鹿児島の方言の特徴は?鹿児島弁以外にも種類がある?
鹿児島の方言(鹿児島弁)の特徴
鹿児島方言(鹿児島弁)の特徴は、なんといっても非常に聞き取りづらいことです。アクセントの位置や各単語の終りの部分が標準語と大きく違い、また母音も省略したりまとめたりしてしまうことが多くあります。
そもそも、単語自体が標準語と比較して変化している場合も多々あります。
ですので、普段鹿児島方言(鹿児島弁)を聞く機会がない人にとっては何を言ってるかわからなくて戸惑ったり、慣れるまでに相当時間がかかったりするのです。
アクセントの違い
鹿児島方言(鹿児島弁)のアクセントは、標準語と比べて位置が大幅に変化しています。
鹿児島県の象徴、「桜島(さくらじま)」という単語を例に見てみましょう。
標準語だと「さくらじま」は音が上がることも下がることもなく平坦に発音します。
しかし、鹿児島方言(鹿児島弁)だと「さくらじ↑ま↓」という風に、「じ」で音を上げ、「ま」で音を下げて発音するのです。
母音の違い
鹿児島方言(鹿児島弁)には二重母音というものがあります。例えば標準語の単語でai(アイ)と発音するものが、鹿児島方言(鹿児島弁)ではe(エ)に変化するのです。
灰と書いて「はい(hai)」と読むものが鹿児島弁では「へ(he)」と発音する、といった具合です。
ですので、大根「だいこん(daikon)」も鹿児島では「でこん(でこん)」と発音します。
語尾の違い
鹿児島方言(鹿児島弁)は、語尾にミやム、ニ、ヌが来た場合、いずれもンに省略して発音することが多いです。
例えば耳「みみ(mimi)」が「みん(min)」となり、2文字目の「み」が省略されてしまうのです。
鹿児島の方言(鹿児島弁)の種類
鹿児島方言(鹿児島弁)とひとくちに言っても、県内全域で同じ言葉を話しているわけではありません。宮崎県や熊本県、沖縄県など周辺の他の地域などからの影響を受けているため、同じ鹿児島県出身差でも異なる地方出身者同士だと会話がところどころ通じないことさえあります。
例えば鹿児島県北部の出水市や伊佐市周辺では熊本弁に影響を受けた鹿児島方言が話されていますし、大隅半島各地の鹿児島弁は宮崎弁や大分弁の影響を受けています。
また、種子島では関東地方の言葉と推測される単語や表現が使われています。
そして奄美大島などの奄美地方の方言は鹿児島方言(鹿児島弁)というよりもむしろ沖縄方言(沖縄弁)の一種という学術的分類がされているのです。
鹿児島県民がよく使う鹿児島弁の定番フレーズ14選
ここでは鹿児島県民がよく使う鹿児島方言(鹿児島弁)の定番フレーズを紹介します。
テレビや小説で見たり聞いたりしたことがあるものから文字で見ただけでは想像もつかないフレーズまで、ここでは14種類を順に紹介します。
果たしていくつ知っているでしょうか?
①:おい
「おい」とは鹿児島では「俺」「僕」「私」という意味で使われています。男性だけが使う一人称です。
標準語のように誰か他の人に声を掛けるときに使うフレーズではないので注意が必要です。
例:おいはかごんまがすきじゃ。(僕は鹿児島が好きです。)
②:あたい
「あたい」は女性が自分自身のことを指して使う一人称です。「私」と同じ意味になります。
例:あたいは学校に行(い)っもす。(私は学校に行きます。)
③:きばる
「きばる」は「頑張る」という意味です。「頑張れ」と誰かに対して激励するときには「きばれ」と変化します。
元々は「気張る」という言葉でした。
なので、鹿児島県民に「きばれー!」と言われたら応援されているということです。
甲子園などのスポーツで鹿児島県代表が登場したときに、「きばれ」と書かれてた横断幕を見たことがある人もいるかもしれませんね。
④:ほんのこて(ほんのごて)
「ほんのこて」は「本当に」を意味する鹿児島弁です。お年寄りの方の中には「ほんのごて」と言う人もいます。
例:かごんま弁はほんのこて難(むっか)しですね。(鹿児島弁は本当に難しいですね。)
⑤:おじゃったもんせ
「おじゃったもんせ」は歓迎の気持ちを表すための鹿児島方言(鹿児島弁)の挨拶です。標準語だと「いらっしゃいませ」「ようこそいらっしゃいました」と言いたくなるような、少しかしこまったようなシーンでも、もっと気楽な場合にも、幅広い場面で使われます。
やって来たことに対する歓迎を伝える言葉なので、鹿児島県に旅行すれば必ず一度はポスターなどで見る言葉です。
例:おじゃったもんせ。どげんしたとな?(いらっしゃい。どうしたの?)
