別名トゲトカゲ!モロクトカゲはどんな生き物?
モロクトカゲは、「砂漠の珍獣」とも呼ばれていて、体長は15cm程の恐竜のような姿をしています。
日本語の別名を「トゲトカゲ」、英語では「Thorny lizard(イバラのトカゲ)」といい、その名の通り全身に円錐状のトゲが並んでいます。
この不思議な姿から、古代の中東人の神である「モロク」を連想させるため、モロクトカゲと命名されました。
モロクは都市や国を守る神ですが、生贄を求める神です。
キリスト教では悪魔とされているためか、英語では「Thorny devil(イバラの悪魔)」とも呼ばれています。
このように独特な外見から恐ろしい生き物のように思えますが、実は見た目に反してとても大人しいです。
素手で触ってもトゲで刺したり、かみついたりする事もありません。
手のひらに乗せることもできます。
また、のしのしと体を左右に揺らす歩き方や、表情豊かな目には愛嬌があります。
こうした見た目に反したギャップも人気の一つです。
アメリカの「サバクツノトカゲ」にも姿や生態も似ていて、よく混合されますが、モロクトカゲはオーストラリアの固有種です。
ツノトカゲはイグアナ科ですが、モロクトカゲはアガマ科に属しています。
モロクトカゲはどこに住んでるの?
モロクトカゲはオーストラリアの西部から中部にかけての広い範囲に生息しています。
別名の「砂漠の珍獣」の通り、主に砂漠や乾燥した低木林に住んでいます。
特に、オーストラリアの中央部にあたる「ウルル」周辺によく見られます。
2017年にはNHKの人気生き物番組「ダーウィンが来た」でも、ウルルにロケに来て、その生態を紹介していました。
ウルル・カタジュタ国立公園内にあるエアーズロック付近にもいます。
周辺にあるダーウィンやアリススプリングスなどからの観光ツアーやキャンプも兼ねたウォッチングも人気です。
原住民の信仰の対象となっていたエアーズロックにいる、神の名を冠した不思議なトカゲということで、とても神秘的な気分になると評判です。
モロクトカゲの水分補給方法がすごい!研究で新しい技術が生まれるかも?
モロクトカゲの全身にはトゲの他に皮膚に細い溝があり、この溝を辿ると全て口へと繋がっています。
これは毛細管現象というものを利用した給水機能です。
お風呂などのタイル張りの床を、あみだくじのように少量の水がスルスルと進んでいく様子を見たことがあるでしょうか。
モロクトカゲの皮膚もこれと同じように、少し水に濡れただけでスルスルと口元へと流れていきます。
乾燥した土地に棲むモロクトカゲは、このようにして、わずかな霧や少ない雨から一滴も無駄にせずに水分を補給します。
また研究者たちは、このモロクトカゲの皮膚の構造を利用して、新しい技術を作ろうとしています。
自然界や生物の生態をまねて科学に適応する事を、バイオミミクリーと言います。
その第一人者であるジャニン・ベニュス氏も、モロクトカゲの皮膚に注目しました。
ベニュス氏はモロクトカゲの皮膚の構造を家の壁に利用する事を提唱しました。
そうする事でわずかな湿気を取り込んで家を冷やす事ができると考えられています。
またそれを発展させる事により、飲用水を作る事も可能だと言われています。
モロクトカゲの皮膚の研究によって、世界的な酷暑や水不足が解消される未来がやってくるでしょう。
モロクトカゲが外敵から身を守る方法は?
モロクトカゲの天敵は、体の大きな別のトカゲや鳥です。
大人しい性格なので反撃する事はありませんが、全身のトゲが天敵から身を守る手段の一つになっています。
また体の色は褐色のまだら模様です。
ちょうどデザート迷彩柄のようになっていて、砂漠の中で保護色になっています。
それから暑いときは明るい色に、寒いときは暗い色にとカメレオンのように体が変化し、さらに周囲に溶け込んで外敵から身を隠す事ができます。
このように擬態が得意なので、オーストラリアでは馴染みのある生き物ながら見かけることはあまりないと言われています。
それでも天敵に見つかって食べられそうになる事もあります。
そんな時には首の両側にある大きなコブのような突起物を使います。
この大きなコブを頭だと錯覚させる事で、もし食べられそうになったときにはコブを食べられているうちに身を隠します。
このコブは軟組織でできていて骨はなく、少しぐらいかじられても全く動じません。
また、呑み込みづらい形をしているので、丸呑みにされても逃げ出す事ができるとも言われています。
ちなみにモロクトカゲは攻撃されると目から血を飛ばして反撃すると言われる事もあります。
しかしこれはモロクトカゲによく似たサバクツノトカゲの生態です。
モロクトカゲの寿命はどれくらい?繁殖方法や食べ物は?
