ハンガリーの言語、公用語は何?
ハンガリーの公用語は、人口の98%を占めるマジャル人が話すハンガリー語。ハンガリーにはドイツ系の少数民族も1%ほどいるため、ドイツ語を話す人も多くいます。
欧州連合 (EU)の加盟国であるハンガリーは、地理的にも経済的にもヨーロッパの国のひとつ。でも、言語についてはすこし事情が異なります。
英語やフランス語、ドイツ語は「インド・ヨーロッパ語族」ですが、ハンガリー語は日本語に近い「ウラル・アルタイ語族」に入ります。
ハンガリー語は、日本語と同じ膠着語(こうちゃくご)です。日本語は「てにをは」などの助詞で言葉をつなげていきますが、ハンガリー語も同じように文章を作っていきます。
文法が日本語に似ているので、ハンガリー語は日本人には比較的学びやすい言語と言われています。
ヨーロッパのハンガリーと東アジアの日本の間にはかなりの距離があるのに、ハンガリー語と日本語が似ているのはとても不思議です。これはハンガリー人の先祖も日本人の先祖も、中央アジア周辺に住んでいたからだと考えられています。
ハンガリー人の祖先は西に移動してヨーロッパに、日本人の祖先はアジアの果てにまでたどり着いたと言います。
言葉について知るだけでも歴史の長さを感じさせてくれますね。
ハンガリーでは英語は通じるの?
日本人には英語が苦手な人がたくさんいます。ハンガリー語と日本語は同じ仲間ですが、ハンガリーの人たちの英語はどうなのでしょうか?
ハンガリーは、ヨーロッパの国だけに日本よりも英語が通じます。でも、ある調査によると、EU諸国の中では英語を話せる人の割合が20%と低く、英語ができる人が一番少ないとの結果も。
英語力については、ハンガリーの人たちにも当然個人差があります。特に大きいのが世代間の差。
第二次大戦後、社会主義国のハンガリーでは、ソ連の影響が強かったため、外国語といえば英語よりもロシア語。英語は今ほど重要視されなかったので、お年寄りは英語が苦手。
逆に若い世代は、インターネットの影響や、英語教育の充実で、日常会話程度の英語ならふつうに話す人が増えています。
首都のブダペストでは、スーパーや銀行のほか、大きな商業施設ではだいたい英語が通じ、観光には問題ありません。一方、田舎に行けば行くほど英語が通じなくなるのは日本と同じのようです。
でも、ブダペストであっても、あまり通じないのが、警察署、役所、郵便局などの公共施設。地元のハンガリー人がお客さんの市場や露店でも、英語での会話が難しいかもしれません。
ハンガリーで英語が通じるスポット
レストラン
ハンガリーには、フランスやイタリアなど西ヨーロッパの観光客がたくさん訪れます。観光地や避暑地のレストランでは、ほぼすべてのレストランで英語が話せます。英語のメニューが用意されていることがほとんどですので、英語を読んで確認してから注文できます。
一方、おかみさんが料理も会計もひとりでやっているようなこじんまりとした店では、英語は通じないこともあります。もしかすると、英語のメニューもあるかもしれないので、一度たずねてみるのがよいでしょう。
毎日変わる「日替わりのおすすめ料理」などは、メニューの看板に書かれたハンガリー語だけのことも。どうしても日替わり料理を食べたい人は、ハンガリー語で料理名を覚えてから出かけるのがよいでしょう。
公共交通機関やタクシー
ブダペスト市内では、ブダペスト交通局が、地下鉄、バス、トラム(路面電車)など、様々な公共交通機関を運営しています。ほとんどの切符売場で英語が通じ、観光客でも買いやすくなっています。
ハンガリーの正規のタクシーは、車の屋根の「TAXI」表示と、黄色いナンバープレートが目印。正規のタクシーなら、だいたい安心して利用出来ます。
しかし、ドライバーによっては英語が通じるとは限りません。また、現地の事情にうとい観光客がタクシーを使うときは、流しのタクシーに乗ると法外な料金を請求されることもあります。
旅行者には「Taxify」などのアプリを使ってタクシーを呼ぶのがオススメ。「Taxify」は英語で操作ができ、料金もわかりやすく、ハンガリー語がわからない観光客には使い勝手とてもよいと評判です。
ホテルやショップ
ヨーロッパの中では英語を話す人が少ないといわれるハンガリー。でも、大丈夫。大都市のホテルであれば、英語はほぼ必ず通じます。
では、地方のホテルはどうでしょうか?少し心配ですが、地方であっても外国人の宿泊客は訪れるもの。程度の差はあっても、ホテルのフロントでは、鍵の受け渡しや会計などは英語で済ますことができるでしょう。
買物についてはどうかというと、スーパーなどの大きな商業施設には、たいていは英語ができる人がいます。探している商品や、価格に疑問があれば店員さんに問い合わせてみましよう。
ただし、小さなお店での買い物は要注意。市場で野菜や果物を買うときや、小さなパン屋では、店の人が英語を話せない高齢者なんてことも。