⑥:おやっとさあ
「おやっとさあ」は、「お疲れ様でした」「ご苦労さまでした」という意味です。
例:大久保さん、おやっとさあ(大久保さん、お疲れ様です。)
仕事や学校が終わったときにも相手をねぎらうために使います。
鹿児島空港の足湯コーナーの看板にも「おやっとさあ」と書かれているので、こちらも鹿児島に行けば一度は見たり聞いたりするフレーズです。
⑦:あいがとさげもした。
「あいがとさげもした。」は「ありがとうございました」という意味の鹿児島弁です。
「あいがとさげもす」という風に語尾が変化すると、意味も「ありがとうございます」に変化します。。
例:そんなことしてもろうて、あいがとさげもした。。(そんなことをして下さって、ありがとうございました。)
⑧:おごじょ
「おごじょ」は「女性」を意味する鹿児島弁です。鹿児島出身のというニュアンスも含む言葉ですが、そのことをより伝えたい場合は「薩摩おごじょ」という言い回しを使います。
例:薩摩おごじょはしおらし人が多(う)えです。(鹿児島の女性は優しい人が多いです。)
⑨:ずんだれ
「ずんだれ」は「乱れている」「だらしがない」「みっともない」という意味です。
例:おはんのそん制服、よごえててずんだれとるよ。(あなたの服、汚れててだらしがないよ。)
例文のような服装に限らず、姿勢悪く座っていることを指摘するときにも使用する言葉です。
⑩:じゃっどん
「じゃっどん」は「だけど」、「でも」、「しかし」という意味の鹿児島弁です。誰かの意見を否定、反論するときに使う言葉なので使うときには注意が必要です。
例:じゃっどん、そん考えには反対さー。(だけど、その考えには反対だよ。)
似たような響きの言葉として「じゃっど」という鹿児島弁があります。こちらは「そうですね」と相手の考えに対して同意したり、相づちを打ったりするときに使う言葉なので注意が必要です。
たった一文字付くか付かないかで、正反対の意味になってしまうのです。
⑪:わっぜ
「わっぜ」は「わっぜえ」という場合もあります。「すごく」、「とても」、「非常に」という意味の鹿児島弁です。英語だとベリーに当たります。
例:かごっま弁はわっぜかむっかしことで有名です。(鹿児島弁はとても難しいことで有名です。)
何かを強調したいときに使うフレーズです。
⑫:んだもしたん
「んだもしたん」は「あらまあ」「驚いた」「知らなかった」という意味で、何かに対して驚いたときに使う言葉です。
例:んだもしたんー、まこて知らんかったとな?(あらまあ、本当に知らなかったの?)
使うというよりかはむしろ思わず言ってしまったというような、感嘆の言葉ととして使用されています。
日本語で「ん」で始まるフレーズは非常に珍しいですね。
⑬:まこち
「まこち」は、「まことに」「本当に」という意味の鹿児島弁です。
例1:こげんことして、まこちげんなか。(こんなことをしてしまって、本当に恥ずかしいです。)
例2:まこち、よか子じゃ。(ほんとうにいい子どもですね。)
いい意味でも、悪い意味でも使います。とても便利な鹿児島弁です。
⑭:せからし
「せからし」は鹿児島では「うるさい」という意味で使われます。
例:〇〇さーはよー、せからしか。(〇〇さんは、うるさい)
鹿児島県内はもちろん九州各地や関西弁でも使われているとてもありふれた単語なのですが、地域によって「うるさい」だけではなく「うっとおしい」「手間がかかるなどの意味で使われている地域もあります。
鹿児島県民が思わず使っちゃう鹿児島弁の面白フレーズ5選!
