イタリアのチップ習慣
イタリアのチップ事情は、日本と少し似ています。渡すのは「義務」ではなく、良いサービスを受けた時のお礼や感謝の気持ちを伝えるものだからです。
基本は「お世話になった」、「良くしてもらった」と感じた時に渡せばいいのであり、決まった金額もありません。
しかし、日本では古くから旅館の中居さんやガイドさんなどに「心付け」としてチップを渡す習慣があります。少し無理を聞いてもらえた、気遣いがより感じられたなど、気持ちよく過ごすことができるからです。
イタリアでも同じこと。もしチップを渡すなら、どんなタイミングで、いくらぐらいが相場なのか。場面ごとに解説していきましょう。
イタリアのレストランでのチップ
イタリアのレストランでは、ほとんどの場合サービス料が含まれています。基本はチップを払う必要はありません。
チップが含まれているかどうかの見分け方
支払い伝票に「Servizio Incluso」と記載があれば含まれています。
事前に知りたい場合は、メニューの中に「Coperto(テーブル料)」という項目探します。それがチップ分に相当し、通常1~3ユーロが相場です。
チップが含まれてない時の相場は?
サービス料として請求金額に5%ほど上乗せし、端数が出ないように支払うのがマナー。カジュアルな店(トラットリアやピッツェリア)なら1~2ユーロ程度で充分です。
支払いがクレジットカードの場合、合計欄が空欄で渡されます。この時は合計欄の上に、チップ分の金額を自分で書き入れ、合計した金額を記入しましょう。
例えば請求が45.28ユーロなら、50.00とセントの単位も記入するのを忘れずに。
クレジットカード払いでも、チップ分は現金で渡すと喜ばれます。この場合はチップ記入欄は「0」でOK。
イタリアのホテルでのチップ
こちらもレストラン同様、あらかじめサービス料が含まれていることがほとんど。
ポーターに大きな荷物を運んでもらった、ベッドメイキングやルームサービスを受けた時に、「気持ちとして渡したい」場合の相場をお伝えします。
ポーターに大きな荷物を運んでもらった場合
荷物1個につき1ユーロが相場。ただし、3個~6個なら5ユーロなど、臨機応変に対応しましょう。
というのも、ユーロコインは1ユーロ、2ユーロまでで、紙幣は5ユーロ。細かいお金を混ぜて渡すのは、あまり印象が良くないからです。
運び終わったタイミングでさっと渡せるよう、ポケットなどに準備しておきましょう。
ルームサービスをお願いした場合
料理を届けてもらったタイミングで、1~5ユーロ程度渡します。
ハネムーンや記念日などで、花束やシャンパンなどを特別にお願いした場合は、少し上乗せして支払うとスマートですね。
ベッドメイキングのチップ注意点
いわゆる「まくら銭」を置くのは日本人ぐらいというほど、一般的ではありません。
窃盗扱いされる可能性があるので、持ち帰らないルールにしているホテルも。
どうしても渡したい場合は、テーブルの上に1ユーロと「Grazie!(ありがとう)」と書いたメモを添えて置くようにしましょう。
イタリアのタクシーへのチップ
タクシーは、端数をそのまま渡すのが一般的で、基本はなくても構いません。
ただし、観光などでチャーターした場合は、20ユーロぐらい渡すのがマナーです。
定額の空港送迎タクシーの場合
基本はスーツケース2個までの料金を含めた設定になっているので、渡さなくてOK。
もし、荷物が多い、サービスが良かったという場合は5~10ユーロぐらいを渡しましょう。
サービスがイマイチなのに勝手に請求されたら?
特にローマや南イタリアなどでは、勝手に端数を切り上げて請求するタクシーがいることも。
サービスが悪く、チップを払いたくないと思ったときは「Mi da resto?(ミ・ダ・レスト?=おつりをください)ときちんと伝えましょう。
イタリアのトイレでのチップ
日本とイタリアの大きな違いは、トイレの使用が有料であるというところでしょうか。
デパートやお店など、使用料は無料でも係員が常駐していて、チップ用のお皿などを置いていることもあります。
必ず支払うという決まりではありません。また、わざと2ユーロコインが置いてあることもありますが、20~50セント程度置けば十分です。
係員がいない無人トイレの場合、コインを入れて回転バーで入るタイプと、ドアを開閉して入るタイプがあります。
料金は50セント~1ユーロ程度です。
ただし、ドアを開閉して使用するタイプは避けた方が無難。壊れていて中に閉じ込められるトラブルも、イタリアではよくあるようです。
イタリアでチップがいらない場所
事前に「サービス料」あるいは、「テーブルチャージ料」が設定されている、格式あるホテルやレストランではまず不要です。
設定がない場合は、ウェイターやウエイトレスから「サービス料」が含まれていないことをアピールされるので、心配しなくても大丈夫。
また、定額で料金設定されている空港送迎タクシー、バールやパブで立ち飲みする場合も(テーブルに案内された場合は料金に含まれているので)払う必要はありません。
その他の場面であっても、イタリアやヨーロッパでは一般的にチップを払うことは「義務」ではないので、あまり気に病まないようにしましょう。
イタリアでチップを払う習慣やマナーについてのまとめ
イタリアを含め、ヨーロッパではチップを払う習慣はあまりありません。ただ、日本でもそうであるように、「心付け」として渡した方が気持ちよくサービスを受けられることは間違いありません。
レストランで良いサービスを受けた時、ホテルで重い荷物を運んでもらった時、タクシーで荷物を降ろしてもらった時などなど。「お世話になった、ありがとう」という感謝の気持ちを伝えることができます。
最期にチップを用意する、渡す際に注意しなければならないポイントを一つ。
イタリアではスリが大変多いです。現金は必要な分を、その都度手元におくようにします。
高額紙幣を絶対に持たずに、5~10ユーロぐらいをポケットなどに入れておき、さっと渡せるようにしておくといいでしょう。
人前ではなるべくお財布を開けないように、ご注意ください。