庶民的な食べものを食べ歩きしたい時には、ハンガリー語をわずかでも知っている方が便利ですね。
観光スポット
観光スポットで便利なのが「観光案内所」。ここに行けば英語が使えて、交通機関などアクセスついての情報を教えてくれるほか、無料の地図やパンフレットなどももらえます。
ブダペストの観光案内所は、空港のほか、デアーク広場、市民公園、王宮の丘など各観光スポットにもあるのでとても便利。わからないことは、ここで聞いておくとよいでしょう。
観光スポットの入場券売り場は、英語が通じます。美術館など場所によってはセキュリティチェックなどありますので、注意事項をよく聞いておきましょう。
旅行中は、道行く人に目的地までの行き方をたずねることもあります。ハンガリーの人は親切で、力になってくれますが、英語力がイマイチなことも。
違う方向や乗り場を案内されてしまうなんてこともあるので、目的地の方角や、乗り物の行く先の表示を自分なりに確認しておきたいものです。
ハンガリーの言語教育事情
2004年にEU(欧州連合)に加盟して以来、ハンガリーの外国語教育にもEUの考えが影響しています。
EUの言語政策は、すべての言語に同じ価値を認める「多言語主義」。さまざまな言語があることが文化的な豊かさにつながると考えています。
現在、EU内には24の公用語があり、EUの市民は、EU加盟国の公用語のうち母語以外の2つの言語が話せることが理想とされています。ハンガリーでも、EUの考えに基づいて、国民の外国語教育に力を入れています。
EUに加盟してから10年以上か過ぎたハンガリー。EU内のほかの国々との交流も普通になった今、ハンガリーの人たちも、国内で外国人と接する機会が増えたといいます。
ハンガリーでも若い人たちにとっては、将来の自分の生活や仕事が大切。自分のキャリアのために、英語などの外国語をより熱心に学ぶ人が増えています。
外国人観光客によって大きく支えられているハンガリーの経済。国際的な観光地として英語を話す人がますます増えていきそうです。
日常会話で使えるハンガリー語の数字の数え方
数字 | 読み |
---|---|
1 | egy [エッジ] |
2 | kettő [ケッテー] |
3 | három [ハーロム] |
4 | négy [ネージ] |
5 | öt [エト] |
6 | hat [ハト] |
7 | hét [ヘート] |
8 | nyolc [ニョルツ] |
9 | kilenc [キレンツ] |
10 | tíz [ティーズ] |
100 | száz [サーズ] |
1,000 | ezer [エゼル] |
10,000 | tízezer [ティーズエゼル] |
ハンガリー語の日常会話で使う便利な挨拶10選!
では、ハンガリー語の挨拶で覚えておきたいフレーズをみていきましょう。
ハンガリー語の挨拶で覚えておきたいフレーズには、以下のものがあります。
- おはようございます
- こんにちは
- (どうも)ありがとう
- さようなら
- はい/いいえ
- 私は◯◯です。
- あなたの名前は何ですか?
- すみません(お願いします)
- ごめんなさい
- わかりません
続いて、ハンガリー語の挨拶で覚えておきたいフレーズを、それぞれ詳しくみていきます。
おはようございます
Jó reggelt kívánok.
読み方:ヨー レゲッルト キーヴァーノク
本来は「私はあなたにとってよい朝であることを願う」の意味。親しい間柄ではJó reggelt.
こんにちは
Jó napot kívánok.
読み方:ヨー ナポット キーヴァーノク
朝の挨拶と同様、相手に「よい日を願う」のが本来の意味。親しい間柄ではJó napot.
(どうも)ありがとう
Köszönöm (szépen)
読み方:クスヌム (セーパン)
Köszönömは「ありがとう」の意味で、これに szépen 「美しく」をつけて、感謝を強調します。
さようなら
Viszontlátásra
読み方:ヴィソントラーターシュラ
直訳すると「再会のために」という意味になります。別れの時に再会を約束する意味が込められているのかもしれません。
はい/いいえ
Igen/Nem
読み方:イゲン/ネム
「はい」と「いいえ」は基本中の基本。必ず覚えておきましょう。
私は◯◯です。
Én 〇〇 vagyok
読み方:エン 〇〇 ヴァジョク
énは「私」。vagyokは 「~である」という意味の動詞vanの一人称現在。英語のbe動詞に相当。「私の名前は○○です」という意味にもなります。
あなたの名前は何ですか?
Hogy hívják?
読み方:ホジ ヒーヴヤーク
相手に名前を聞くときの丁寧な表現。hogyは「どのように」、hívjákは「呼ぶ」。
すいません(お願いします)
Legyen szíves!