鹿児島方言(鹿児島弁)の会話や文章は独特のイントネーションや語形変化をすることから、標準語には見られない単語やフレーズがいくつも登場します。
ここでは、鹿児島方言(鹿児島弁)の中でも鹿児島県民が思わず使っちゃう面白いフレーズを5つ紹介してゆきます。
①:ちぇすと
「ちぇすと」とは鹿児島方言(鹿児島弁)で気合を入れるときに出す掛け声です。標準語に言い換えるなら「えいやー」「それー」「おりゃー」が近いです。
「ちぇすと」元々は旧薩摩藩の剣術、示現流で気合を表すときの掛け声でした。「ちぇすと」の語源は諸説あるのですが、「知恵を捨てよ」が省略され、なまったものだという説があります。
②:けをけけけ
「けをけけけ」は、「貝を買いに来なさい」という意味です。髪の毛に何かするわけでは決してありません。
1文字目の「け」=「貝」
2~3文字目の「けけ」=「買う」
5文字目の「け」=「来い」
これらの単語が合わさると「けをけけけ」=「貝を買いに来なさい」になるのです。
③:かごんま
「かごんま」はそのものズバリ「鹿児島」を意味する鹿児島弁です。そもそも鹿児島県人は鹿児島のことを「かごしま」と呼ばない場合があるのです。
「かごっま」と言う風に、「し」の部分の音が詰まった発音をする場合もあります。
例:かごんまにはうまかもんや見どころがずんばいありもす。(鹿児島には美味しいものや見どころがたくさんあります。)
鹿児島県の観光案内パンフレット等でもよく見かけますね。
④:ヘがとんじょ
「へがとんじょ」はおならが飛んでいることではありません。「へ」とは「蠅」のことで、「とんじょ」は「飛んでいる」という意味です。
つまり、「へがとんじょ」とは「蠅が飛んでいる」という意味なのです。
⑤:やっせん
鹿児島方言(鹿児島弁)で「やっせん」は、「だめな」「使えない」という意味で使われる単語です。
例:こん野菜、やっせん。(この野菜、だめだわ。)
という風に、鹿児島の人は腐ってしまった野菜を捨てる時にやっせんと言いながらゴミ箱に捨てたりしています。
また、語尾に「坊」をつけて「やっせん坊」にすると、「臆病者」「意気地なし」という意味になります。
【番外編】鹿児島弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ7選
鹿児島方言(鹿児島弁)は語形変化によってとてもかわいらしい響きになることもあります。
そんな言葉で告白されたらきっと照れちゃいますね。
ここでは、鹿児島弁で告白するときに使うフレーズを7つ紹介してゆきます。
これで鹿児島弁で告白されてもバッチリ!?
①:わっぜえ好き
「わっぜえ好き」は、「大好き」という意味の鹿児島方言(鹿児島弁)です。
例:わっぜ好きじゃっでさ、付き合ってくれんけ?(大好きだからさ、付き合ってくれませんか?)
②:好いちょっど
「好いちょっど」は、「好きです」という意味です。ただ「好き」というよりもややくだけた感じの言い方になります。
例:おはんのこと、わっぜえ好いちょっど(あなたのこと、とても好きです。)
使うときは、元々親しい相手に使うといいでしょう。
③:よかにせ
「よかにせ」は「男前」という意味です。最近だと「イケメン」という意味でも使うことができます。
例:あん人、よかにせじゃっどな(あの人はイケメンでしたね。)
という風に鹿児島では使われています。
鹿児島県出身の男性に「よかにせ」というときっと喜びます。
④:よかけ?
「よかけ?」は「いいですか?」と同意を求めるときに使うフレーズです。ですので、告白する時はもちろん普段の日常会話でもよく使う表現です。
告白フレーズとして使うのであれば、例えば
例:おいと付きおうてもろうて、よかけ?(俺と付き合ってもらって、いい?)
といった感じになります。
⑤:愛しちょっど
「愛しちょっど」は、「愛しています」という意味の鹿児島方言(鹿児島弁)です。
⑥:付きおってくれんけ?
「付きおってくれんけ?」は「付き合ってくれませんか?」という意味で、「よかけ?」と言うよりも丁寧な言い回しになります。
例:あたいと付きおってくれんけ?(私と付き合ってくれませんか?)
⑦:げんなか
「げんなか」は標準語で言うところの「恥ずかしい」にあたる鹿児島方言(鹿児島弁)です。「げんなか~」といったように、語尾を伸ばして言う場合が多いです。
例えば鹿児島県の女の子に告白したときに女の子が「げんなか~」と言ったら、あなたの告白に対して照れているということです。
例:そげな風にゆうてもらえて、げんなか~(そんな風に言ってもらえて、恥ずかしい~)
【番外編】鹿児島県出身の芸能人や鹿児島で撮影された鹿児島弁の映画やドラマ
鹿児島県出身の芸能人、有名人
鹿児島県出身の芸能人でしたら、稲盛いずみさんや上白石萌歌・上白石萌音姉妹、長渕剛さんなどがいらっしゃいます。
また、スポーツ選手でしたら「大迫半端ないって」でおなじみのサッカーの大迫勇也選手や野球の福留孝介選手がいます。
鹿児島県で撮影された鹿児島県の映画やドラマ
鹿児島方言(鹿児島弁)で撮影された鹿児島弁の映画やドラマでしたら、2018年の大河ドラマ「西郷どん」を置いて他にないでしょう。鹿児島市内だけではなく県内各地、そして奄美地方といった鹿児島県内全域でロケが行われました。
鹿児島弁の特徴や定番フレーズはこんなに独特!ぜひ現地に行って聞いてみよう。
鹿児島方言(鹿児島弁)はイントネーションやアクセント、語尾が独特なため、一見すると非常に分かりづらくてもこんなに豊かで楽しい表現があることがわかります。
もし記事を見て楽しいな、面白いな、と思ったら、ぜひ今度は鹿児島で現地の方が話す鹿児島方言(鹿児島弁)を聞きに鹿児島へでかけてみましょう。きっと本場の鹿児島方言(鹿児島弁)に感動するはずです。