- アクアアルタで水没?水の都ベネチアはどんな街?
- 【ベネチアが水没?】ベネチアのアクアアルタはどういう現象?
- ベネチアのアクアアルタはいつ発生するの?水没時期や場所は?
- 【水没注意】ベネチアでアクアアルタに遭遇しないための対策
- 【水没注意】ベネチアでアクアアルタに遭遇してしまったら
- アクアアルタの時期にベネチア滞在。水没を回避するのにホテルはどのエリアがおすすめ?
- アクアアルタで水没中、ベネチアの観光はできる?
- アクアアルタの水没からベネチアを守る!日本の技術を使った「モーゼ計画」って何?
- 【番外編】アクアアルタのあるベネチアへの行き方とおすすめ観光地
- アクアアルタの時期は水没対策を万全にしていこう!
アクアアルタで水没?水の都ベネチアはどんな街?
ベネチアとはイタリア北東部に位置する街でヴェネト州の州都。
かつて1000年以上栄えたベネチア共和国の首都だった街です。
ベネチア湾の潟(ラグーナ)の上に作られた水上都市で、街全体がユネスコの世界遺産に登録されています。
また「水の都」という愛称の他に「アドリア海の女王」や「アドリア海の真珠」とも謳われる美しい街。
ベネチアという街の名前はラテン語で「ウェネト人の土地」という意味の「ウェネティア」という言葉を由来としています。
現在のベネチアの人口は周辺地域も合わせて約26万人。
それに対して年間約3000万人もの観光客が訪れる世界有数の観光地としても知られています。
街中には車の乗り入れが禁止されていて、島内の移動手段はゴンドラやフェリー、水上タクシーなど。
また毎年2月末から3月初めには仮面舞踏会が行われ、街が華やかな雰囲気になります。
本島以外にもカラフルな建物が並ぶブラーノ島や、ベネチアングラスで有名なムラーノ島もすぐ近くに。
異国情緒あふれる魅力的な街です。
【ベネチアが水没?】ベネチアのアクアアルタはどういう現象?
アクアアルタ(acqua alta)とは本来イタリア語で「満潮」を表す言葉。
現在は主に北アドリア海周辺で異常に潮位が上がる現象のことをさします。
観測所で計測されるデータを基に、通常よりも海面水位が80センチ以上上昇したときにアクアアルタと呼ばれます。
アクアアルタの潮位の状態については以下の3段階です。
英語 | イタリア語 | 潮位の状態 | |
---|---|---|---|
強い | intense | marea sostenuta | 通常より80センチから109センチ上昇している |
とても強い | very intense | marea molto sostenuta | 通常より110センチから139センチ上昇している |
特別な高潮 | exceptional high waters | alta marea eccezionale | 通常より140センチ以上上昇している |
アクアアルタが発生するとベネチアの街のいたるところが水没し、場所によっては歩くことが困難になることも。
最近では2018年10月29日にも大規模なアクアアルタが発生し、水位は最高段階にあたる156センチまで上がりました。
過去には194センチまで水位が上がり街の90%が浸水したこともあるのです。
実はベネチアの街が少しずつ沈下していること、世界的な温暖化により海面が上昇していることから徐々に発生件数が増えています。
多い年は1年間に60回以上もアクアアルタが発生することも。
ベネチアに住む人々にとっては比較的身近な自然現象なのです。
ベネチアのアクアアルタはいつ発生するの?水没時期や場所は?
