福井の方言の特徴は?福井弁以外にも種類がある?
福井の方言(福井弁)の特徴
福井弁の特徴をいくつか紹介していきましょう。
- 無アクセント
- 文や単語の語尾
- 「そ」は「ほ」に変わる
福井弁の特徴①:無アクセント
日本語は音の高低を利用して言葉にアクセントをつける言語です。
例えば端・橋・箸は標準語では異なるアクセントで区別しますよね。
特に同じ音で違う意味を持つ同音異義語の際には言葉の聞き分けにこのアクセントが役に立ちます。
しかし福井弁にはそれがありません。
全て低い「は」の音から高い「し」の音に変化する、端のアクセントになります。
ですからこういった同音異義語の意味は文脈で判断するしかないので、少し不便ですね。
福井弁の特徴②:文や単語の語尾
「-やのぉ」「-やでぇ」というように文や音節の終わりが伸びて、音がうねります。
目・手・蚊など単音節の言葉も、めぇ・てぇ・かぁと伸ばして発音します。
福井弁の特徴③:「そ」は「ほ」に変わる
指示語などに含まれる「そ」の音が「ほ」に変わることが多いです。
あいづちを打つときに使う、「そうだ」は「ほや」となります。
そうそうなど2回繰り返す時も「ほやほや」となります。
「あーそうなんだー」と感嘆詞がつく場合は「あーほなんや」となり、「阿呆」と言われたと誤解してしまう場合があるので、現地の人と話すときは覚えておきましょう。
福井の方言(福井弁)の種類
福井は敦賀市を境にして北を嶺北地方、敦賀市を含む南を嶺南地方と呼びます。
嶺北で話されている言葉は北陸方言に分類され、語尾がゆれたり上がったりするなど石川や富山の方言と似た特徴を持ちます。
こちらの言葉だけを福井弁と呼びます。
一方嶺南地方では関西弁や京都弁に近い言葉が話されています。
同じ県内ですが、語彙やイントネーション、アクセントの付け方まで全く違います。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ13選
福井県民がよく使う表現をまとめてみました。
具体的な使用例と一緒に1つずつ見ていきましょう。
- ほやって、ほやの
- ~えん
- あおっさ、しよっさ
- ちっか・ひって・ひっで・ひっでもんに
- おちょきんしねや
- がぼったー!
- しなっと
- ちっくりさしとっけの
- ~しつんた
- おもっしょー
- あたる
- いけえ
- おぞい
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ①ほやって、ほやの
同意のあいづちを打つときに「そうなの」「その通り」という意味で使用します。
「学校休んでえんかった?(学校休んでいなかった?)」
「ほやって。インフルエンザにかかっつんてえらかった。(そうなの。インフルエンザにかかってしまって辛かった)」
という感じで日常的によく使います。
「明日雨が降るらしい」など伝聞事項を伝える際も「~らしい」という意味で「~やって」という言葉を使います。
文字で書くとどちらも同じ、~やってとなりますが、同意の方は語尾のイントネーションを高く上げ、伝聞の場合は下げることで使い分けています。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ②~えん
「~いない」という意味で使う言葉です。
「今日学校から帰ってきても誰もえんでの(今日学校から帰ってきてもだれもいないから)」というように使います。
「~していない」ということを伝える目的で使うときは、していないことをはっきり伝えるために、「してーん」と「え」を伸ばすのではなく「してえん」と「え」の音をしっかり発音します。
語尾を伸ばすことが多いので、メリハリをつけてはっきり短く発音するところをおさえておくと県民らしく使うことができますよ。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ③あおっさ・しよっさ
「~しようよ」という誘いの表現として使用します。
「今日放課後会おっさ(今日放課後会おうよ)」
「ほやね。家でゲームしよっさ(そうだね。家でゲームしようよ)」
という感じです。
「しよっせ」と語尾が「せ」に変わる地域もあります。
これは「~しましょうよ、~してくださいませんか」という敬語の意味はないため、気軽に誘える間柄の関係の時にしか使用できません。
目上の人をお誘いする場合は普通に標準語の敬語を使います。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ④ちっか・ひって・ひっで・ひっでもんに
これらは全て「すごく」という意味で使う言葉です。
「ちっか・ひって<ひっで<ひっでもんに」と、それぞれの言葉が表す強さも違います。
「ちっかびっくりした」より「ひっでもんにびっくりした」ほうが驚いた度合いが大きくなります。
地域によってどれをよく使うかが変わります。
特に「ちっか」はよく使用するエリアが限られていて越前市・鯖江市周辺でよく使われます。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑤おちょきんしねや
「おちょきんしねや」というのは正座をしなさいという意味です。
小さい子を叱るときによく使うセリフですね。
関西弁では「ちんとする」という正座を表す言葉があります。
それが変化してできた言葉だと言われています。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑥がぼったー!
