チリコンカンとはどんな食べ物?いつ生まれたの?
まずチリコンカンとは、簡単に説明すると、お肉と豆などの野菜を、トマトとチリパウダーなどのスパイスで煮込んだ、スパイシーなお料理のことです。
庶民的な料理らしく、起源を確認できる文献が少ないようですが、おおむね19世紀の中頃に、アメリカのテキサス州で、レシピが考案されたと言われています。
さらに、第二次世界大戦でお肉が手に入りにくくなった時代に、お肉に豆や野菜を加えてボリュームのある汁物仕立てにしたこのレシピが重宝され、全米に普及していったそうです。
チリが全米に普及したのは、1930年代の世界恐慌や、肉類が配給制になった第二次世界大戦がきっかけである。肉が手に入りにくくなった時、挽肉にいんげん豆やトマトを入れてボリュームのある汁物仕立てにしたチリは家庭で重宝された。(出典:チリコンカーン-Wikipedia)
『チリコンカン』という言葉自体は、スペイン語で『肉入りトウガラシ』という意味なのですが、生まれも育ちもアメリカの食べ物なんですね。
チリコンカンとは日本の給食メニューにもあった?
地域によって、チリコンカンを給食のメニューとしているところも結構あります。
現在の給食メニューでも採用されていますし、また既に大人になった方が、昔の給食にあった、と懐かしんだりもされています。
昔から、給食メニューとしても親しまれているんですね。
チリコンカンはピリッとスパイシーな味付けが特徴ですが、当然、給食向けにはその辛さは極力おさえ目になっています。
トマトケチャップなどの甘みを生かしながら、チリパウダーやチリソース・タバスコなどのピリ辛の要素をすこーしだけ足すようなイメージですね。
愛知県長久手市のホームページには、写真やレシピまで分かりやすく掲載いただいていますので、ご紹介しておきます。
長久手市 給食センターがおくる大豆のチリコンカン
チリコンカンとは栄養価がとても高い食べ物!
ではなぜ、給食メニューでチリコンカンが採用されているかというと、ズバリ
栄養価が高い!
からなのです。
チリコンカンを栄養面から説明します。
- お肉と豆類のたんぱく質
- トマトのリコピン
- 野菜のビタミン
- スパイスで発汗作用
チリコンカンの栄養①:お肉と豆類のたんぱく質
たんぱく質というと、お肉やお魚をイメージしますが、チリコンカンのたんぱく質はお肉だけではありません。
チリコンカンでは豆類が使われますが、この豆類には、植物性たんぱく質が豊富に含まれているんです。
そればかりか食物繊維も豊富で、積極的にとっていきたい食材と言えます。
チリコンカンの栄養②:トマトのリコピン
トマトの赤に含まれると注目されているリコピンは、生活習慣病予防や、老化防止に効果があると言われています。
またトマトはリコピン以外にも、ビタミンCやカリウム、食物繊維などをバランスよく含んでいる優秀選手なのです。
チリコンカンの栄養③:野菜のビタミン
栄養バランスの良い食事の為には、なるべく多くの色々な食材をとることが必要と言われていますね。
チリコンカンはお肉・豆・トマトの他にも玉ねぎを使ったり、またアレンジ次第でにんじんやピーマンのみじん切りなども加えることができ、一つのメニューで色々な野菜のビタミンを摂取することができます。
チリコンカンの栄養④:スパイスで発汗作用
チリコンカンのピリ辛のもとになっている、唐辛子。
発汗作用に優れ、脂肪燃焼効果があるカプサイシンが含まれています。
何より、ピリッと辛い食べ物は食欲が進みますよね。
スパイスの味を使うことにより、塩分を控え目にできるのも魅力です。
名前が良く似ているチリビーンズ。チリコンカンとは違うの?
チリコンカンとよく似た名前の「チリビーンズ」。
こちらの名前の方が、日本人に馴染みがあるかもしれませんね。
両者の違いについて結論から言いますと、明確な区分けがあるわけではありません。
それぞれの名前から考えていきますと、チリビーンズのチリは英語で『トウガラシ』、ビーンズは、『豆』という意味ですね。
それに対してチリコンカンは前述のとおり、スペイン語で『肉入りトウガラシ』という意味です。
チリビーンズの主役が豆であることに対して、チリコンカンの主役は肉ということになります。
しかし、チリビーンズにお肉を入れてはいけない決まりはないですし、大豆がたくさん入っているチリコンカンもあります。
ただ、「お肉の食感をより味わいたいなら、チリコンカン」、「さっぱりとお豆料理を、と考えるならチリビーンズ」という傾向があるということです。
チリコンカンとはどうやって作るの?スパイスなど簡単レシピを紹介!