モロクトカゲの寿命は6年から20年と言われています。
天敵に襲われない環境下なら15年から20年生きる事ができます。
主食はアリで、アリの行列を見つけると立ち止まり、細い舌で吸い取るように捕食します。
繁殖期は9月から12月です。
オーストラリアでの春から夏にあたります。
メスの方がオスよりも大きく、繁殖期に入るとオスは少しだけ凶暴化します。
そしてオスにアプローチされたメスも、まるでオスの力量をはかるかのように臨戦態勢を取ります。
つがいとなると、砂に数十センチほどの深さの巣穴を掘ります。
そこに3個から十数個の卵を産み、砂をかけて隠し、子育てはしません。
孵化するまでは3ヶ月から4か月ほど掛かり、その途中で食べられてしまう事もあります。
けれども見事孵化する事ができれば、子供は自力で砂から出てきます。
モロクトカゲが見たい!日本の動物園で見れる?購入はできるの?
モロクトカゲがいる日本国内の動物園は、2019年1月時点では残念ながら存在しません。
しかし「ジャパンレプタイルズショー」という爬虫類特化のイベントで2011年に展示された事があります。
オーストラリアは自国の生き物の輸出に関してとても厳しいです。
研究目的でもないペットとしての輸入・販売・購入は不可能と言ってもいいでしょう。
また主食はアリなので、飼いやすいのではと安易に考えるのは危険です。
3ミリ前後の小さなアリを1日に1000匹から5000匹食べると言われ、とても普通の家庭で賄える量ではありません。
さらに本来は砂漠の生き物ですから、高温多湿の日本で飼育するためには、それなりの設備も必要な事は想像に難くありません。
モロクトカゲの個人的な飼育は諦めた方が良いでしょう。
モロクトカゲはウルル周辺の砂漠に!ウルルへの行き方は?
ウルルにはエアーズロック空港があり、ここが玄関口となります。
ただし、日本からの直行便はありません。
日本からモロクトカゲに会いに行くには一旦シドニーかケアンズに行き、そこから国内線に乗り換える必要があります。
ケアンズからは2時間、シドニーからは3時間かかります。
アリススプリングスからバスで行く手段もあります。
ただし、日本からアリススプリングスまでの直行便もありません。
しかしアリススプリングスから1泊から3泊かけてエアーズロックに行くバスツアーが多数あり、時間に余裕がある旅行にはおススメです。
アリススプリングスからレンタカーを借りる事はあまりおススメできません。
なぜなら片道5時間もかけて炎天下の砂漠地帯を走る事になるからです。
モロクトカゲが住むオーストラリアの基本情報
オーストラリアは南太平洋にあり、オーストラリア大陸とタスマニア島などの小さな島々を含めた国です。
他の大陸から遠く離れているためコアラやカンガルーなどの有袋類や、カモノハシなど、独自の進化を遂げた動植物の宝庫となっています。
オーストラリアってどんな国?
オーストラリアで使われている言語は英語で、通貨はドルとセントです。
ただし、アメリカのドルとセントとは別の通貨になります。
チップ文化はありませんが、特別なサービスをしてもらった時に払うと喜んでもらえます。
例えば重い荷物や大量の荷物を運んでもらった時や、もう一度このお店に来たいと思った時に支払うと良いでしょう。
気候は地域によって異なりますが、モロクトカゲがいる中部は砂漠気候です。
朝と夜の気温差が激しく、年間を通して乾燥していて日差しも強いので、サングラスと日焼け止めクリームは必需品となります。
また、治安も比較的良く住民も陽気で親切な人が多いので、町でトラブルに遭う事はあまりありません。
しかし置き引きは多く、忘れ物も戻って来ないので、貴重品は肌身離さないようにしましょう。
女性の場合、夜間の外出は控えた方が無難です。
オーストラリアへの行き方
日本からオーストラリアへの直行便は、シドニー、ゴールドコースト、ケアンズ、メルボルンがあり、他の都市へ行くには国内線に乗り換える必要があります。
ケアンズまでは約7時間45分、シドニーへは9時間かかり、時差は1時間程度です。
オーストラリアの名物・グルメ
オーストラリアの家庭料理の定番はミートパイです。
パイの中に肉がギッシリと入っていて、見た目は軽食のようですがボリュームがあります。
そこかしこにミートパイを売るお店があり、店によってさまざまなバリエーションがあります。
値段も5ドル程度なので、困った時にはミートパイを選ぶとよいでしょう。
それから日本でもお馴染みのオージービーフも、オーストラリアの名物です。
本場のオージービーフ・ステーキを味わってみましょう。
変わった食材にはカンガルーの肉(ルーミート)があります。
増えすぎて農作物を荒らすため駆除の対象となり、食用に加工されています。
モロクトカゲに会いに行こう!
雄大な大自然に囲まれたオーストラリアでは、珍しい生き物がたくさんいます。
モロクトカゲもその中の一つです。
カンガルーやコアラと違い、日本国内ではめったに見られません。
しかし待っているだけでなく、自ら探しに行くのも一つの手です。
オーストラリアは英語圏の先進国では一番日本に近いと言われ、旅行しやすい国の一つです。
モロクトカゲに会いに、オーストラリアに行ってみませんか?