秋田の方言の特徴は?秋田弁以外にも種類がある?
秋田弁とひとくちに言っても、様々な特徴があったり、あるいは地域によって多少の違いがあったりもします。ここでは、秋田弁の特徴や種類について解説してゆきます。
秋田の方言(秋田弁)の特徴
秋田の方言(秋田弁)の特徴は、大きく分けて3点あります。
- 濁点が多い
- 母音が変化している
- イントネーションが独特
濁点が多い
秋田弁は、言葉に濁点がつくことが非常に多いです。
例えば、「か行」と「た行」には非常に高い可能性で濁点が付きます。
しかし、単語の頭に「か」が付くときには濁点がつかないという例外も存在します。
母音が変化している
秋田弁は、標準語の発音でいうところの「い」と「え」、「し」と「す」、「ち」と「つ」、「ず」と「づ」の発音が非常に似ていて、区別が非常にあいまいです。
どのくらいあいまいかというと、当の秋田県人でさえも秋田弁で聞いた言葉を文字起こしすると人によって表記がバラけてしまうくらいあいまいなのです。
イントネーションが独特
秋田弁は、イントネーションが標準語とかなり異なるので独特な言葉に聞こえがちです。何がどう違うのかというと、3文字の単語を発音する時に、2文字目の音を高くすることが非常に多いのです。
秋田の方言(秋田弁)の種類
秋田弁は青森県や山形県の方言と比較すれば地域ごとの共通点が多いのですが、それでも秋田県内でも地域によって多少の違いがあります。江戸時代にどの藩の支配下にあったかによる違いが生じているのです。
秋田弁は、大きく分けて3つに分類する考え方と、5つに分類する考え方があります。
秋田弁の3分類
- 北部方言
- 中央方言
- 南部方言
鹿角市や大館市、能代市など秋田県北部でよく話されている秋田弁は北部方言に分類され、県庁所在地の秋田市や男鹿市、その周辺で使われている秋田弁は中央方言と呼ばれています。そして、由利本荘市や仙北市、横手市辺りで話されている秋田弁は南部方言といいます。
秋田弁の5分類
- 鹿角方言
- 県北方言
- 中央方言
- 県南方言
- 由利方言
5つに分類する場合は、3分類の北部方言を鹿角方言と県北方言に分けて考えます。
同時に、南部方言も県南方言と由利方言の2種類に細分化します。
秋田県は江戸時代には大部分を秋田藩が治めていたのですが、鹿角周辺は江戸時代には盛岡を中心とした南部藩が治めていたため今の岩手弁との共通点が多く見られます。由利方言に分類される由利本荘市とその周辺は小さな藩が複数あり、また今の山形県北部との関係が深かったので、庄内弁の影響が見られるのです。
秋田県民がよく使う秋田弁の定番フレーズ15選
ここでは秋田県人にとっては定番、かつよく使うフレーズを15個紹介してゆきます。
なかなか馴染みのない言葉ばかりかもしれませんが、気負わず順に見てゆきましょう。
①:~っこ
「~っこ」は、ものの名前の語尾につけることによって可愛らしさ、愛らしさを表すための表現です。
「お茶っこ(お茶)」「犬っこ(犬)」などという風に使われています。
秋田県内の小学生が春や秋に野外で鍋を調理してみんなで食べる「なべっこ遠足」という定番イベントがあるのですが、この「なべっこ」も鍋を可愛らしく言うための秋田の方言です。
②:ね
秋田弁の「ね」には2つの意味があります。「無い」という意味と、「寝る」という意味です。
たった一文字なのに状況によってまったく違う意味となってしまうのですが、秋田県の人はこの「ね」を文脈に応じて聞き分けているのです。
③:く
秋田弁の「く」にも「ね」と同じく2つの意味があります。「食べる」と「来る」の2つです。
「食べる」については「食う(くう)」という標準語もあるのでわかりやすいでしょうか。
「く」もたった一文字にもかかわらずまったく違う意味となってしまいます。秋田県の人はこの「ね」も会話の内容に応じて聞き分けているのです。
④:け
「け」に至っては、秋田弁ではなんと3つの意味があります。「痒い(かゆい)」「食べなさい」「来なさい」という意味です。
「食べる」「来る」だと「く」だったのが、命令形になると「け」に変化し、さらに「かゆい」という意味まで増えてしまうのです。
