の多年草植物で、日本にも特に岡山県や静岡県など比較的暖かい土地の海岸地や川沿いなどに自生しています。
初夏の6月頃から9月頃にかけて、2センチほどのツヤのある可愛らしい実を鈴なりにつけることで知られ、一般的には乾燥させたものを手に入れる事ができます。
食用には中華食材や薬膳としてお粥やスープ、デザートなどに古くから利用されているほか、最近では欧米でも健康・美容食品として注目を集めています。
食用のほか、その美容成分が注目されており、基礎化粧品としてクリームや美容液などにも用いられています。
クコの実はどこが原産国?
クコの実は元々はモンゴル自治区あたりの中国大陸北部が原産地と言われていますが、現在では日本をはじめ東アジアを中心に広く分布しています。
中国産では寧夏産のクコの実がよく知られており、韓国では青陽産のものが有名です。
元は野生種であるほか、害虫が付きやすいこと以外は比較的丈夫で育てやすい植物ですので、日本でも自生しているのを見ることができます。
クコの実はそのまま食べられる?
クコの実は乾燥で売られているのがほとんどです。
実を摘んでしまうとあまり日持ちしないため、乾燥が一般的なのですが生のクコの実はどんな味がするかご存知でしょうか。
生のクコの実はほんのりとした甘酸っぱいような味と苦味の混じったような味です。
舌がシワシワするような独特の苦味と臭みがあります。
苦味が特徴的ですので、あまり生食用としては用いられません。
生でも食べられない事はないのですが、好き嫌いの好みが分かれる味と言えるでしょう。
クコの実はどこで買える?
クコの実は現在では比較的ポピュラーな食材のため、大型スーパーや高級スーパーなどでは、大きめの袋入りのものを見つけることができます。
その他、インターネット上でも幾つかのショップで見つけることができますし、中国産や韓国産などの輸入品の他にオーガニックのものが売られています。
【食べ方の前に】クコの実の味は?生と乾燥で味が違う?
生のクコの実の味
生のクコの実の味は、ベリーと呼ぶにはちょっと物足りない野生的な味です。
その甘苦さは、例えて言えばホオズキのような独特の渋みがあり、口の中に残るような香りがあります。
また日本ではあまり広く栽培されていないこと、輸入品が多いことから、野生のもの以外で生のものを手に入れるのは少し困難です。
乾燥のクコの実の味
乾燥のクコの実は、最近は人気もある事から比較的容易に手に入れることができます。
乾燥しているので少し硬めの場合もありますが、レーズンのような感じでそのまま食べることができます。
また、乾燥させることで味や栄養素が凝縮され食べやすくなっています。
味はほんのりした甘さと酸っぱさがありますが、はっきりとした濃い味や甘みではないのでひとつふたつつまんだくらいではあまり味が分かりません。
クセのなさや鮮やかな見た目から、一般的な料理や薬膳料理の材料として、またデザートやスイーツなど幅広く食用に利用できます。
また、乾燥させることによって苦味が減り美味しくなりますし、ビタミンやミネラルなどの栄養価が高くなります。
【食べ方の前に】クコの実は健康・美容で注目!その効能とは?
