スイスで主に話されている言語(公用語)は4つ
言語 | 比率 | 分布 | 主要都市 |
---|---|---|---|
ドイツ語 | 63% | 北部・中部 | チューリッヒ・ベルン |
フランス語 | 23% | 西部 | ローザンヌ・ジュネーヴ |
イタリア語 | 8% | 南部 | ルガーノ |
ロマンシュ語 | 0.50% | 南東部の一部 |
公用語が4つもあるのは歴史的な理由があった!
スイスではドイツ語・フランス語・イタリア語・ロマンシュ語の4言語が公用語として指定されています。
ひとつの国の中に、4つも公用語があると、街中の標識一つ取っても、表示するのが大変そうですよね。
にも関わらず、4つの言語を使っている理由は、スイスの地理、そして歴史に理由がありました。
スイスの周りにはアルプス山脈が広がり、高い山に囲まれた地形をしています。
そのため、古くから迫害された人々の逃げ場として使われてきたのです。
例えば、ナポレオン時代にはフランスからスイスへ移住する人が増えました。
また、ナチス=ドイツから逃れてスイスへ移住する人も多くいました。
有名な映画「サウンド・オブ・ミュージック」でも、オーストリアからスイスへ亡命する家族が描かれていましたよね。
スイスで使われる4つの言語それぞれの話者たちは、言い換えればそれぞれの隣国にルーツを持つ人たちというわけです。
そのため、4つの言語が混在するのが大変だとしても、それぞれのルーツを尊重し、公用語として利用されているのです。
続いて、それぞれの言語について詳しくご紹介します!
スイスの公用語「スイスドイツ語」
一番多くの割合を占めている言語ですが、正確には「スイスドイツ語」と言われ、ドイツの標準語である「高地ドイツ語」(=いわゆるドイツ語)とは少し違う言語となっています。
スイスドイツ語は、高地ドイツ語の方言と位置づけされますが、更にその中でもベルン方言・チューリヒ方言などの違いがあります。
ドイツやオーストリアに住むドイツ語話者にとっても、スイスドイツ語はかなり違う発音になっているため、理解が困難なことも。
そのため、スイスの全国放送では高地ドイツ語が使われています。
また、ドイツ語圏以外のスイス人がドイツ語を勉強するときには、方言ではなく高地ドイツ語を学ぶため、スイス人同士でもスイスドイツ語ではなく、ドイツ語を使って会話するケースも多くあります。
スイスの公用語「スイスフランス語」
ドイツ語に次いでスイスの中で多く使われるのはフランス語。
スイスドイツ語と同じように、スイスで使われている言語は正確にはスイスフランス語と呼ばれます。
スイスドイツ語が、標準のドイツ語とかなり異なるのに対して、スイスフランス語は実は標準のフランス語と大きな違いはありません。
そのため、スイスフランス語話者とフランス語話者の間でも、特に問題なく会話をすることができます。
とはいえ、一部の語彙に違いが見られ、例えば「朝食」「昼食」「夕食」を表す単語が異なったりします。
また、数字の数え方にも違いがあり、スイスフランス語には70、80などを表す独自の単語があります。
スイスのドイツ語圏では、第二言語として英語、そして第三言語としてはフランス語を学ぶ人も多いため、スイス国内なら通じる可能性が高い言語でもあります。
スイスの公用語「スイスイタリア語」
スイスの南部、ティチーノ州などではイタリア語が使われています。
しかしこれも、スイスドイツ語・スイスフランス語と同様に、標準イタリア語と全く同じというわけではありません。
スイス南部で使われている言語は、正確にはロンバルド系イタリア語(ロンバルド語)。
イタリアの北部、ロンバルディア地方でも使われている言語で、地方によって若干の方言があります。
イタリア語という名前が付いていますが、実は言語的には標準イタリア語よりもフランス語の方に近いと言われています。
ロンバルディア地方がイタリアに統合されたため、イタリア語と言われるのですね。
実はイタリア国内では、このロンバルド語を話すことがあまり良しとされていないため、スイス南部でしか積極的に話されていません。
そのため、ユネスコの消滅危険度評価では「危険」に分類されている少数言語でもあるのです。
スイスが誇る公用語、伝統言語「ロマンシュ語」ってなに?