たった一文字にもかかわらず、とても奥深いですね。
⑤:がっこ
「がっこ」は「漬物」という意味の秋田弁です。「いぶりがっこ」で全国的におなじみですが、確かにいぶりがっこは漬物の一種ですね。ただ、秋田では漬物全般を指して「がっこ」と言っています。
例:「会社さ弁当、持ってったっけ中さがっこ入ってた。」
意味:「会社にお弁当持って行ったら中に漬物入ってた。」
⑥:んだから
「んだから」は「そうだよね」の意味と、標準語の「~だから」と同じ意味の2通りで使われます。
前者は相手の発言に対して同意するときに言う言葉ですが、標準語の「~だから」と似ているので、他の地方の人がこの言葉を聞くと「話の続きは…?」と思ってしまうこともよくあるとか。
⑦:んだ
「んだ」は「んだから」と同じく、相手の発言に対して同意するときに言う秋田弁です。また、人と会話しているときに打つ相づちとしても使います。
標準語だと「そう」「うん」といったところです。
例:「これさ、~だべ?」「んだ。」
意味:「これは、~でしょ?」「そうだね。」
「んだ」は秋田に行けば確実に会話の中に出てくるフレーズなので、秋田県に行く機会があればこれだけは覚えてゆくとよいでしょう。
⑧:なげる
「なげる」は「捨てる」という意味で使う秋田弁です。主にごみを捨てるときに使います。
例:「ゴミそっちかだなげるな。」
意味:「ゴミをそっちに捨てないで。」
ちなみにボールを投げることも「なげる」といいます。これは標準語と同じです。
⑨:いだげ
「いだげ」は「たくさん」という意味で使われています。
例:「肉さんめがったんし、いだげ食うて腹つええ。」
意味:「肉が美味しかったから、たくさん食べてお腹いっぱいです。」
⑩:うるかす
「うるかす」とは「水の中に浸して水分を吸わせる」という意味で、元々はお米を炊く前に水に浸すときに使う秋田弁です。
標準語では全く同じ意味の言葉がないのですが、「潤わせる」というのが一番近いです。
実際、漢字でも「潤かす」と書きます。
⑪:ばしこく
「ばしこく」は「嘘をつく」という意味です。「ばしこき」になると「嘘つき」という意味に変化します。
例:「傘わすえでしまった。んだて天気予報晴れだどってばしこぐんだもの。」
意味:「傘を忘れちゃった。だって天気予報が嘘ついたんだもん。」
⑫:ごしゃぐ
「ごしゃぐ」は「怒る」「叱る」という意味で使われています。ちょっとかわいらしい響きですが、この言葉が聞こえたら相手は怒ってると思っていいでしょう。
例:「おら、わりごとしたんで、先生にまだぁごしゃがいだ。」
意味:「私、悪いことしたから、先生にまた叱られた。」
⑬:なんも
「なんも」は「問題ない」「何ともない」といったニュアンスの言葉として秋田では使われています。「何も問題ない」というフレーズの前半だけが残って「なんも」という言葉が生まれました。
例1:「なんもなんも、気にさねでけれ。」
意味:「問題ないよ、気にしないで。」
例2:「なんもなんもよ。」
意味2:「何も問題ないよ。」
⑭:あがったんせ
「あがったんせ」は「入っていって下さい」という意味の秋田弁です。家やお店にやって来たお客さんを歓迎するときに言う言葉です。
例:「ようこそ上がったんせ。」
意味:「ようこそお上がりください。」
秋田県に観光しに行けば、一度は見聞きするフレーズです。
⑮:しっだげ
「しったげ」は「とても」「非常に」という意味の秋田弁です。地域によっては「しんだけ」という場合もあります。
例:「このにぐ(肉)さ、しっだげうめえ。」
意味:「このお肉、すごく美味しい。」
秋田県民が思わず使っちゃう秋田弁の面白フレーズ5選!
ここからは、秋田県人がよく使う秋田弁の中でも思わず笑ってしまうような面白いフレーズのものを5個紹介してゆきます。
①:ねね
「ね」は「無い」と「寝る」の2つの意味があると先ほど紹介しましたが、「ねね」という風に「ね」をふたつ重ねると「~が無いじゃん」あるいは「寝ない」という意味になります。
②:ねねね
秋田弁で「ね」は「寝る」「無い」、「ねね」だと「~が無いじゃん」という意味になります。
では、「ねねね」と「ね」を3つ重ねるとどういう意味になるのでしょうか?