ベネチアでアクアアルタが発生する時期
アクアアルタは年間を通して発生する自然現象です。
ただ比較的多く発生しやすいのは季節の変わり目の10月から11月、そして3月の秋から冬にかけて。
アクアアルタが発生する原因は主に3つあります。
満潮と、アフリカからの季節風シロッコ、そして低気圧の発生です。
ベネチアはアドリア海の北端に位置しているため、シロッコの行き止まり部分。
満潮や低気圧の発生で水位が上昇しているところにシロッコが吹き、さらに海面が押し上げられてしまうのです。
様々な要因が絡み合って発生する現象のためなかなか予測が難しいのが現状。
しかし春から夏にかけては発生しにくいため、アクアアルタを避けたい人は旅行の時期を決める時の参考にしてくださいね。
ベネチアでアクアアルタの影響を受けやすい場所
アクアアルタは海面が上昇する現象のため、街中の海抜が低いところから影響を受けていきます。
水位が80センチ以上あがると、ベネチア本島で一番低い場所にあるサン・マルコ広場の浸水が始まります。
サン・マルコ広場周辺はサン・マルコ大聖堂やジョットの鐘楼、ドゥカーレ宮殿など人気観光地が多数。
残念ながらアクアアルタが発生すると一番影響を受けてしまいます。
また島全体の海抜が1メートルから4メートルと低いため、水位が120センチ上がると街の3分の1が浸水。
150センチの水位上昇で街のおよそ70%が浸水します。
【水没注意】ベネチアでアクアアルタに遭遇しないための対策
アクアアルタ対策①:ベネチアのウェブ情報を活用しよう
アクアアルタは高潮や気象条件によって発生するため、長期予測は難しいと言われています。
ただベネチア市のホームページが随時情報を更新していますので、こまめにチェックしてみましょう。
https://www.comune.venezia.it/it
上記ウェブサイトを開き、Mareaと書いてあるところを押すと3日間の短期予測を見ることができます。
http://www.comune.venezia.it/flex/AppData/Local/bollettinoMaree.pdf
こちらはPDFで短期予測と気象図がまとめられています。
アクアアルタ対策②:アクアアルタ用アプリをダウンロード
最近はアクアアルタ専用のアプリも登場しています。
Water on the Venice Floor という名前でIphone用とアンドロイド用とあるので、事前にダウンロードしましょう。
現在の水位や街中の浸水状況が分かるようになっています。
アクアアルタ対策③:ベネチアの街に響くサイレンに注意
アクアアルタの発生や水没の危険性が予想されるときは、市内全域にサイレンが鳴ります。
サイレンの音は何種類かあり、音によってどのくらい水位が上がるか分かるようになっています。
しかし旅行でベネチアを訪れている場合、サイレンの聞き分けは難しいのでホテルなどで確認するようにしましょう。
いきなり大音量でサイレンが鳴るので何事かと驚いてしまうかもしれませんが、慌てずに状況確認してくださいね。
【水没注意】ベネチアでアクアアルタに遭遇してしまったら
アクアアルタの対処法①:長靴を使う
軽めのアクアアルタであれば水たまりを避けて歩くこともできますが、水位が上がってくると難しくなります。
道が水没してしまった場合には長靴がとても便利。
長靴を持っていない人は、売店で簡易式のビニールカバーを買うことができます。
ただお値段がちょっと高めで強度もあまり期待できません。
せっかく買ったのにすぐに穴があいてしまうことも。
アクアアルタが発生しやすい時期にベネチアを旅行する人は、日本から長靴を持っていくと安心です。
またホテルによっては長靴を貸してくれたりする場合もあるので、荷物が増えるのは嫌だなという人は事前に確認してみましょう。
アクアアルタの対処法②:簡易歩道を歩く
街が浸水すると、水没箇所にはベネチア市が簡易式の通路を設置してくれます。
木製の台を並べてくれるので、その上を歩いて移動も可能です。
ただこの簡易通路は幅が狭いので水に落ちないように気を付けて下さいね。
また主要観光地付近には大体設置されますが、細い路地には設置されません。
でかける時はあったのに、帰る時には撤去されて無くなっていることも。
アクアアルタの時は大きめの通りを歩くようにしましょう。
アクアアルタの対処法③:影響しやすい場所を避ける
ベネチアの中でもサン・マルコ広場周辺は最初に水没してしまいます。
アクアアルタが発生しそうな時は早めにこの周辺の観光は済ませておきましょう。
同じく人気観光地であるリアルト橋周辺はやや海抜が高くなっていますので、軽めのアクアアルタであればあまり影響を受けません。
観光の順番を調整して、アクアアルタ中は水没しやすい場所を避けて観光を楽しんでくださいね。
アクアアルタの対処法④:ホテルで待機
街中に浸水している水は運河の水なのであまりきれいではありません。
また秋から春にかけて発生しやすいため水に濡れると体が冷えて体調を崩すことも。
アクアアルタは発生しても昼過ぎには水が引くことが多いです。
街が浸水している時は無理せずホテルでゆっくりして旅の疲れを癒しましょう。
アクアアルタの時期にベネチア滞在。水没を回避するのにホテルはどのエリアがおすすめ?