4つの公用語のうち、一番割合が少ないのがロマンシュ語です。
スイス国内でも、南東部のグラウビュンデン州のごく一部、アルプス北山麓部でしか使われていない少数言語です。
ロマンシュ語は、ローマ帝国の時代からアルプスの山間部に暮らしてきた山間民族の言語で、移民してきた人々の言葉であるドイツ語やフランス語に対して、原住民の言語であると言えます。
ロマンシュ語を日常的に使用している人のほとんどは高齢者で、スイス政府はこの言語の絶滅を危惧しています。
そのため、ロマンシュ語圏の小・中学校では授業をロマンシュ語を使って行うなど、言語の保存に努めています。
スイスでは英語は通じるの?
基本的には、観光地では問題なく英語が通じると考えて問題ありません。
ホテルやレストランでは、ヨーロッパの他の言語圏から旅行者がやってくることも多いため、英語でのコミュニケーションで困ることはないでしょう。
また、スイス国内でも他の言語圏の人と話す場合に、英語を使う人も増えているのだとか。
特に若年層は英語を日常的に使う人も増えているので、旅行中の基本的な会話であれば英語で十分事足りるでしょう。
とはいえ、せっかくの旅行ですし、挨拶やちょっとしたフレーズを覚えておくと、現地の方にも喜んでもらえるかも。
ということで、スイスで使う人の多いドイツ語・フランス語の様々なフレーズをご紹介します。
日常会話で使えるドイツ語・フランス語の数字の数え方
まずは、数字の数え方をご紹介します。
買い物の時や、時間を伝える時など、覚えておくと便利です!
ドイツ語 | フランス語 | |
---|---|---|
1 | eins(アインス) | un(アン) |
2 | zwei(ツヴァイ) | deux(ドゥ) |
3 | drei(ドライ) | trois(トろワ) |
4 | vier(フィーア) | quatre(カトる) |
5 | fünf(フンフ) | cinq(サンク) |
6 | sechs(ゼクス) | six(スィス) |
7 | seiben(ズィーベン) | sept(セット) |
8 | acht(アハト) | huit(ユイット) |
9 | neun(ノイン) | neuf(ヌフ) |
10 | zehn(ツェーン) | dix(ディス) |
100 | hundert(フンダート) | cent(ソン) |
1000 | tausend(タウゼント) | mille(ミーユ) |
10000 | zehntausend(ツェーンタウゼント) | dix-mille(ディミーユ) |
※フランス語の読み方で「る」など平仮名になっている箇所は、喉を鳴らすフランス語独特の発音です。
スイスの日常会話で使う便利な挨拶10選!
では、スイスの挨拶で覚えておきたいフレーズをみていきましょう。
スイスの挨拶で覚えておきたいフレーズには、以下のものがあります。
- おはよう
- こんにちは
- ありがとう
- ばいばい/さようなら
- OK
- 私は◯◯です。
- 私の名前は◯◯です。
- あなたの名前は何ですか?
- すいません
- ごめんなさい
続いて、スイスの挨拶で覚えておきたいフレーズを、それぞれドイツ語・フランス語について詳しくみていきます。
おはよう
独:Guten Morgen
(読み方 グーテン モルゲン)
仏:Bonjour
(読み方 ボンジューる)
こんにちは
独:Guten Tag
(読み方 グーテン ターク)
仏:Bonjour
(読み方 ボンジューる)
フランス語では、朝・昼共にBonjour!という挨拶が使われます。
ありがとう
独:Danke / Danke schön
(読み方 ダンケ/ダンケ シェーン)
Danke schönという方が、「ありがとうございます」と丁寧な表現になります。
仏:Merci / Merci beaucoup
(読み方 メるスィ/メるスィ ボクゥ)
こちらも、Merci beaucoupの方が丁寧な表現です。
さようなら
独:Auf Wiedersehen
(読み方 アウフ ウィダゼン)
直訳では、「また会う時まで」という意味になります。
仏:Au revoir
(読み方 オるヴォワ-る)
OK!
独:OK! / Alles Klar!
(読み方 オーケー/アレスクラー)
OKはドイツ語でも同じように言えば伝わります。
また、Alles Klar!は「了解!」というようなカジュアルな表現です。
仏:OK! / D'accord!
(読み方 オーケー/ダコーる)
フランス語でもOKの発音はほぼ同じです。
D'accord!はフランス語で「了解!」という意味で、友達同士の間などでよく使われる表現です。
私は◯◯です。
独:Ich heiße ◯◯.
(読み方 イッヒ ハイセ ◯◯)
仏:Je suis ◯◯.