効能①疲労回復効果
クコの実にはベタイン(トリメチルグリシン・TMG)という物質が含まれています。
ベタインは植物や魚介類に多く含まれる物質で、植物では麦芽やほうれん草、綿実、キノコ類、甜菜(さとう大根)、魚介ではタコやエビなどにも多く含まれます。
ベタインはアルカリ性のものをマイナスイオン性に、酸性のものをプラスのイオン性に変える性質を持ってる、アミノ酸誘導体の一種です。
人間の体は、血液が酸性に傾くと免疫力が低下し、様々な病気にかかりやすくなります。
血液が酸性になると脱力感や疲労感を感じやすくなりますが、クコの実に含まれるベタインが酸性の血液をアルカリ性に転じさせることによって、疲労回復に効果があります。
効能②視力の改善
クコの実の赤い色はβカロテン(ベータカロチン)が含まれているからです。
人参や緑黄色野菜の色素として有名なβカロテンですが、クコの実にも多く含まれており、体内に取り入れることによってビタミンAに変わります。
ベータカロテンは過剰摂取をしても自然に体外に排出されてしまいますので
必要量だけを効率よく体内に取り入れることができるようになっています。
ビタミンAは皮膚や粘膜を健やかに保つ機能があるほか、暗いところで視力を保つ働きがあります。
ビタミンA欠乏症の症状では代表的なものでは夜盲症が挙げられますが、クコの実を食べることによって光の刺激に対して強くなることが知られています。
効能③血行促進
クコの実にはさまざまなビタミン類やアミノ酸も多く含まれています。
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどが豊富なほか、ポリフェノールの一種であるルチンも豊富です。
植物性のルチンは弾力のなくなった血管を強くし、毛細血管のすみずみまで血液の流れをよくします。
血液がサラサラになり血流がよくなることによって血行を促進し、体を温める作用があるのです。
また体内の血流がよくなると臓器の働きを改善します。
例えば、子宮や卵巣などの生殖器系の働きを整えると自然とホルモンバランスも整うので妊活中の方の食事にもクコの実はおすすめと言えます。
効能④血糖値の上昇を抑える
クコの実に含まれるベタインに注目してみましょう。
ベタインには血糖値の上昇を抑える働きがあることでも注目されています。
アミノ酸の一種であるベタインは、肝臓でアミノ酸代謝の時に作られる物質に作用する働きがあることで知られています。
体質にもよりますが人によっては食事の習慣などにより、血液中のホモシステインの量が多くなってしまい、血栓や血液の硬化などの健康被害を引き起こします。
ベタインには血液中のホモステインの濃度を下げる働きがありますので、血管の老化を防ぎます。
またベテインの働きとして、小腸から吸収される糖を抑えるので、結果として血糖値の急激な上昇を抑えるのに一役買っているのです。
血糖値をあげないということは、中性脂肪を防ぐので肥満防止にも役立ちますし、インスリンの分泌を防ぐので糖尿病の予防にも効果があると言えるでしょう。
効能⑤肝臓機能の回復
クコの実を食べることで期待される健康効果に、肝臓機能の回復が挙げられます。
肝臓は人間の体の中でも、もっとも大きな臓器の一つで、たんぱく質の合成をしたり栄養を蓄える器官、またアルコールや薬物・老廃物などの体にとって有毒な物資を排除する解毒作用や、食べ物の消化に必要な胆汁を分泌したりと非常に多機能な器官です。
クコの実を食べることによって、ベタインが脂肪肝(肝臓に脂肪が付着してしまうこと)を防いだり、ついてしまった脂肪の排出を促します。
また体内が酸化に傾くことを防ぎ、肝硬変の予防にも役立ちます。
効能⑥アンチエイジング
クコの実に含まれているアミノ酸類、ビタミン類、免疫調整作用は美容の点でも大注目されています。
特にアミノ酸誘導体であるベテインの持つ柔軟性や弾力性は乾燥した状態の皮膚への浸透率が高く、保湿力が高いことから、食用の他にも化粧水や美容液・クリームなどの基礎化粧品としてアンチエイジングに役立っています。
クコの実に含まれるβカロテンやルチンは抗酸化作用に優れているので、細胞の老化を内側から防いでくれます。
またクコの実はきめ細かな肌を作るためのビタミンCや女性に不足しがちな鉄分も含んでいるのです!