冬の雪深い時期に「長靴がぼったー!」という風に使用します。
雪にしっかり靴がはまってしまったことを指す、雪が多いエリアならではの方言です。
福井の中でも特に雪深い山間の地域周辺で使われる頻度が高い言葉です。
冬に旅行へ行く際は雪にがぼらないように、道を選んで歩きましょうね。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑦しなっと
「またしなっとお菓子食べてー(またこっそりお菓子を食べてー)」という様に使います。
こっそりという意味の他、しれっとという意味も含む言葉です。
「テスト勉強してないのにしなっといい点数取るね」というように、悪いことだけではなく、言い内容を表す時にも使えます。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑧ちっくりさしとっけの
「突き刺しておいて」という指示の言葉です。
あまり日常的に使う言葉ではありませんが、「竹串にお肉をちっくりさした」焼き鳥は県民のソウルフードで、消費量ランキングはいつも上位です。
「ちくちく刺す」という擬態語に似ているフレーズですが、ちくちくは軽く何度も刺す様子の言葉なので意味はまったく違います。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑨~しつんた
「~してしまった」という意味の言葉です。
「宿題忘れつんた!(宿題を忘れてしまった!)」という様に使います。
同じようなフレーズで「やっつんた」というのもあります。
語尾だけでなく、
「やっつんた!今日の朝会議やった。(しまった!今日の朝会議だった)」
「財布忘れつんて、走って帰った」など様々な使い方ができます。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑩おもっしょー
面白いという意味の言葉です。
「昨日のテレビ、ちっかおもっしょかったね(昨日のテレビすごく面白かったね)」というように使います。
面白くない、と否定するときは「おもっしょない」というようになります。
また、「おもっしぇえ人」というように形容詞的な使い方もできます。
その場合は「面白い人」という意味の他に「変な人」という意味も加わってしまうので、どちらの意味で言われているのか相手の様子を見て判断しなければなりません。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑪あたる
もらうという意味で使用します。
「夏のボーナスあたったけぇ?」というのは抽選か何かで当選したかと聞いているのではなく、夏のボーナスはもらえたのかという質問です。
もちろん当選するという意味でも「宝くじに当たった」のように「あたる」を使用します。
「昨日宝くじ当たってさ」などどちらの意味にも取れる文脈で使うとややこしいので、注意が必要です。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑫いけえ
「家の近くにいけえ公園があって」というように使用する「大きい」を指す言葉です。
「いっけえ」とためを作って使われることも多いです。
同じようなフレーズで「いけ」「いかい」という言葉もあります。
「いっけぇ池いくけ?(大きい池に行ってみる?)」という様に似たような音の単語と並ぶと聞き取りが少し難しくなりますね。
福井県民がよく使う福井弁の定番フレーズ⑬おぞい
おぞいと聞くと「おぞましい」などと音が似ているので、おどろおどろしい印象がありませんか。
しかしこれは「この靴下おぞなってもた」というように「古い、破れてしまった」というような意味で使用する言葉です。
「おぜぇ服」というように、形容詞的にも使えます。