滞在しているホテルが水没してしまったら大問題ですよね。
アクアアルタが発生しやすい時期はできるだけ影響の少ないホテルに宿泊したいもの。
ベネチア本島に宿泊する場合、サンタルチア駅周辺がおすすめです。
本島の中では比較的海抜が高く、移動手段がたくさんあります。
ベネチア本島は街中への車の乗り入れが禁止されていますが、サンタルチア駅のすぐ近くまでバスが通っています。
鉄道や水上バスなど色々とあるので、アクアアルタが発生しても活動の幅が広がるでしょう。
またベネチア本島はやや古くて値段が高いホテルが多いので、アクアアルタが発生しやすい時期は本島以外に泊まるのもおすすめ。
特にメストレ地区は新しくて安めのホテルも多く、普段から観光客に人気のエリアです。
アクアアルタで水没中、ベネチアの観光はできる?
アクアアルタで道が水没しても、市が設置する通路を歩けば主要観光地には問題なく行けます。
観光施設やレストランも営業をしてくれるのでそれほど心配することはないでしょう。
水没したサン・マルコ広場に映る大聖堂や宮殿の姿はとても幻想的。
わざわざその風景を見るためにアクアアルタの時期にベネチアを訪れる人もいるほどです。
ぜひ普段とは違うベネチアの街を楽しんでくださいね。
ただし、あまりに水位が上がってしまうと危険と判断され簡易通路が撤去されてしまうこともあります。
2018年11月の高潮ではサン・マルコ広場は完全に水没して閉鎖されてしまいました。
滅多におこることではありませんが可能性も考慮しておきましょう。
アクアアルタの水没からベネチアを守る!日本の技術を使った「モーゼ計画」って何?
ベネチアを取り巻く環境の変化により年々発生頻度が高くなっているアクアアルタ。
なんとかこの状況を打開しようとイタリア政府が考えたのが「モーゼ計画」です。
モーゼとは旧約聖書にでてくる「モーゼの十戒」が有名ですが、このモーゼは違います。
イタリア語のMOdulo Sperimentale Elettromeccanico(実験用電子工学モジュール)の頭文字からつけられました。
なんとこの計画にはイタリアの国家予算7000億円がかけられています。
モーゼ計画では可動式の水門を作りアクアアルタの発生を防ぎます。
画期的な方法なのですが実はメンテナンスが大変。
メンテナンス方法をどうするかで長く計画が止まってしまいました。
そんな中、日本の企業が開発した塗料が大活躍することになります。
この塗料を使えば手軽にメンテナンスも可能ということで、モーゼ計画は大きく前進しました。
まもなく開始される予定のモーゼ計画。
ベネチアの街を水没から守ってくれることが期待されます。
【番外編】アクアアルタのあるベネチアへの行き方とおすすめ観光地
ベネチアへの行き方
ベネチアへ行く方法は飛行機と鉄道の2種類です。
飛行機でベネチアへ行く場合、空港は本島ではなく少し離れた本土に位置しています。
空港の名前は「Venezia Marco Polo/Tessera」(マルコポーロ空港)です。
日本からの直行便はありませんが、ローマや他国の都市で乗り継いで行くことができます。
空港から本島までは空港バスや水上空港バス、タクシーを利用します。
鉄道でベネチアに行く場合は、鉄道で本島まで行くことができます。
ただ本島手前に「Venezia Mestre」(ベネチア・メストレ駅)があるので、間違えて降りないように気を付けましょう。
本島にある駅は「Venezia Santa Lucia」(ベネチア・サンタルチア駅)です。
おすすめ観光地
では、ベネチアの観光地をみていきましょう。
ベネチアには、以下の観光地があります。
- サン・マルコ広場【Piazza San Marco】
