京都でも見ることができる五重塔とは?
そもそも五重塔とはどういった建築物なのでしょうか。
五重塔とは名前の通り、五重になった屋根を持つ仏塔のことを指しています。
仏教において「五」という数字には意味があり、五大思想という「地・水・火・風・空」の5つの世界を現しているんだそう。
また、仏塔というのは元来「お釈迦様の遺骨(仏舎利)」を安置する場。
それを五重塔として高さがあるものにすることにより、離れた場所からでも拝むことが出来るようになったとも言われています。
京都で見ることが出来る五重塔も、これらの仏教的な側面を持っています。
各お寺によって装飾の意味などが異なる為、それぞれを見比べてみるのも面白いですよ。
ただし、五重塔はほとんどが内部見学できない構造になっています。
これはそもそも「五階建ての建築物」では無く、骨組みで五層の屋根を支えているという構造になっているからです。
意外と多い!京都府には五重塔が6ヶ所!
次に、京都府内にある五重塔についてチェックしてみましょう。
京都府内には6つの五重塔が今も残っていて、その存在をアピールしています。
そのうち、次に紹介する京都市内に有るものを「四大五重塔」と呼び、推奨観光ルートもあるほど。
京都市外にある2つの五重塔も、知名度こそ京都市内より劣りますが見ごたえは充分です。
それぞれの五重塔は異なる特色や周囲の風景、季節ごとの彩りを楽しむことが出来るため、一年中どの季節に訪れても違った景色を見ることができます。
上手く計画を立てて巡ることができれば一日で観光することも可能。
時間によって五重塔が見せてくれる表情も変わる為、どの時間帯にどの五重塔を観に行くのかを考えるだけでも楽しいですよ。
京都市内の五重塔4ヶ所のアクセスや見どころは?
では、京都市内の五重塔をみていきましょう。
京都市内には、以下のスポットがあります。
- 東寺(とうじ)
- 仁和寺(にんなじ)
- 醍醐寺(だいごじ)
- 法観寺(ほうかんじ/八坂の塔)
続いて、それぞれの「五重塔」について詳しくみていきます。
東寺
京都市内の五重塔、1つ目は「東寺の五重塔」です。
東寺(とうじ)は教王護国寺(きょうおうごこくじ)ともいい、真言宗総本山として良く知られている有名なお寺。
京都市南区にあり、東寺の五重塔は国宝に指定されています。
その高さは54.8メートルで、これは国内の木造五重塔の中で最も高いもの。
東寺の境内には五重塔以外にも数多くの国宝や重要文化財があり、通常公開されているものだけでなく期間限定で特別公開が行われる品々も豊富。
春には夜桜のライトアップが行われ、桜と五重塔のコントラストはとても美しいと評判です。
鉄道で東寺へ行くには、近鉄京都線「近鉄東寺駅」がもっとも近く、下車徒歩10分ほどで訪れることができます。
その他の路線を利用する場合、JRなら各線「京都駅」下車、八条口より徒歩約15分。
京都市バスを利用する場合、東寺周辺には「東寺東門前」「東寺南門前」「九条大宮」「東寺西門前」の4つの停留所がありますので各停留所行きの路線を利用してください。
駐車場もありますので、自家用車で訪れることも可能。
駐車料金は2時間600円、以降2時間ごとにプラス200円で特別拝観期間は料金が変わりますので事前に問い合わせるなどの確認が必要です。
東寺
住所:京都市南区九条町1番地
京都市南区九条町1番地
電話番号:075-691-3325
営業時間:8:00~17:00(16:30受付終了)
定休日:なし
入場料や利用料:講堂・金堂拝観料・一般500円/高校生400円/小中学生300円
URL:http://www.toji.or.jp/
仁和寺
京都市内の五重塔、2つ目は「仁和寺の五重塔」です。
京都市右京区に位置する仁和寺の五重塔は1644年に建立されており、これは先に紹介した東寺の五重塔と同じ年代の建築なんだそう。
また、仁和寺には「御室桜(おむろざくら)」という背丈が低く、遅咲きの桜の林も有名です。
桜の咲き誇る季節には、境内から桜の海とその中から頭をだす五重塔という、とても心洗われる景色を目に焼け付けることが可能。
御室桜以外にもソメイヨシノやしだれ桜も植えられているため、春は拝観客でにぎわう季節でもあります。
ただし、桜開花期間中は駐車場も混雑しますので公共交通機関を利用するのがおすすめです。