福井県民が思わず使っちゃう福井弁の面白フレーズ6選
- はよしねや
- うそうそ
- つるつるいっぱい
- ちゅんちゅん
- 鉛筆つんつん、鉛筆ぼんぼん
- かぜねつ
福井県民が思わず使っちゃう福井弁の面白フレーズ①はよしねや
決して「早く死ねよ」と言っているわけではないので安心してください。
「早くしなさい」という意味の福井弁です。
準備が遅い子どもに母親が「はよしねや。…はよしねって!遅刻するざ。…はよしねって何回言ったらわかるんざ!」という様に急かしたりするのは朝のよくある光景ですが、他県の人が見たらなんて母親だと思ってしまうかもしれませんね。
他県から引っ越してきた子どもがもしかして自分はいじめられているのではと誤解することもあるようなので、福井で生活するためには一番にマスターしたい言葉使いです。
福井県民が思わず使っちゃう福井弁の面白フレーズ②うそうそ
「服や布が薄汚れている様子」を表します。
「この服もううそうそやねぇ(この服もう古くて汚れているね)」というように使う言葉です。
意味を知らなければ服が嘘…?と意味を想像することも難しいですね。
福井県民が思わず使っちゃう福井弁の面白フレーズ③つるつるいっぱい
液体が入れ物にいっぱいいっぱい入っている様子を表す言葉です。
「コップにつるつるいっぱい入れつんた(コップにいっぱいいっぱい入れてしまった)」というように使用します。
気をつけたいのが「つるつるいっぱい」は「すりきりいっぱい」や「いっぱい」とは違うということです。
これらの言葉も使用しますが、それぞれが表す量が違います。
つるつるいっぱいは「今にもあふれだしそうな、液体が表面張力で留まっている様子」を表す言葉なのでその他の言葉の中でも一番量が多く、「すりきり」の状態では使用できない言葉です。
福井県民が思わず使っちゃう福井弁の面白フレーズ④ちゅんちゅん
「やかんちゅんちゅんやから、触らんときねや」というように使用します。
ちゅんちゅんというと鳥のこと…?やかんが鳥…?と思いがちですが全く関係ありません。
ちゅんちゅんは「とっても熱い」ことを指すフレーズです。
福井では「お風呂のお湯ちゅんちゅんやげ!(お風呂のお湯熱すぎるじゃないか!)」など日常的に使ってしまう言葉ですが、他県の人には全く伝わらない言葉ですね。
福井弁にはこのような独特の擬音語・擬態語が多く存在しています。
福井県民が思わず使っちゃう福井弁の面白フレーズ⑤鉛筆つんつん、鉛筆ぼんぼん
「鉛筆が削りたてでとがっている様」「長く使ってしまって先が丸くなっている様」を表します。
先ほどのちゅんちゅん同様、独自の擬態語ですね。
小学校の低学年のクラスで先生が「鉛筆は家でつんつんにしてきなさい」「鉛筆ぼんぼんの人は休み時間の間に削りましょう」と日常的に使ったりします。
福井県民が思わず使っちゃう福井弁の面白フレーズ⑥かぜねつ
「口内炎」を指す単語です。
「かぜ」も「ねつ」も標準語にある単語なので、これが方言だと知らずに使っている県民も多いです。
「かぜねつできてるから痛い…」という様に使います。
ここまでに出てきた言葉がたくさん登場しています。
【番外編】福井弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ5選
- ○○のこと好きなんやけど、付きおうてくれんけ?
- ひっでもんに好き!付き合うてくれま。
- ちょっこし時間ある?……あんたのこと好きなんやけど付き合うてや。
- おめぇひっでもんにかわいい。好きやざ。
- あんたみたいなてなわんの相手できるの、私しかおらんざ?
福井弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ①○○のこと好きなんやけど、付き合おうてくれんけ?
