ドイツビールとは?歴史は?
ドイツビールの特徴
約5,000種類のビールがドイツには存在するといわれていますが、様々な種類を楽しむのではなく、それぞれの地域で造られるビールを飲むことが当たり前です。地元のビールを長年飲み続けることが伝統的に重んじられています。
ビールの温度も日本とは異なります。
日本ではキンキンに冷えたビールとグラスで楽しむのが一般的ですが、ドイツでは味がしっかりとわかるくらいまでしか冷やしません。
グラスも冷えておらず、日本のビールに飲み慣れている人にとっては、ぬるいと感じてしまうかもしれません。
ドイツにはビール製造に関する法律がある
味がよく、高品質のビールを作ることを長年にわたり大切にしてきたドイツでは、「ビール純粋令」といものがあり、その歴史は1156年にまでさかのぼります。
ビール純粋令では、ビールの原料を大麦、ホップ、水、酵母に限定しています。
ドイツの人々のビールへ対するこだわりを垣間見ることのできる法令です。
純粋令に基づき作られたビールは、栄養価が高い上に、無添加のため安全かつ健康的な飲み物としてドイツで愛されています。
ドイツビールの飲み方は?
日本では「とりあえずビール!」という光景をよく目にしますが、ドイツでは、最初から最後までビールを飲み続けるのが当たり前です。
また、ドイツでは18歳から飲酒が合法的に認められているため、大学などでもビールを楽しむことができます。
また、ドイツではお店でビールを注文すると日本のように大瓶で出てくることはほとんどなく、グラスに注がれて出てくることがほとんどです。
「自分が飲みたいものを飲む」という姿勢が徹底されているといえます。
ドイツビールの種類:①製造方法の違い
下面発酵ビール
「下面発酵ビール」は、数ある酵母のなかでも「下面発酵酵母」を使用し、5℃前後の低温で長時間発酵し製造されているビールです。「ラガービール」という名でも知られています。
上面発酵ビール
「上面発酵ビール」は、「上面発酵酵母」を使用し、20℃程度の中で短期間で発酵させ製造されているビールです。「エールビール」という名でも知られています。
ドイツビールの種類:②色による違い
ヴァイスビール(白ビール)
ヴァイスビールとは、小麦(ヴァイツェン)の味を生かしたドイツの伝統的なビールで、バイエルン地方を中心に醸造されています。フルーティで柔らかい味わいが特徴です。
ビール特有の苦味がすこし苦手という方でも楽しめます。「ヴァイス」とはドイツ語で「白」を意味しており、その見た目が白濁したものが多いのも特徴です。
シュバルツビール(黒ビール)
「シュバルツ」はドイツ語で「黒」を意味しており、名前の通り特有の黒い色をしています。白ビールと同じく、バイエルン地方で生まれました。
味わいは、その見た目からは想像がつかないほどすっきりとしています。麦芽の香ばしさとキャラメルに近い香りを感じるのが特徴的です。
かの有名なドイツの文豪ゲーテも、シュバルツビールを好んで飲んでいたといわれています。
【ドイツビールの種類】下面発酵のドイツビールと作られてる地域
ピルスナー(ドイツ全域)
明るい黄金色をした見た目は、日本で普段飲まれるものにもっとも近いといわれています。喉ごしのよさと麦芽の苦味が特徴的なビールです。
ピルスナーは、ドイツ全域で作られており、国内のビールの売り上げの6割も占めています。ドイツビールの定番といっても過言ではありません。
ヘレス(ドイツ南方)
程よい苦味と麦芽の甘みをしっかりと感じることのできるため、ビール独特の苦味が苦手なビール初心者でも飲みやすいです。
ミュンヘン地方を中心に製造されています。そのため、地元ミュンヘンの人々にとっては、「ビールといえばヘレス!」というほど馴染み深いビールです。
ドイツ語で「淡い色」を意味するヘレスは、淡い黄金色をした見た目が特徴的です。
ミュンヘナー(ミュンヘン)
「ミュンヘナー」という名前の通り、ミュンヘンで作られる黒ビールです。19世紀当時は黒っぽい色をしていましたが、現在は明るい色が主流になってきています。
苦味がやわらかく、飲みやすさバツグンのピルスナーとも言われています。麦芽の香りをしっかりと感じることができるビールです。
ドゥンケル(ドイツ南部)
「濃い、暗い」という意味を表すドゥンケルは、おもに南ドイツで親しまれている黒ビールです。
ローストした麦芽が50%以上使用されており、麦芽の甘みやまるでビスケットのようなコクをしっかりと感じることができるのが特徴的です。また、これらがビール特有の苦味をおさえる役割を果たしており、苦味が得意でない人でも楽しめます。
シュヴァルツ(ドイツ全域)
「シュヴァルツ」がドイツ語で「黒」を意味する通り、濃い色をしたビールです。「ダークラガー」と表記されている場合もあります。
苦味とコクをしっかりと味わえるのが特徴です。苦味を楽しみたい方にはぴったりです。
ボック(ドイツ全域)
ドイツ北部のアインベックで誕生したのち南ドイツで発展し、今ではドイツ全域で親しまれています。ドイツ語で「強い」を意味するその名の通り、アルコール度数が6%以上の強いビールです。
いくつか種類があり、春先に製造される「マイボック」、アルコール度数7〜12%の「ドッペルボック」、リキュールのような味わいの「アイスボック」が挙げられます。モルトが多く使用されているため、ホップの独特な苦味はほとんどなく、甘みを強く感じることができます。
ラホオ(ドイツ南部、バイエルン)