仁和寺へのアクセスは、鉄道を利用する場合京福電鉄(嵐電)の「御室仁和寺駅」が最も近く、下車徒歩3分の好アクセスとなっています。
JRの場合、嵯峨野線「花園駅」を降りて徒歩約15分、もしくは「円町駅」にて市バス26系統に乗り換えておよそ10分の「御室仁和寺停留所」へ向かいます。
同様に他の停留所から京都市バスを利用する場合、「御室仁和寺停留所」へ向かう系統の路線となります。
JR京都駅からだと26番系統で40分と時間がかかる為、仁和寺の五重塔を見るには京福鉄道の利用がおすすめ。
駐車場は100台まで駐車可能で1日500円となっています。
仁和寺
住所:京都府京都市右京区御室大内33
電話番号:075-461-1155
営業時間:3月~11月・9:00~17:00(16:30受付終了)/12月~2月・9:00~16:30(16:00受付終了)
定休日:なし
入場料や利用料:大人500円/小中学生300円
URL:http://www.ninnaji.jp/
醍醐寺
京都市内の五重塔、3つ目は「醍醐寺の五重塔」です。
醍醐寺は京都市伏見区にある広大な敷地を持つお寺。
その中にそびえ立つ五重塔は国宝に指定されており、京都府内の木造建築物としては最古のものなんだそう。
先に紹介した東寺や仁和寺の五重塔とは違い、上層へ行くほど屋根の大きさが小さくなるという平安時代の様式を今も残しています。
醍醐寺は「上醍醐」「下醍醐」と山頂部、山裾部で分かれており五重塔は下醍醐側にあります。
紅葉狩りの名所としても知られており、秋が深まると境内を含めた山全体が鮮やかな暖色に。
また、醍醐寺の五重塔は毎月29日に開扉法要を執り行っています。
写経の奉納を行うことで外からですが開扉された五重塔の内部を見ることが可能ですので、興味のある方は要チェックです。
境内には売店や飲食店もあるため、ゆっくりと拝観を行うことができるという魅力も有ります。
醍醐寺へは鉄道の場合、京都市営地下鉄東西線「醍醐駅」を下車、徒歩約15分。
バスを利用する場合、京阪バス各線の「醍醐寺前停留所」下車が便利です。
駐車場は普通車100台完備、駐車料金は5時間まで1,000円、5時間を越えると30分ごとに100円が加算されるようになっています。
醍醐寺
住所:京都市伏見区醍醐東大路町22
電話番号:075-571-000
営業時間:3月1日〜12月第1日曜日まで・9:00~17:00(16:00受付終了)/12月第1日曜日の翌日〜2月末日まで・9:00~16:30(15:30受付終了)
定休日:なし
入場料や利用料:通常期大人800円/中高生600円/小学生以下無料・春期(3月20日〜5月15日)秋期(10月15日〜12月10日)大人1,500円/中高生1,000円/小学生以下無料
URL:https://www.daigoji.or.jp/
法観寺(八坂の塔)
京都市内の五重塔、最後に紹介するのは「法観寺の八坂の塔」と呼ばれる五重塔。
京都市東山区にあり、八坂の塔と呼び名がつけられるほど地域に親しまれています。
この八坂の塔は聖徳太子が建てたといわれており、創建時代を見るとこれまで紹介したどの五重塔よりも古いもの。
しかし、現在の五重塔は1440年に再建されたものと言われています。
八坂の塔は重要文化財に指定されているにも関わらず、不定期ながら塔内部への拝観が許可されている珍しい五重塔でもあります。
確実に内部を見てみたいのならば、事前に電話にて問い合わせが必要となっていますので注意してください。
また、法観寺の境内は狭く、周辺には街並みが広がっており不思議な景観を作り上げているのも特徴のひとつ。
3月中旬に行われる「京都・東山花灯篭」にあわせてライトアップされる八坂の塔は幻想的な美しさを堪能できます。
八坂の塔へのアクセスは京阪本線の「清水五条駅」もしくは「祇園四条」駅下車、それぞれ徒歩約15分となっています。
より近くへ行くには京阪バス「清水道停留所」か、京都市バス「東山安井停留所」が便利。
法観寺には駐車場がない他、周辺の道は狭く一方通行なども多いため公共交通機関の利用をおすすめします。
法観寺(八坂の塔)
住所:京都府京都市東山区清水八坂上町388
電話番号:075-551-2417
営業時間:10:00~16:00
定休日:不定休
入場料や利用料:大人(中学生以上)400円/小学生以下拝観不可
URL:なし
京都市外の五重塔2ヶ所のアクセスや見どころは?