読み方:レジェン シーヴェシュ
英語のpleaseにあたる言葉。文末につけて「どうぞ」などの意味になります。
ごめんなさい
Elnézést
読み方:エルネーゼーシュト
誰かに謝罪するときや、声をかけるときに使います。丁寧な言い方でややかたい表現です。友人など誰にでも使える表現はBocsánatです。
わかりません
Nem értem
読み方:ネム エールテム
értemが「わかる」の意味。これに否定の語nemをつけて、「わからない」になります。
ハンガリー語の日常会話でよく使う便利なフレーズ10選!
では、ハンガリー語の日常会話で覚えておきたいフレーズをみていきましょう。
ハンガリー語の日常会話で覚えておきたいフレーズには、以下のものがあります。
- これを下さい。
- これはいくらですか?
- お会計をしてください。
- クレジットカードは使えますか?
- 写真を撮ってもいいですか?
- ◯◯に行きたいです。
- 旅行の目的を尋ねられて/ 観光です。
- 滞在日数を尋ねられて/ 2日間です。
- すみません、助けていただけますか?
- ○○はどこにありますか?
続いて、ハンガリー語の日常会話で覚えておきたいフレーズを、それぞれ詳しくみていきます。
これをください。
Ezt kérem.
読み方:エスト ケーレム
「これ」の意味のez に、助詞「を」に相当するものを付けてezt「これを」になります。kérem は「私は求める」という意味。
買い物ならどこでも使える言葉です。英語の通じない露店などで役に立ちます。
これはいくらですか?
Ez mennyibe kerül?
読み方:エズ・メンニベ・ケルル?
Ezは「これ」の意味。Mennyibe と kerül はそれぞれ「いくらに」「なる」という意味になります。お店に入って気に入ったものを見つけたら、手に取るなどして店員さんに伝えましょう。
お会計をしてください。
kérem a számlát.
読み方:ケーレム ア サームラート
kérem は「私は求める」。Számlaは会計の伝票のこと。食事が終わり変えるときに店の人に頼みましょう。金額と頼んだもののチェックもお忘れなく。
クレジットカードは使えますか?
Lehet kártyával fizetni?
読み方:レヘト・カールチャーヴァル・フィゼトニ?
Lehetは「~することができる」、 kártyávalは「カード」、 fizetniは「支払う」。海外旅行は大量の現金を持ち歩くよりも、カード払いがやっぱり便利。ちなみに「現金」はkészpénzです。
写真を撮ってもいいですか?
Lehet itt fényképezni?
読み方:レヘト・イット・フェーニケズニ?
Ittは 「ここに、ここで」の意味。Fényképezniは「写真を撮る」の不定形。美術館などでは撮影禁止の場所もあるので、わからないときは係員に聞いてみましょう。
◯◯に行きたいです。
○○ szeretnék menni.
読み方:〇〇 セレトネーク メンニ
Szeretnékは「私は○○したい」、menniはmegy「行く」の不定形。Szeretnékは英語のwant to do, would like to doに相当します。日常会話に使えるのでぜひ覚えておきたい表現です。
旅行の目的を尋ねられて/観光(ビジネス)です。
Mi az utazásának a célja?
読み方:ミ アズ ウタザーシャーナク ア ツェーリャ
Városnézes(üzlet).
読み方:ヴァーロシュネーゼーシュ(ウズレット)
空港の入国審査でのやりとり。Városnézesは「観光です」、üzletは「ビジネスです」という答えになります。
滞在日数を尋ねられて/○○日です。
Hany napot tölt Magyarorszagon?
読み方:ハーニ ナポト トゥルト マジャルオルサーゴン?
○○ napot.
読み方:ナポト
入国審査で滞在日数を尋ねられます。
滞在予定の日数が「2日間」ならkettőt(ケッテー) napot、「5日間」ならöt (エト)napotなど、数字を入れ答えます。napotは「日」の意味。
メニューをください
Az etlapot kérem.
読み方:アズ エートラポト ケーレム
レストランに入り、メニューが欲しいときに店の人に言います。
Azは冠詞でetlapotは「メニュー」の意味。kérem「欲しい」はよく使うので覚えておくのがよいでしょう。
すみません。助けていただけますか?
Elnézést, tudna nekem segíteni?
読み方:エルネゼスト トゥードゥナ ネカム シェギテニ
Elnézéstは声をかけるときや謝るときに使う表現。
Tudnaは「○○できますか」と相手に何かを頼むときに使います。Nekemは「わたしに」、segitは「手伝う、助ける」。
○○はどこにありますか?
Merre van ○○?
読み方:メル ヴァン ○○
merre は「どこに」を表す疑問詞です。Vanは英語のbe動詞に相当し、Where is ○○?という意味になります。バス停ならMerre van a buszmegálló?
国際化する観光国を、ハンガリー語でもっと身近に!
EUに加盟してから国際化が進んでいるハンガリー。いろんな場所で英語が通じるようになり、観光地としての魅力も増しています。
ハンガリーをより深く楽しみたい人には、日本語に近いといわれるハンガリー語を少し覚えて使ってみるのがオススメ。ハンガリーの人たちがもっと身近に感じられることでしょう。