一番オーソドックスな「○○のことが好きです。付き合ってくれませんか?」というフレーズです。
やはり直球の言葉が一番心に響きますね。
疑問形の時は語尾の音が標準語より極端に上げて話します。
「くれんけ?」の部分のく・れ・ん・けがそれぞれ半音ずつ上がっていくようなイメージです。
その効果もあって照れながらも目を覗き込むように合わせながら言うとかわいらしく、相手の心にグッと届くのではないでしょうか。
福井弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ②ひっでもんに好き!やでぇ付き合うてくれま。
「すごく好き!だから付き合ってください」というフレーズです。
「すごく」の最上級である「ひっでもん」を使っているのですごく大好きだということが相手によく伝わります。
それでも思いが足りないという場合は「ひっっっでもんに好き」とためを作りましょう。
「めっっっちゃ好き」というような関西弁と同じような効果があり、相手に好きの度合いがよく伝わります。
また「~してくれま」というのも独特の表現ですが、言い方によっては「付き合えよ」というような強気のニュアンスが含まれてしまうので注意しましょう。
福井弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ③ちょっこし時間ある?……あんたのこと好きなんやけど付きおうてや。
「少し時間ある?……あなたのことが好きなんだけど付き合ってよ」というフレーズです。
「ちょっこし」は少しという意味の言葉で、可愛らしい印象の音なので特に女性は是非使ってみましょう。
男性でも使うことはできます。
呼び出すときから印象的な方言で相手の心をしっかり掴みましょう。
福井弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ④おめぇひっでもんにかわいい。好きやざ。
「お前すっごくかわいい。好きだよ」という是非男性に使ってほしいフレーズです。
少女マンガの告白のような強気な印象をもたせるので、少し強引な男らしい男性が好きという女性には特に有効かもしれません。
「おめぇ」という表現も県外の人は「お前」という言葉に嫌な印象をもつ人もいると思います。
しかし福井では「あなた」「君」というような気軽な呼び名です。
決して上から目線で話しているということではないので安心してください。
言い方によっては強気の告白なのに、恥ずかしくて名前は呼べないんだなぁと微笑ましくもなるフレーズですね。
福井弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ⑤あんたみたいなてなわんの相手できるの、私しかおらんざ?
年上の女性が年下の男性に向けての告白…と言った感じのフレーズですね。
てなわんというのは生意気な、やんちゃなという意味の言葉です。
ですから「あなたみたいにやんちゃな人の相手が出来るのは私しかいないわよ?」という強気の告白です。
しかしこの告白をしてきた年上の女性が、実はすごく頑張って強がりながらこの台詞を言っているのだとしたら…凄く可愛い告白の台詞に思えてきませんか?
包容力が感じられる告白で、年上女性が好きな男性にはぐっと響きそうですね。
【番外編】福井県出身の芸能人や福井県で撮影された福井弁の映画やドラマ
近年の福井が舞台の作品としては何といっても2017年、2018年に映画とドラマが相次いで公開された「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」です。
舞台となった高校が福井県立商業高校で、広瀬すずさんや土屋太鳳さんが作中で話していた福井弁がかわいいと注目を浴びました。
また漫画が原作で相次いでアニメ化、映画化した作品「ちはやふる」の中にも福井弁で話す男の子が出てきます。
彼を演じたのが映画では新田真剣佑さん、アニメでは声優の細谷佳正さんでした。
2人とも専門のトレーナーについてもらって練習したというだけあって、自然な福井弁で作品の中のキャラクターを際立たせていました。
福井の方言は何種類?福井弁の特徴は【あいさつ/定番/かわいい/告白】のまとめ
福井弁を少しでも身近に感じていただけたでしょうか。
単語そのものが標準語と全く違うというよりは、イントネーションやアクセントが違うだけなので、そんなに聞き取りづらい方言ではありません。
是非これを機に実際に福井県に足を運んで福井弁に触れて、ここに書ききれなかった福井弁の魅力をご自身で探してみてください。