では、京都市外の五重塔をみていきましょう。
京都市外には、以下のスポットがあります。
- 成相寺(なりあいじ)
- 海住山寺(かいじゅうせんじ)
続いて、それぞれの「五重塔」について詳しくみていきます。
成相寺
京都市外の五重塔、1つ目は「成相寺の五重塔」です。
京都府の中でも指折りの名勝として名高い天橋立を眺めることが出来る宮津市にあり、西国札所のひとつでもあります。
成相寺の五重塔は、1998年(平成10年)に再建された為かなり新しいものとなっています。
ただし鎌倉時代に立てられた際の建築様式をしっかりと再現しており、当時の鮮やかな姿をまじまじと観察することが可能。
境内には五重塔以外にも謂れのある池や梵鐘など、魅力ある伝承が多く残されているのも特徴。
さらに境内の中でもひときわ高い場所に設けられたパノラマ展望台からの眺めは壮観です。
そんな成相寺へのアクセスは、車がおすすめ。
駐車場完備、料金不要なので車でも訪れやすくなっています。
鉄道利用の場合、京都丹後鉄道「天橋立駅」下車後タクシーで25分、もしくは丹後海陸交通(船)にて対岸へ渡り、天橋立ケーブルカー「傘松駅」へ。
さらに傘松駅にて登山バスに乗り換えて7分と乗り継ぎの多いルートとなっている為、自家用車やタクシーを使うことをおすすめします。
四季折々の鮮やかな花々に彩られ、眼下には天橋立や日本海が広がる成相寺の五重塔へぜひ一度足を運んでみてくださいね。
成相寺
住所:京都府宮津市成相寺
電話番号:0772-27-0018
営業時間:8:00~16:30
定休日:なし
入場料や利用料:大人500円/中高生200円/小学生以下無料
URL:http://www.nariaiji.jp/
海住山寺
京都市外の五重塔、2つ目に紹介するのは「海住山寺の五重塔」です。
京都府木津川市にあり、厄除け寺として知られている海住山寺の五重塔は、成相寺の五重塔と同じく鎌倉時代の建立とされています。
国宝に指定されている五重塔のうち、高さ17メートルと小ぶりでは有りますが、高さの無い分上部までしっかりと見ることが出来るメリットも。
さらに10月下旬から11月のはじめにかけて「文化財特別公開」として五重塔開扉が行われます。
この期間中は特別拝観として拝観料がアップしますが、仏舎利を祭る内陣(ないじん)に描かれた帝釈天などの貴重な絵を見ることが出来るためおすすめ。
また、海住山寺は山の中腹に位置しており、秋になると紅葉に囲まれた寺院という非日常的な光景を目にすることができます。
しかしその立地から、アクセスは決して良いとはいえません。
最も便利に移動できる手段は車で、国道163号線を信楽方面へ走っていくと案内看板が見える為したがってください。
鉄道を利用する場合には、JR関西本線「加茂駅」下車、奈良交通のバス・和束小杉行きに乗車し「岡崎停留所」で下車します。
岡崎停留所からは徒歩で40分ほど、坂を上る必要があるため体力に自身の無い方は車やタクシーを利用するのがおすすめです。
海住山寺
住所:京都府木津川市加茂町例幣海住山境外20
電話番号:0774-76-2256
営業時間:9:00~16:30
定休日:なし
入場料や利用料:本堂400円/散策のみ入山料100円
URL:http://www.kaijyusenji.jp/
京都の五重塔は1日で見てまわれる?
これまで京都府にある6つの五重塔を紹介しました。
では、今回紹介したこれら全ての五重塔を1日で巡ることは可能なのでしょうか。
京都市内にある4つの五重塔なら、1日かけて全てを見てまわることは可能です。
京都市外の2つの五重塔は、北部と南東部それぞれ真逆に位置している為、移動時間がかかり1日で全ての五重塔をみてまわるということは難しいでしょう。
京都市内の五重塔は京都市などが運営している観光案内所などでマップを貰うことで効率よく巡ることが出来るようになっています。
また、移動中に寄り道できるような施設や店舗についても情報を得ることができますので、五重塔めぐりを行う際には観光案内所を利用するのもおすすめです。
京都の五重塔を見に行くならいつがおすすめ?紅葉やライトアップの時期は?
最後に、京都の五重塔を見に行くのにおすすめの時期についてみてみましょう。
京都観光といえば、春は桜、夏は川床、秋は紅葉、冬は雪景色と四季全てに見どころが詰まっていますよね。
五重塔を見に行くのも同様で、それぞれの季節によって違った雰囲気を楽しむことができます。
そのなかでも特におすすめしたいのは「春」と「秋」で、その理由はお寺によってはこの時期に五重塔のライトアップを行うところもあるからです。
各五重塔の紹介でも触れましたが、東寺の五重塔は夜桜ライトアップや紅葉ライトアップを実施。
醍醐寺もライトアップされ、夜空に浮かび上がる神秘的な五重塔を見ることができます。
このように、各お寺によって催しが行われる時期が異なっているため、どの五重塔を見に行くかによって時期を検討するのがおすすめ。
1日で市内全ての五重塔をめぐるのなら、京都全体が色づいて綺麗な秋・紅葉のシーズンをおすすめします。
紅葉シーズンは日中には紅葉と五重塔のコントラストを楽しむことができ、日が暮れるとライトアップされて日中とは雰囲気が異なる鮮やかさを楽しめます。
拝観可能時間には注意しながら、様々な表情を見せる京都の五重塔を楽しんでみてくださいね。
京都の五重塔全6ヶ所のアクセスや見どころを紹介!紅葉やライトアップのまとめ
京都府内には6ヶ所もの五重塔があるというのには驚きですよね。
どの五重塔も異なる特色を持っているため、見るたびに新たな発見があるかもしれません。
歴史の街京都ならではの、大人の旅行が楽しめるのではないでしょうか。
京都観光の計画に加えたり、少し空き時間があるというようなときには、ぜひ京都の五重塔を見に行ってみてくださいね。