(読み方 ジュ スィ ◯◯)
私の名前は◯◯です。
独:Mein Name ist ◯◯.
(読み方 マイン ネーム イスト ◯◯)
仏:Je m'apelle ◯◯.
(読み方 ジュ マペル ◯◯)
あなたの名前は何ですか?
独:Wie heißen Sie?
(読み方 ヴィー ハイセン ズィー?)
仏:Comment vous appelez-vous?
(読み方 コモン ヴザプレヴ?)
すいません
独:Entschuldigung
(読み方 エンシューディグン)
仏:Excecusez moi
(読み方 エクスキュゼ モワ)
どちらも、英語のExcuse meに当たる言葉です。
例えば人混みでぶつかってしまった時や、話しかけたい時など様々なシチュエーションで使える言葉なので、ぜひ覚えておきましょう。
ごめんなさい
独:Es tut mir leid
(読み方 エス トゥット ミア ライト)
仏:Je suis désolée
(読み方 ジュ スィ デゾれ)
ドイツ語・フランス語の日常会話でよく使う便利な言葉10選
では、スイスでの日常会話で覚えておきたいフレーズをみていきましょう。
スイスの日常会話で覚えておきたいフレーズには、以下のものがあります。
- ◯◯をください。
- これはいくらですか?
- お会計をしてください。
- クレジットカードは使えますか?
- 写真を撮ってもいいですか?
- ◯◯に行きたいです。
- 旅行の目的を尋ねられて/観光です。
- 滞在日数を尋ねられて/◯日です。
- おすすめの料理はなんですか?
- おいしいです!
続いて、スイスの日常会話で覚えておきたいフレーズを、それぞれ詳しくみていきます。
これをください。
独:Das, bitte!
(読み方 ダス ビッテ)
仏:Ça ,s'il vous plaît.
(読み方 サ シルヴプレ)
これはいくらですか?
独:Wie viel kostet das?
(読み方 ヴィー フィール コステット ダス?)
仏:C’est combien ?
(読み方 セ コンビヤン?)
お会計をしてください。
独:Die Rechnung, bitte.
(読み方 ディー レヒヌング ビッテ)
仏:L’addition, s’il vous plaît.
(読み方 ラディスィオン シルヴプレ)
クレジットカードは使えますか?
独:Kann ich mit der Kreditkarte bezahlen?
(読み方 カン イッヒ ミット クレディットカルテ ベツァーレン?)
仏:Je peux payer avec ma carte de crédit ?
(読み方 ジュ プペイェ アヴェク マカるテ ドゥクれディ?)
◯◯に行きたいです。
独:Ich möchte ◯◯ gehen.
(読み方 イッヒ メヒテ ◯◯ ゲーエン)
仏:Je voudrais aller à ◯◯.
(読み方 ジュ ヴドれ アレア ◯◯)
旅行の目的を尋ねられて/観光です。
独:Was ist der Zweck Ihrer Reise? / Eine Urlaudsreise.
(読み方 ヴァス イスト デア ツヴェック イーラーライゼ? / アイネ ウアラウプスライゼ)
仏:Pour quelles raisons voyagez-vous? / C’est pour le tourisme.
(読み方 プー ケル れゾン ヴォアイヤージェヴ? / セプール トューリズム)
滞在日数を尋ねられて/◯日です。
独:Wie lange bleiben Sie in Deutschland? / ◯ Tage.
(読み方 ヴィー ランゲ ブライベン ジー イン ドイチュラント? / ◯ ターゲ)
仏:Combien de jours allez-vous rester ici? / Je vais rester ◯ jours.
(読み方 ジュヴェ れステ ◯ ジューる)
おすすめの料理はなんですか?
独:Können Sie mir die Empfehlen?
(読み方 ケネン ジー ミア ディー エンプフェーレン?)
仏:Qu’est-ce que vous me conseillez ?
(読み方 ケスク ヴ ム コンセイエ?)
おいしいです!
独:Lecker!
(読み方 レッカー!)
仏:C'est bon!
(読み方 セボン!)
スイスの言語、公用語は?会話で使える挨拶やフレーズ、単語20選
スイスの公用語と、中でも多く使われているドイツ語・フランス語から便利なフレーズをご紹介しました。
完璧にその言語をマスターできなくても、挨拶など少しでも相手の言語を使うと、少し仲良くなれる気がしますよね。
旅行に行く際はぜひ、ご自分が訪れる場所では何語が多く使われているのか調べてみてください。