リヒテンシュタインってどんな国?観光前に基本情報を知っておこう
リヒテンシュタインの地理や歴史
リヒテンシュタイン公国はスイスとオーストリアに挟まれた面積約160㎢(日本の瀬戸内海にあるオリーブの町小豆島くらいの大きさ)ヨーロッパにおける独立した小国家のひとつです。
アルペンリゾートに位置する海抜平均約500メートル地点にあり、夏は20~25℃くらいですが近年都市部では最高気温が30℃前後までになることもあり、冬は氷点下15℃位まで下がることもあります。
リヒテンシュタインという国は..
リヒテンシュタイン公爵はもともとオーストリアハプスブルク家の家臣として深い結びつきがありました。
ハプスブルク家は神聖ローマ帝国の皇帝を輩出する名門貴族でその中にはマリア・テレジア、その娘のマリーアントワネットも同家の一族です。
臣下のリヒテンシュタイン家は当時現在の首都であるファドゥーツと北部にあるシェーレンベルグの公領を与えられており、やがてこの二つの領地はマリア・テレジアの父カール6世によってリヒテンシュタイン家のもとに統一され18世紀にリヒテンシュタイン公国になりました。
1806年神聖ローマ帝国崩壊にときに国家としての主権を獲得し、現在は国際連合や世界貿易機関(WTO)、ヨーロッパとの自由貿易協定にも加盟し結びつきを深めています。
リヒテンシュタインの通貨や物価は?
リヒテンシュタインの通貨はスイスフラン(CHF)になりますが、ユーロ(EUR)もコインを含めて利用できます。
首都ファドゥーツでの土産店やカフェなどでの値札やメニューなどの多くにはユーロの表示が多くなりますが、実際にレートで換算した場合にはユーロを使用するよりスイスフランを使用したほうが得だったりする事が多くなりますので、スイスフランで支払いを行った方がおすすめです。
リヒテンシュタインの物価について..
リヒテンシュタインは通貨でスイスフランを導入していることもあり、物価水準もスイスに準じて首都のファドーツなど都市部では比較的高い傾向にあります。
物価の比較としまして500mlのミネラルウォーターで見てみますと日本では、スーパーなどで購入する場合1本¥70~¥100位に対しスーパーやキオスクなどで購入した場合1本CHF1.50~CHF2(CHF1=¥110の場合)¥165~¥220になります。
もともとの物価水準の他に日本の消費税にあたる付加価値税があり、一般的には8%になりますが食料品・書籍・医薬品には2.5%の付加価値税が含まれています。
その他にもサービス料等施設利用によって税率は異なりますが、この部分を除いた場合でも日本に比べ物価水準が高いことが分かります。
リヒテンシュタインはタックスヘイブンの国?
タックスヘイブン(租税回避地)と聞くとあまり良い言葉にきこえないのではないでしょうか。
リヒテンシュタインの法人税率は12.50%(最低支払額がCHF12,000-/日本では約30%)と極めて低くこういった状況から世界各国で登記している企業はリヒテンシュタインに住む国民約35,000人の倍を超える数といわれています。
この法人税収は国の歳入の40%を占めているわけですから国と海外企業双方の思惑はありますが、合法的であれば小国家として存続していくための手段となってくるわけです。
そしてこの恩恵はリヒテンシュタインでは、国民の所得税・相続税・贈与税などの直接税の免除にも繋がっております。
企業にとっては国に対して支払う法人税は安いに越したことありませんから自国の法人税率より安く課税してくれる場所があって、そこに会社を置くことができればとても良いわけです。
しかも、登記するだけで活動の実態は求められずその守秘義務が厳守されるとなればいう事ありません。
リヒテンシュタインを観光したい!行き方は?
リヒテンシュタインの首都であり玄関口でもあるファドゥーツへは日本からの場合、直行便がありませんので国際空港になっていて最寄りとなるのはスイスのチューリッヒになります。
鉄道を利用する場合には、スイスのサルガンスSargansやブックスBuchsまたオーストリアではフェルトキルヒFekdkircheそれぞれの駅からファドゥーツまで公共のバスを利用します。
(チューリッヒから鉄道を利用してサルガンスでバスに乗り換えた場合、乗り継ぎ時間にもよりますがファドゥーツまではおよそ2時間位になります)
切符はインターネット等で事前に購入することで当日購入するよりお得に購入できます。
また、鉄道パスなどを利用してお得に移動できる場合もありますので調べておくのも良いかと思います。
リヒテンシュタインの観光はビザを取る必要がある?