では実際にチリコンカンを作る場合のレシピについて、キッコーマンのレシピサイトに、基本の作り方が載っていますので、ご紹介しておきます。
チリコンカンのレシピ キッコーマンホームクッキング
さらに、NHKエデュケーショナルのサイトに載っている料理家 栗原はるみさんのレシピは、複数のスパイスを使って深みのある仕上がりとなる、上級者向けのレシピです。
チリコンカン 栗原はるみさん【みんなのきょうの料理】
その他、クックパッドなどのレシピサイトにも多数掲載されていますが、おおむね基本となるポイントは以下のとおりです。
- 主役となるひき肉は牛肉、豚肉、鶏肉どれでもOK
- お豆は、レトルトパウチや缶詰の、大豆やミックスビーンズの水煮が便利
- 野菜は玉ねぎはマスト、それ以外ににんじんやパプリカなどアレンジ多彩
- 最初に炒める時にはにんにくで香りづけ(無くてもいける)
- 玉ねぎ、肉、野菜を炒める→トマト缶で豆と一緒に煮る
- 水分が足りないなと感じたら、水やブイヨンスープを足す
- スパイスはチリペッパーやチリパウダーを少しずつ味を見ながら
- その他の味付けはトマトケチャップ、赤ワイン、ウスターソース、クミンなど
もちろん、うま味の代表選手である塩も上手に使って、味を整えていきましょう!
スープにグラタン、トルティーヤ。チリコンカンとはアレンジ自由な食べ物!
さて、チリコンカンの基本の作り方をマスターしたら、今度は色々なアレンジを楽しんでみましょう。
チリコンカンスープ
もともと、チリコンカンは汁気のある食べ物ですが、さらに水分を増やしてスープ仕立てにすることもできます。
固形コンソメなどのスープの素を使ってのばしていけばカンタンです。
ピリッと辛いチリコンカンスープで身体がポカポカ温まりますよ。
チリコンカングラタン
チリコンカンは、お肉やお豆、野菜が入ったトマトソースと考えることもできます。
このトマトソースを使って、グラタンはいかがでしょうか。
ショートパスタなら、茹でてチリコンカンに絡めてグラタン皿へ。
ジャガイモなら、通常のポテトグラタンの要領で作っていき、グラタン皿に入れたらチリコンカンを上からかけるイメージで。
上にとろけるチーズをのせて、オーブンやトースターで焦げ目をつけて出来上がりです。
トルティーヤ
トルティーヤとチリコンカンはもちろん相性バツグン!
トルティーヤも、家庭でカンタンに作れますが、強力粉が必要なので、「薄力粉ならうちにあるけど強力粉は無い・・・」という場合は、市販でも手に入りますよ。
ディズニーのチリコンカンメニュー、ティポトルタとは?
何と東京ディズニーリゾートのメニューにもチリコンカンが採用されているんです。
ただし、チリコンカンそのもののメニューではなく、「ティポトルタ」のチリコンカン味という位置づけです。
東京ディズニーリゾート内で食べられるのはズバリこちら!
- 東京ディズニーランド ファンタジーランド内「ビレッジペイストリー」
- 東京ディズニーシー ロストリバーデルタ内「トロピック・アルズ」
両方とも、レストランではなくワゴンサービスのお店で、食べ歩きが前提です。
ところで「ティポトルタ」とはどんな食べ物かというと、パイ生地を細長い棒状にした食べ歩きスナックで、中にクリームが入っています。
この中のクリームというのが、今まではチョコレートなどのスイーツ系だったのが、チリコンカン味というのが登場したのです。
「小腹が空いたからティポトルタでも食べようかな、あれ?チリコンカン味って何ーーー!」と思われた方も多いかもしれませんね。
甘いものが苦手な方にもぴったりのお惣菜系おやつと言えます。
ただし当然、辛味がありますので、小さなお子様にあげる時は様子を見ながらにしましょうね。
ちなみに価格は360円です。
日本人の食文化にますます浸透していきそうなチリコンカン
給食でも親しまれ、さらにディズニーにも登場して、ますます日本でも浸透していきそうなチリコンカン。
コツをつかめば作り方もカンタンで、アレンジ多彩な食べ物ということが分かりました。
そう考えると、日本人の国民食とも言えるカレーやシチューに負けず劣らず、栄養満点のメインディッシュ代表に躍り出る日も近いかもしれませんね。