「スモーク」を意味するラオホは、麦芽をスモークにして製造されるビールです。その歴史は中世までさかのぼり、伝統的ビールの1つといえます。
薫製ビール特有のスモーキーな味わいを楽しむことができ、クセの強いビールです。ビール初心者の人には少し刺激が強いでしょう。
【ドイツビールの種類】上面発酵のドイツビールと作られてる地域
ヴァイツェン(南ドイツ、バイエルン州)
ドイツ語で「小麦」を意味するヴァイツェンは、その名の通り小麦を50%以上使用しています。小麦の酸味と香りが強く、その風味は独特で、すっきりとした喉ごしを楽しむことができるビールです。
ちなみに、バイエルンではヴァイス(白)ビールと呼ばれています。
ベルリーナ・ヴァイセ(ベルリン)
小麦特有の香りのなかに酵母(乳酸菌)の香りをほのかに感じることができるのが特徴です。
ストレートで飲むと軽い酸味があります。そのため、ラズベリーなどのシロップと混ぜて飲むのが一般的です。シロップと混ざった見た目はとてもビールには見えず、カクテルかと思ってしまうほどです。
ケルシュ(ケルン)
ケルシュは、ケルン醸造所組合に属する醸造所のみが醸造することを許されている特別なビールです。明るい黄金色のホップがよく効いており、泡立ちは少なめですが、さわやかな喉ごしを楽しむことができます。
また、ケルシュは200mlの「シュタンゲ」と呼ばれる細長いビールグラスで飲むのが一般的です。専用グラスがあるのも特別感をより演出してくれます。
アルト(デュッセルドルフ)
ドイツ語で「古い」を意味するアルトは、他に比べ歴史ある醸造方法によって製造されています。琥珀(こはく)色から濃褐(のうかっしょく)色まで、色のバリエーションは様々ですが、総じて光沢のある濃い色をしているのが特徴的です。
麦芽のまろやかな甘みの中に、渋さと苦味がほどよく調和しており、すっきりとした味わいを楽しむことができます。また、アルトもケルシュ同様、200mlの細長いグラスで飲んだり、専用のグラスで楽しむことができます。
【ドイツビールの種類】おすすめ人気銘柄20選!
ドイツビールのおすすめ人気銘柄① ベックス(BECK'S)
ピルスナービールの中でも、世界で最も飲まれているものです。クセがなく、ドイツビール初心者の方も楽しめる銘柄です。
ドイツビールにはコクの強いものが多く存在しますが、その中でもベックスはすっきりとしたキレのある味わいが特徴です。どんな料理とも相性がよいとされており、飽きずにたくさん飲めてしまいます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄② イェーヴァーピルスナー(Jever Pilsner)
こちらもピルスナーの代表銘柄です。地元イエヴァーの非常に柔らかい軟水の地下水を使用しており、天然の鉄分と豊富な酸素により、独特の味わいが作り出されています。
力強く、爽やかなホップの苦味をすっきりとした喉ごしとともに楽しむことができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄③ ビットブルガー・プレミアム・ピルス(Bitburger Premium Pills)
こちらも地元ドイツの人びとに人気のピルスナーの一種です。醸造元のビットブルガー社は、高品質で知られ、高級レストランでもお馴染みとなっています。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄④ ダブ・オリジナル(Dab Dortmunder Original)
こちらもピルスナーの代表銘柄です。ドイツ国内で最もビール醸造量の多いドルトムントで誕生しました。
きめ細やかな泡とホップの強い香りが特徴で、軽い口当たりは日本人にも非常に飲みやすいものになっています。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑤ レーベンブロイ(Löwenbräu)
「ライオン醸造所」の意味をもつレーベンブロイは、ドイツの名門醸造所の一つで、なんと600年もの歴史をもつ老舗ブランドです。ヘレスの代表銘柄です。
美しい黄金色と混じり気のないコクが特徴的で、冷やしても常温でも楽しめるビールです。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑥ シュパーテン・ミュンヘナーヘル(Spaten Münchener Hell)
こちらもヘレスの代表銘柄です。600年以上の歴史をもつミュンヘン最初の醸造所、シューパーテン社が製造しています。
淡い黄金色をしており、まろやかな口当たりが特徴です。苦味も少なく、飲み心地抜群で、「ラガービールの原点」との呼び声も高いビールです。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑦ アウグスティーナーヘレス(Augustiner Helles)
ミュンヘナービールといえば、ミュンヘンの地元民は間違いなくこのビールを選びます。1328年に創立されたミュンヘン最古の醸造所で製造されており、地元民から愛される伝統的な銘柄といえます。
モルトの香りが強く、甘みのあるまろやかな口当たりが特徴です。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑧ エルディンガー・ドュンケル(Erdinger Dunkel)