有効なパスポートを所持していて、リヒテンシュタインを含むシェンゲン協定域内を出国時にパスポートの有効期限が3か月以上ある場合にはビザを必要としなくても入国が認められます。
この規定は観光の他、商用・外交・公用においても同様であらゆる180日間の渡航期間のうちの90日以内の滞在であればビザの申請は不要です。
またビザなしで入国の際にも入国時に帰国の航空券の提示を求められる場合がありますのでそのようなときにも慌てないためにも、渡航中は常に携行しておくことが必要になります。
リヒテンシュタインの言語は?観光は英語で通じる?
都市部特に首都のファドゥーツなどでは観光で訪れる施設や公共のホテル・レストラン・カフェ等などではたいてい英語は通じます。
市内のみやげ屋なども英語はほぼ通じますが、英語を理解する世代は比較的若い世代に多く時折高齢世代の係りなどが切り盛りしている観光施設やみやげ屋などでは英語が通じない事もまれにあるようです。
リヒテンシュタインはドイツ系ゲルマン族の中でアレマン人が多くスイス東部やオーストリアにかけて広く分布しており公用語はドイツ語になります。広い範囲でドイツ語は話されていますが、独特の方言のような言い回しは別の土地で話すドイツ人でもわからないことが多いようです。
リヒテンシュタインの観光はどれくらいの時間が必要?
リヒテンシュタインの観光の中心となる首都ファドゥーツは半日もあれば徒歩で十分に見て回ることができます。
公爵家の居城や、公国の産業を担う切手博物館・広大なブドウ畑のある北側のミッテルブルク地区など見どころのそのほとんどは中心部にまとまっています。
リヒテンシュタインはアルプスを望む160㎢の変化に富んだ地形に首都のファドーツを中心に周辺には美しい町や村が点在しております。
その中で中心となるファドーツにその見どころが凝縮しております。
周辺の町や村を訪れる場合には公共交通として乗り合いバスで1時間以内という距離で移動ができますので、時刻表などは調べておくと安心です。
ファドゥーツ城や大聖堂!リヒテンシュタインのおすすめ観光地10選
では、リヒテンシュタインの観光地をみていきましょう。
リヒテンシュタインには以下の観光地があります
- ファドゥーツ城
- リヒテンシュタインセンター
- 聖フローリン大聖堂
- 国立博物館
- 切手博物館
- 現代美術館
- 宮廷醸造所
- 宝物館
- ミッテルドルフの散策
- 聖ヨゼフ パリッシュ教会(トリーゼンベルク)
続いて、リヒテンシュタインの観光地をそれぞれ詳しくみていきます。
ファドゥーツ城
13世紀に建てられた防御を兼ね備えたお城になります。18世紀にリヒテンシュタイン公爵家が購入し以来、20世紀に大規模な修復が行われましたが建設当時の面影を残しつつ現在も公爵家の居城として使用されています。
標高120メートルの丘の上に建ち、近くを流れるライン河の対岸からも良く見ることができます。
現在も使用されているため城内の見学や敷地内の立ち入りはできませんが、城へは歩いて上ることができ途中に見晴らしの良い場所からは城の外観やファドゥーツの町、ラインタール渓谷などが一望できます。
ルパン三世「カリオストロの城」のモデルとなった城であるという事は有名ですね。
ファドゥーツ城
住所:Burgenstrasse 2、9490 Vaduz Liechtenstein
電話番号: +423 238 12 00
入場料や利用料:現在は入場不可
リヒテンシュタインセンター
こここは観光案内所になっておりますのでまず、町の情報集めなどには欠かせない場所になります。
インフォメーションにはこの国を紹介した小冊子になっている各国の言語に対応したパンフレットなども無料でもらえます。
インフォメーションでは出入国スタンプ捺印サービスがあります。
リヒテンシュタインはシェンゲン加盟国で国境を接する国々も同様に加盟国ですので陸路での出入国の際、パスポートコントロールがありませんが訪問を記念するサービスとして有料(EUR3-/CHF3-どちらでも可)でパスポートに押してもらえます。
他にも絵葉書やお土産なども販売していますので町の情報だけでなく利用できるところは大いにありそうです。
リヒテンシュタインセンター(観光案内所)
住所:Städtle 39, 9490 Vaduz Liechtenstein
電話番号: +423 239 63 00
営業時間:9:00 -17:00
定休日: 無休
入場料や利用料:無料
聖フローリン大聖堂
ファドゥーツの大聖堂で1873年に9世紀の聖フローリヌスを守護聖人として奉納されました。
中世に建設されていた教会跡を基礎に1本の尖塔をもつネオゴシックで建てられました。
もともと小さな教区の教会として作られましたが、1997年当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ2世によって設立された使徒憲章によってファドゥーツは教区が設立され教会は大聖堂になりました。