「ねねね」は「寝ないじゃん」という意味になるのです。
なお、「ね」を多用する秋田弁のフレーズは他にもたくさんあります。以下にまとめてみましょう。
①ね=「寝る」「ない」
②ねね=「無いじゃん」
③ねねね=「寝ないじゃん」
④ねねば=「寝なきゃ」
⑤ねれねね=「寝れないじゃん」
⑥ねねばね=「寝なきゃいけない」
⑦ねねばねね=「寝なきゃいけないじゃん」
⑧ねねばねのにねれねねぇ=「寝なきゃいけないのに寝れないじゃん」
秋田弁では「ね」というたった一文字だけでこれだけたくさんの表現ができるのです。これは難易度が高いですね。
③:「け」「く」
「け」「く」は2つでセットとなるフレーズです。定番フレーズの項目でも紹介しましたが、「け」=「食べなさい」、「く」=「食べる」です。
ですので、秋田弁では以下のようなやりとりが行われているのです。
Aさん:「け」(食べなさい)
Bさん:「く」(食べるよ)
秋田県民なら親子の間で一度は交わしたことのある会話です。日本一短い会話ですね。
④:はだげる
「はだげる」はお皿などの中に盛られた食べ物をきれいにかき集めたり平らげたりすることを意味する言葉です。
例:「まま、しかっとはだけた。」
意味:「ご飯をきれいに食べた。」
なお「はだける」は標準語だと服の胸元や裾が乱れて開いている状態のことを指すので秋田で「はだける」という言葉を使うときには注意が必要です。
⑤:こえー
「こえー」というのは「疲れる」という意味の秋田弁です。標準語の「怖い」と似た響きなので、どちらの意味なのかは会話の流れから判断したいところです。
例:「今日、吹雪すげがったどぎ、運転さこえーがった。」
意味:「今日、吹雪がすごかった時の運転が疲れた。」
このように、秋田県外出身者が見たらどちらとも取れるようなやりとりが生じる場合もあるのです。
【番外編】秋田弁で言われたい!グッとくる告白フレーズ5選
秋田弁は言葉を短縮したり濁点をつけることによってとてもかわいい響きになります。そんな秋田弁での告白フレーズとは一体どのようなものなのでしょうか?
ここでは代表的なものを5つ紹介してゆきます。
①:めんこい
「めんこい」とは、「かわいい」という意味の秋田弁です。小さいものや幼いものなど、かわいいものや事柄に対して使います。
例:「あの子、なんとめんけえ。」「いや、こっちの方がめんけえ。」
意味:「あの子、なんてかわいいんだ。」「いや、こっちの子のほうがかわいい。」
なんて風に、秋田県では男子が青春時代に一度は使う言葉です。
女の子に「めんこい」って言うときっと喜びますよ。
②:づき合ってけれ
「づき合ってけれ」は「付き合って下さい」という意味の秋田弁です。ズバリ、好きな人に告白するときに言うフレーズです。
「~してけれ」が「~して下さい」という意味の、お願いをする時に使う秋田弁なので、「づきあってけれ」が「付き合って下さい」になるのです。
③:おめのごどが好ぎだ
「おめのごとが好きだ」は「あなたのことが好きです」という意味の秋田弁です。「好きだ」だとぶっきらぼうな感じに見えるかもしれませんが、秋田弁独自のイントネーションと組み合わさるととても素朴で素直な雰囲気の言葉になるのです。
④:おらはダメだが?
「おらはダメだが?」は「私(僕)じゃダメですか?」という意味の秋田弁です。
秋田では「おら」が男性・女性ともに自分自身のことを指す言葉なので、このフレーズは男性、女性ともに使えます。
⑤:しょしい
「しょしい」は「恥ずかしい」という意味の単語です。この言葉は日常生活の多くのシーンで使う言葉ですが、告白の場面でこの言葉を使うのであれば、告白されて恥ずかしい、照れてしまった時に思わず言ってしまう言葉です。
おまけ
ここまで出てきたグッとくる告白フレーズを全部使って秋田弁で告白してみましょう。
<例>
男:「おら、おめのごどがめんこくてしっだげ好ぎだ。付き合ってけれ。おらだはダメだが?」
女:「おらもしょしげど好きだ。よろしく頼むんす。」
<意味>
男:「僕は、あなたのことが可愛くてすごく好きです。付き合って下さい。僕じゃダメですか?」
女:「私も恥ずかしいけど好きです。よろしくお願いします。」
ここまでわかれば秋田弁での告白も成功間違いなしでしょう!
【番外編】秋田県出身の芸能人や秋田で撮影された秋田弁の映画やドラマ
日本には京美人、博多美人と並んで秋田美人という言葉があるように、秋田県は昔から美人の産地として知られてきました。現代でもモデルの佐々木希さんや加藤夏希さん、タレントですと壇蜜さんや元乃木坂46の生駒里奈さんがいますね。演歌歌手なら藤あや子さんも秋田県出身です。芸能界を代表する美人達が勢揃いしていますね。
また男性芸能人ですと、柳葉敏郎さんやフリーアナウンサーの小倉智昭さんが秋田県出身者として有名です。
スポーツ選手でしたら総合格闘家の桜庭和志さんや、元プロ野球監督の落合博満さんが秋田県出身者として名高いです。
秋田弁の特徴や定番フレーズはこんなに独特!ぜひ秋田県で聞いてみよう
秋田弁とひとことで言っても地域によって違いがあり、様々な特徴があります。もしかしたら聞き慣れない言葉やフレーズばかりかもしれませんが、土地に根ざしたとても豊かな表現が数多くあるのです。
みなさんもぜひ秋田県へ行って、現地で生の秋田弁を聞いてみてくださいね。
「まんづ ぎづげで!(どうぞ気をつけて!)」