クコの実を食べることによって弾力のあるなめらかでしっとりとした美肌が手に入るとなれば、試さない手はないですよね。
あの三大美姫のひとりである中国の楊貴妃でさえも、美白や美しさを保つためにクコの実を毎日食べていたと言われていますので、本当に効果がありそうですね。
クコの実の戻し方と食べ方
干してあるクコの実はもちろんそのままお茶受けやおつまみのようにしても美味しく食べることができますが、そのままではちょっと乾燥しすぎていて固い場合があります。
クコの実が固い場合は食べやすく戻してからお料理などに加えて頂きましょう。
戻し方は簡単で、そのまま水に30分くらいつけておくだけでも柔らかくなります。
けれども、戻した水に栄養が流れ出てしまうのはもったいないので、栄養まで丸ごと美味しく食べられる戻し方を幾つかご紹介いたします。
1. オレンジジュースで戻す
クコの実が浸かるくらいの量のオレンジジュースに入れて戻します。
そのままヨーグルトにかけて美味しくいただけます。
2. ハチミツとレモン汁で戻す
レモンジュースを絞り、小さじ1杯くらいのハチミツを加えます。
ハチミツレモンで戻すと柔らかく甘みのあるクコの実になりますのでお湯や水を加えてレモネードにしても美味しいですし、ヨーグルトにかけたりスムージーに加えるのもおすすめです。
3. 料理にそのまま加える
ご飯を炊くときに一緒に炊き込んだりスープを煮込むときには最後の仕上げにそのまま入れてしまいましょう。
さっと戻って彩りも良く、美味しくいただけます。
また、茶碗蒸しや揚げ出し豆腐などの温かい小料理の場合は仕上げにクコの実を散らした後蓋をしておけば、食べる頃までにふっくら戻ります。
半分くらい戻った頃のクコの実が味わいもあっておすすめの戻し方です。
4. お酒につけて戻す
クコの実をお酒で戻す方法もあります。
そのままクコ酒として漬け込んでしまう方法もありますが、ワインに漬けて戻せばドライフルーツと同じようにケーキに焼き込んだりデザートとして利用できます。
りんごや洋梨と一緒にコンポートにしたり、アイスクリームのトッピングとして頂くのもおすすめですよ。
クコの実のおすすめのレシピと食べ方
1. ミューズリーやヨーグルトのトッピングとして
ほんのり甘みのあるクコの実そのままの美味しさを味わう方法として、ミューズリーやヨーグルトの具としてトッピングする方法がおすすめです。
ミューズリーはヨーロッパでは朝食によく食べられている、いわゆるコーンフレークやグラノーラのようなもので、オーツや麦の押し麦にドライフリーツやナッツ類を混ぜてあります。
食物繊維が豊富で噛めば噛むほど味わいのあるほんのりした甘みが特徴なので、もちろんクコの実との相性もバッチリです。
目に鮮やかな緑色のパンプキンシードと赤いクコの実をトッピングすれば見た目にも美味しそうな朝食になります!
ヨーグルトにトッピングするときは、クコの実のほんのりとした甘みや酸味がぴったり合うので、そのままでも十分に美味しいのですが、レモンジュースやオレンジジュースで30分ほど軽く戻して使うのがおすすめです。
酸味が強すぎるときにはハチミツをかけるとさらに美味しくいただけますよ。
2. スムージーの材料のひとつに
クコの実をそのまま食べるほかに、スムージーの材料のひとつとして加える方法をお試しください。
フルーツベースのスムージーにも、野菜ベースのスムージーにも合いますが、おすすめなのはベリー系のちょっと酸っぱめのスムージー。
オレンジジュースをベースにして、いちご・ブルーベリーやラズベリーなどのフローズンフルーツを加えます。
お好みでマンゴーかバナナを甘みに足してください。
バナナは入れすぎると甘苦なりすぎてしまうので、一杯分でバナナ半分を目安にします。
クコの実は大さじ1杯くらいを一緒にミキサーにかけます。
仕上げにクコの実を数粒トッピングすれば、見た目にも鮮やかでインスタ映えも間違いなしのヘルシーでかわいいスムージーの完成です!