第2次大戦時のドイツが台頭するナチズム化へと傾く時代に国家の舵取りをして対戦を通じて国の中立を維持した当時のフランツ・ヨゼフ2世公爵夫妻は大聖堂に埋葬されています。
聖フローリン大聖堂
住所:St.Florinsgasse 17, 9490 Vaduz Liechtenstein
電話番号: +423 232 36 16
定休日: 無休
入場料や利用料:無料
国立博物館
建物の外観は15世紀の重厚感のある白い建造物でリヒテンシュタインの時代を飾ってきた調度品の数々が展示されています。
この調度品の数々は同時に国の歴史を知ることができるところです。
42の展示室があって1階のフロアには先史時代からの文明の歴史・中世から近代にかけての時代の変遷がみられる常設展になっていて、2階のフロアには金貨をはじめ豪華なコレクションの数々が展示されています。
詳細な展示物の数々は多岐にわたる品々であるため、見どころのある博物館になっています。
またギフトショップにはリヒテンシュタインの稀少なワインの数々も販売しています。国外に余り出まわらないこの土地で作られたワインはお土産の一品には最適です。
国立博物館
住所:Peter-Kaiser-Platz 1, 9490 Vaduz
電話番号: +423 239 68 20
営業時間:10:00-17:00 火木金土日
10:00-20:00 水
定休日: 月
入場料や利用料:CHF10-(博物館+別館宝物室のコンビネーション)
*別館宝物室入館の際には切手博物館のカウンターで自動
ドア用のトークン(コイン)を入手する必要があります
:CHF7- (博物館のみ)
切手博物館
国の産業育成のために発展してきたのが切手産業になります。
町の路面にあるタイル張りにも切手が見られるように現在、世界的にも知られる程に成長を遂げてきたことを知る事ができる博物館です。
リヒテンシュタインセンターの隣にある建物で中に入ると100年以上築き上げてきた郵便の歴史や切手が製造されていく過程をフィルムで見たり、デザインの原画など高度な印刷技術によって生み出された美しい切手の数々を見ることができます。
また、100年以上築き上げきた当時の郵便にまつわる歴史も紹介されています。
ポストカードを出したり、記念切手として購入する事もできますので、お土産としてもおすすめです。
自分が生まれた年の切手を探して見てはいかがでしょうか。
切手博物館
住所:Stadtle 37,Vaduz 9490 Liechtenstein
電話番号: +423 239 68 46
営業時間: 10:00-12:00
13:00-17:00
定休日:無休*但しクリスマス期間、年末年始の特定日は除く
入場料や利用料:無料
現代美術館(クンストミュゼウム)
人類の心の奥にあるものの表現を様々な時代背景を通じてそのスタイルを貫いた芸術家たちのインスピレーションを絵画や彫刻などに投影された現代アートの数々を鑑賞できます。
2000年に開館し黒玄武岩で作られた落ち着いた外観のフォルムで、ファドーツ城が見下ろす場所に位置しています。
19世紀から現代までの作品がメインに絵画・彫刻、オブジェなど3つのフロアにわたって見ることができ作品は主に国民の有志からの寄贈によるものと現在常設展示されていない公爵家が所有していた19世紀以前の近代絵画・彫
刻などもここにありましたが現在は特別展の際に見られることになります。
鑑賞の後は、ミュージアムショップやカフェなどでゆったりと過ごしてみてはいかがでしょか。
現代美物館(クンストミュゼウム)
住所:Stadtle 32,Vaduz 9490 Liechtenstein
電話番号: +423 235 03 29
営業時間:10:00-17:00 火水金土日
10:00-20:00 木
定休日:月
入場料や利用料:CHF15-
宮廷醸造所(Hofkellerei)
リヒテンシュタインの侯爵夫人が経営する醸造所で公爵家のプライベートワイナリーで栽培・収穫し作られたこの土地でしか楽しめない稀少なワインを味わうことができます。
気に入ったワインがあれば購入することができますが、まず有料で試飲を楽しむことができますので、そこからじっくりと自分好みの一本を探すことができます。
リヒテンシュタインのワインは輸出されていませんのでこの土地で飲んでいくか限られた本数で可能な数を持ち帰るだけになります。
ブドウ畑なども見ることができ、またレストランもやっていますのでこの土地の料理を楽しみながらワインを楽しむ事もできそこからお土産の一品を探すこともできておすすめです。
宮廷醸造所(Hofkellerei)
住所:Feldstrasse 4,Vaduz 9490 Liechtenstein
電話番号: +423 232 10 18
営業時間:8:00-18:00 月―金
9:00-13:00 土
定休日:日
入場料や利用料:無料(*試飲は有料になります)
宝物館(Schatzkammer Museum)