ドュンケルの代表銘柄といえば、なんといってもエルディンガー・ドュンケルです。カラメルやナッツのような香りが特徴で、濃厚であるにもかかわらずとても飲みやすいビールです。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑨ ケストリッツァー シュヴァルツビア (Köstritzer Schwarzbier)
シュヴァルツの代表的な銘柄です。ローストされた麦の香りが口いっぱいに広がり、さっぱりとした苦味を楽しむことができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑩ モンヒスホーフ・シュヴァルツビール (Mönchshof Schwarzbier)
こちらもシュヴァルツの代表銘柄です。ドイツ北部に位置する工業都市クルムバッハにある、モンヒスホーフ醸造所が製造しており、ビール製造の歴史は600年以上にのぼります。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑪ シュレンケルラ・ラオホビア・メルツェン(Schlenkerla rauchbier marzen)
ラオホの代表的な銘柄です。ブナの木で麦芽を燻して製造され、独特な深い香りとしっかりとした苦味を味わうことができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑫ エルディンガーヴァイスビア(Erdinger Weissbier)
ヴァイスの代表銘柄です。きめ細かいクリーミーな泡と少し白濁した金色が特徴的で、苦味が少なく爽やかな味わいを堪能することができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑬ ヴェルテンブルガー ヘフェヴァイス ヘル(Weltenburger Hefe Weißbier hell)
こちらもヴァイスの代表銘柄です。世界一古い修道院醸造所である、ヴェルテンブルグ修道院醸造所で製造されています。
ヴァイスビールならではの小麦由来の華やかな香りと柔らかい風味が特徴です。ガス圧も高く爽快感を味わうことができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑭ フランツィスカーナー・ヴァイスビア(Franziskaner Weissbier)
こちらもヴァイスの一種でフランチェスカ社により製造されています。ミュンヘンで特に人気のヴァイスビールで、まるでバナナのような甘くフルーティな香りをしっかりと楽しむことができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑮ ベルリナー・キンドル・ヴァイセ(Berliner Kindl Weisse)
ベルリーナ・ヴァイセの代表銘柄です。現在ベルリンしないでベルリーナ・ヴァイセを製造している醸造所は僅か2つで、ベルリナー・キンドル・ヴァイセはそのうちの1つです。
アルコール度数が低く、カクテルのようにして飲むビールです。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑯ ドム・ケルシュ(Dom Kölsch)
ケルシュの代表銘柄です。ケルシュを名乗ることが許されている銘柄の中でも、特に人気のブランドです。
舌触りが柔らかく、フルーティーな香りを楽しむことができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑰ フリュー ケルシュ(Früh Kölsch)
こちらもケルシュの代表銘柄です。フルーティーで華やかな香りが特徴的です。
爽やかさがありながらも、ホップの風味と苦味を楽しむことができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑱ ガッフェル・ブラウアライ(Gaffel Brauerei)
こちらもケルシュの代表銘柄です。1302年創業の歴史ある醸造所ガッフェル・ブラウアライ社が製造しています。
ナッツのような味わいと後味が心地よく楽しめます。ほのかな苦味が特徴的で、全体的に引き締まった味わいです。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑲ ツム・ユーリゲ アルト・クラシック(Zum Uerige Alt Classic)
アルトの代表銘柄です。1862年創業のユーリゲ醸造所が生産しています。
赤みがかった銅色をしており、べっこう飴のような香りをしており、「ドイツで一番苦いビール」と言われていますが、渋みの中にもクリーンな味わいを感じることができます。
ドイツビールのおすすめ人気銘柄⑳ シューマッハー・アルト(Schumacher Alt)
こちらもアルトの代表銘柄です。デュッセルドルフで一番古いアルトビール醸造所である、シューマッハ社が製造しています。
保存料を一切使用せず、創業以来変わらない製法で造られており、地元ドイツの人々に愛されているビールです。
有名なドイツビール。製法で種類が違う?東京や通販でも買えるの?のまとめ
ひとことに「ドイツビール」と言ってもその種類は様々です。製造方法はもちろん、伝統とこだわりを大切にするメーカーが数多く存在します。
もはやドイツの人々にとって、大切な生活の一部となっているビール。ドイツを訪れた際には是非とも楽しみたいものです。
この記事が旅を彩るお役に立てれば幸いです。