3. スープに加えて
薬膳料理の具として、また中華料理食材としてもよく使われるクコの実は温かい食事と合わせても美味しくいただけます。
小さな赤い実が彩りをそえてくれますので、食欲もそそる一品が出来上がります。
クコの実はチキンとよく合いますので、寒い時にはチキンスープがおすすめです。
よく洗った骨つきの鶏肉を生姜、長ネギと一緒にたっぷりのお湯で煮立たせます。
一旦煮立ったら、あとは弱火にして蓋をし、鶏肉が中でグラグラ揺れないようにゆっくり時間をかけて鶏肉が骨からすっと外れるくらいに柔らかくなるまで煮込んでください。
グツグツと煮立ててしまうとチキンスープが濁ってしまいますので、弱火でコトコトと煮るようにしましょう。
仕上げに塩胡椒で味を調えたら、ごま油をまわしかけてクコの実を散らしてください。
お好みで豆板醤やチリソースなどを添えていただきます。
そのままスープとして頂いても、ご飯にざっとかけて食べるのもおすすめです。
体が芯から温まるクコの実の薬膳スープの出来上がりです。
4. クコ酒(果実酒)にして
クコの実がたくさん手に入ったら、糖尿病や肝臓にもじんわりと効果のあるクコ酒を作ってみてはいかがでしょうか。
クコ酒は、他の果実酒同様にとても簡単に出来ます。
材料は乾燥のクコの実200g、氷砂糖200g(お好みで100〜200gくらいで調整してください)ホワイトリカー1.8リットルを大きめの蓋付き保存容器に入れます。
保存容器はあらかじめ煮沸消毒して、よく乾かしておいてください。
そのまま冷暗所に保存して、2〜3ヶ月くらいから飲むことができます。
お酒が苦手な方は、氷砂糖とクコの実を保存容器に交互に漬け込むことでクコの実シロップができます。
10日くらいで飲める状態になりますが、出来上がったら一度火にかけて熱を通してから冷蔵庫で保存しましょう。
水やお湯で薄めて、レモンの輪切りを浮かべて飲むのがおすすめですよ。
5. サラダに
半生くらいに水で戻したクコの実を、サラダにトッピングしてふりかけていただくのがおすすめです。
グリーンのリーフ類、クコの実の赤が食欲をそそるごちそう系のサラダは、おもてなしにもぴったりです。
おすすめはシーザーサラダやコブサラダのトッピングです。
色鮮やかなロメインレタスやリーフ、アボカドのグリーンとクコの実の赤色がよく合います。
また半分くらいに戻したクコの実の食感はクリーミーなドレッシングともよく合い、カリカリのベーコンやクルトンとの相性もバッチリのごちそうサラダになりますよ。
クコの実の食べ方を知っても、食べ過ぎるのは注意⁉︎
どんなに栄養があって体に良い食材と言われていても、食べ過ぎには気をつけたいものです。
特に小粒なのに栄養価の高いスーパーフードと呼ばれるクコの実ですから、カロリーもそれなりにあります。
また同じものをずっと大量に食べ続けるのも体に良い食べ方ではありませんので、クコの実も食べ方や食べ過ぎには十分注意したいものですよね。
たくさんの体に良い効能のあるベタインですが、妊活中にはおすすめでも妊娠中・授乳中の場合には摂りすぎには注意した方が良さそうです。
月経の促進や、古代には人工妊娠中絶のための薬にも使われていたとの記録が残っており、またベタインに関する信用に値する科学的データはないため、よく注意するのが良さそうです。
クコの実は小さな粒が数百グラム単位で袋詰めで売られているものがほとんどですので、一気に食べ過ぎてしまわないように毎日の食事に少しずつ取り入れていきたいものですね。
それは薬膳の摂り方の理にもかなっていますし、美容や健康のためにも毎日少しずつ口にするのが理想ですね。
クコの実の食べ方は?味や柔らかくする方法、シロップ漬けの作り方も紹介のまとめ
スーパーフードとして大人気のクコの実は栄養も豊富で美容や健康にも役立つ体に美味しい食材ですね。
しかも食べやすい優しい甘さで、クセもないので飽きずに色々なお料理に毎日取り入れられるのも嬉しいところです。
妊活やアンチエイジングにも効果があり、ホルモンのバランスも整えてくれるなんて、まさに女性に嬉しいスーパー食材と言えそうです!
毎日の生活にクコの実を取り入れて、美味しく健康維持をしていきたいですね。