公爵家が公式に使用する王冠のレプリカやジュエリーの展示は勿論、刀剣類など幅広い展示も見られます。
ジュエリーショーケースが並んだ通路の壁にはリヒテンシュタイン周辺を描いた風景画が飾られています。
ショーケースの珍しい展示物には、ロシアの宝石商で金細工師のファベルジュの豪華なイースターエッグのコレクションが展示されており、なかでも「リンゴの花が巻き付いた翡翠のイースターエッグ」は圧巻です。
またアポロで月から持ち帰った実物の月の欠片などもあり、幅広い展示物の数々をぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
宝物館(Schazkammer Museum)
住所:Städtle 43, 9490 Vaduz,
電話番号: +423 239 68 20
営業時間:10:00-17:00
定休日:無休*但しクリスマス期間、年末年始の特定日を除く
入場料や利用料:CHF8-
*宝物室入館の際には切手博物館のカウンターで自動 ドア用
のトークン(コイン)を入手する必要があります
ミッテルドルフの散策
ファドゥーツ中心部から北へミッテルドルフと呼ばれる通りが含まれるかつての旧市街地区と更に少し上ったフュルスト-フランツ通り界隈はオーバードルフとよばれるところで現在も古い建物が残っており建物のほとんどは文化財保護を受けております。
その中でも中世の階段切り妻づくりの ローテス・ハウス(赤い館)は撮影ポイントになります。
徒歩で散策できブドウ畑が一面に広がる緑とのコントラストがとても美しく
家屋の茶の屋根の色も加わってその遠方に見えるファドーツ城と更に天気が良い時にはその先ににアルプスの山々も見える絶景が見られます。
ミッテルドルフの散策
住所:Mitteldorf,Vaduz 9490 Liechtenstein
聖ヨゼフ パリッシュ教会(トリーゼンベルク)
ファドゥーツから南南東トリ―ゼンベルクの村の中心にある教会です。
鐘楼の先端にある玉ねぎ型が特徴で多色使いの石づくりで施された教会と鐘楼の外観は重厚感があります。
教会の内部の八角形の天井には幾何学的な模様、明かり取りの窓にはステンドグラスがはめ込まれています。
内部の装飾はシンプルで且つきめ細かい装飾が施された主祭壇や教会には珍しいシャンデリアの灯りが堂内を灯します。
ファドゥーツからも近く、バスで行くことができますので気軽に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
聖ヨセフ パリッシュ教会
住所:Landstrasse 1, 9497 Triesenberg
電話番号:+423 262 19 18
定休日: 無休
入場料や利用料:無料
リヒテンシュタインで観光したら名物の切手やワインをお土産に!
リヒテンシュタインといえばまず、切手産業ですが切手を買おうと博物館に入ればここまで築き上げられた郵便の歴史に驚かされます。
記念切手を購入する場合、博物館の向かいにある郵便局へ行かなくても切手博物館やリヒテンシュタインセンターで購入できます。
また、ブドウ栽培に適した土地の産業として発展してきたのがワイン醸造ですが、国土面積も限られ輸出されることがない稀少な生産であるため、お土産に何か一品を探したいところです。
赤ワインとなる品種が栽培のほとんどを占めますが、国内にあるスーパーやリヒテンシュタインセンターなどで探すことができます。
観光の後は訪問記念としてこだわりのある逸品を探してみてはいかがでしょうか。
リヒテンシュタインは食べ物もおいしい!観光のあとはグルメも楽しもう!
ドイツ系民族が大半を占めるリヒテンシュタインでは、ドイツやオーストリアの伝統的な肉料理や川魚をメイン に主食となるポテトやキャベツなどのアレンジしたものに加えアルペン独特のチーズ・ハム・ベーコン・玉ねぎなどを用いて作られた料理など、ボリューム感のある郷土料理が楽しめます。
前菜にはスープが一般的で、メインディッシュにはカスクノープル(卵を生地に混ぜて作った生パスタ)や、種類の多い小麦やライ麦などのパンなどもを食べることが多くなります。
ヘルシーな手軽なレシピで作られた料理もありますが、やはり地元で作られたワインはリヒテンシュタインの食事の引き立て役になる事間違いなしです。
リヒテンシュタインのおすすめの観光地!名物の切手やワイン、グルメを楽しむ!まとめ
リヒテンシュタインのおすすめとなる観光地は、首都のファドゥーツの中心部にまとまっていますのでゆっくりと時間をかけても半日でまわることができます。
町をひと通り歩いた後のショッピングには、小さな国で芽吹いた高度な印刷技術によって製造される切手や稀少で良質なワインは輸出されないためリヒテンシュタインの代表的なお土産の定番になります。
そして市内のレストランで郷土の家庭料理を食べて地元のワインとともにグルメを楽しむ。これがリヒテンシュタインを楽しむであって魅力です。