- ドゥカーレ宮殿【Palazzo Ducale】
- リアルト橋【Ponte di Rialto】
- ムラーノ島【Murano】
- ブラーノ島【Burano】
続いて、ベネチアの観光地を、それぞれ詳しくみていきます。
ベネチアの観光地①:サン・マルコ広場【Piazza San Marco】
「世界で最も美しい」と言われる広場。
回廊のある美しい建物で3方を囲まれ、最後の1方にはサン・マルコ大聖堂が作られています。
広場は台形になっており、実際よりも奥行があるように見せる視覚効果も。
ナポレオンが「ヨーロッパ最高の応接間」と評したことでも知られています。
ベネチアのカーニバルもこの広場が中心。
サン・マルコ広場
住所:Piazza San Marco, Venezia
Piazza San Marco, Venezia
ベネチアの観光地②:ドゥカーレ宮殿【Palazzo Ducale】
ベネチア共和国時代、総督邸兼政庁として使われていました。
壁にかけられた絵画や天井に描かれた壁画が美しくとてもきらびやか。
一方で「ためいき橋」の先にはかつての牢獄も残されており、ベネチアの歴史を感じることができます。
ドゥカーレ宮殿
住所:Piazza San Marco 1, Venezia
Piazza San Marco 1, Venezia
電話番号:(041)2715911
営業時間:8.30 am – 5.30 pm 12月25日と1月1日のみ 11 am – 7 pm
定休日:なし
入場料や利用料:20ユーロ
URL:http://palazzoducale.visitmuve.it/
ベネチアの観光地③:リアルト橋【Ponte di Rialto】
大運河にかけられた白大理石のアーチ橋。
1557年の建築当初は木造式でした。
橋の上にはお土産屋や屋台などが立ち並び、1年中観光客で賑わっています。
橋の上からは大運河を眺めることができ、写真スポットとしても人気です。
リアルト橋
住所:Ponte Di Rialto, Venezia
Ponte Di Rialto, Venezia
ベネチアの観光地④:ムラーノ島【Murano】
本島から水上バスで30分ほど離れたところにある島。
世界的に有名なベネチアングラスの工房が立ち並び、ショップで購入することもできます。
町中にはベネチアングラスで作られたオブジェも設置されており、散策をするだけでも楽しめる場所です。
ムラーノ島
住所:Murano, Venezia
Murano, Venezia
ベネチアの観光地⑤:ブラーノ島【Burano】
ピンクや黄色などのカラフルな建物が立ち並ぶ可愛らしい街並み。
霧が発生しやすいため、海から帰った漁師が自分の家を見分けるために家の壁をカラフルに塗ったのが始まりとされています。
ブラーノ島は本島から水上バスで40分ほど離れた場所ある島。
町中には伝統工芸のレースのお店が多く、一般家屋の前でレースを編んでいる住民の姿を見かけることも。
ブラーノ島
住所:Burano, Venezia
Burano, Venezia
アクアアルタの時期は水没対策を万全にしていこう!
アクアアルタが発生するとベネチアの街の風景は一変します。
水没して歩けない道があったり、靴が濡れてしまったりと不便なことも。
アクアアルタが発生しそうな時期にベネチア旅行をする人は、事前にしっかりと情報を集めて対策をしましょう!
長靴や替えの靴下を多めに持っていけば、アクアアルタが発生しても安心して観光を楽しめます。
アクアアルタ中は普段見られない幻想的な風景も見れますので、ぜひ素敵な思い出を作ってくださいね。