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2019/01/16

バチカン美術館の予約方法と必見の作品15選!おすすめ時期や時間帯も

イタリア・ローマ市内にある世界最小の国家「バチカン市国」。
国全体がユネスコ世界遺産の一つに加わっており、ローマへ旅行するなら欠かすことの出来ない場所です。

そして、バチカン市国で絶対見逃せないのが「バチカン美術館」。
あまりの広さと膨大な美術品数に、どこを見ていいか分からなくなるほどの規模です。
美術に詳しくない人でも見たことのある有名な美術品が集結したバチカン美術館で、見ておくべきおすすめの作品をご紹介します。

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バチカン美術館の基本情報

イタリア ローマの内部に位置する世界最小の独立国であるバチカン市国で、訪れる世界中の人が目的としているのがバチカン美術館です。
まずは、バチカン美術館の基本情報についておさらいしておきましょう。

バチカン美術館とは?

バチカン市国の歴史

バチカン美術館は、正式名称『教皇の記念物・博物館・ギャラリー』となっているように、歴代教皇が収集した膨大な数のコレクションを展示している、世界で最も大きな美術品コレクションの一つです。
その敷地面積は5万平米にも及び、全体で7㎞にも及ぶ展示場となっています。

バチカン美術館とは、1つの美術館を指す名称ではなく、複数の美術館・広間・ギャラリー・礼拝堂を含む美術館群のことを指します。
その各所に、世界的にも貴重で有名な美術品が展示されており、キリスト教美術だけではなく、古代ギリシャの異教美術やエジプト美術、各国民俗学芸術など、そのコレクションは多岐に渡ります。

美術品だけではなく、建物自体の芸術的価値も高く、館内の装飾や中庭なども総合して美術品と言える施設となっています。
中でもシスティーナ礼拝堂の天井一面に描かれた『創世記』や祭壇壁の『最後の審判』は、キリスト教典の物語を描き表した一大作品です。

全てを網羅しようとするなら一日かかると言われる規模のバチカン美術館。
ポイントを押さえて回ることで、短時間でも十分満喫することが出来るので、訪問の際は鑑賞したい作品を決めてから回ると良いでしょう。

【美術館の前に】バチカン市国とは?

バチカン市国

バチカン市国は、イタリア ローマ市の内部に包容されている国家面積0.44㎢の世界最小の独立国家。
ローマ教皇庁が統治しているカトリック教会と東方典礼カトリック教会の総本山となる宗教国家です。

一切の軍事力を保持していないことの象徴として、永世中立国スイスからの傭兵によって警察力が維持されています。
カラフルな制服を着用するスイス人衛兵(市国警備員)の姿は、城壁付近で見ることが出来、バチカン市国を訪れたら見ておきたいポイントの一つでもあります。

狭い領土の中を、『サン・ピエトロ大聖堂』『バチカン宮殿』『バチカン美術館』『サン・ピエトロ広場』などが占めていますが、外国一般人が立ち入ることが出来る範囲が決まっており、『サン・ピエトロ大聖堂』『バチカン美術館』『サン・ピエトロ広場』周辺以外は立ち入り禁止区域となっています。

バチカン市国の首都はどこ?世界最小国の歴史や国旗、日本との関係【首都の前に】世界最小の国、バチカン市国はどんな国? イタリア・ローマの中にある小さな都市国...

バチカン美術館の開館時間と休館日

日程 予定 計画

《開館時間》
【月~土】
9:00~18:00(最終入場 16:00)

【金曜日】
9:00~18:00(最終入場 16:00)
19:00~23:00(最終入場 21:30)
※4月末~10月末の期間のみ

【最終日曜日(無料入館日)】
9:00~14:00(最終入場 12:30)
※6月29日(イースター)、12月25日(クリスマス)、12月26日(聖ステファンの饗宴日)が重なる場合を除く

《休館日》
最終日曜日を除く日曜日
下記該当日程
(1月1日、2月11日、3月19日、4月22日、5月1日、6月29日、8月14日・15日、11月1日、12月25日・26日)

公式サイトから年間の営業カレンダーも確認できますので、詳しい日程はバチカン美術館公式サイト(英語)/ Opening days and times-All Timesをご覧ください。

バチカン美術館の入場料

パスポートお金

公式サイトを確認すると、様々な種類のチケットがあるので迷ってしまうかもしれませんが、【Full entry ticket】が一般チケットとなります。
オンラインでの事前予約の場合は、手数料として€4.00が加算された金額となります。

《Full entry ticket》
€17.00

《Reduced ticket》
€8.00
対象:6~18歳までの子ども、宗教従事者
   25歳未満の学生(国際学生証持参・提示)

バチカン美術館公式サイト(英語)/ Prices and Tickets

バチカン美術館を楽しむ所要時間

時計

バチカン美術館の館内は広大で、展示されている美術作品の数も相当な数です。
そのため、一つ一つをじっくり見ようと思うのなら、一日掛かると覚悟していかなければいけません。

観光時間がそこまで取れない場合は、ポイントを絞って鑑賞するのがいいでしょう。
この後ご紹介するおすすめの作品15点に絞ったとしても、館内を移動する時間もあるので、少なくても2時間程度の時間は確保しておいた方がいいでしょう。

ある程度の見所も押さえつつ、館内の隅々まで足を運びたいのであれば、半日かけて回るのがおすすめです。
オーディオガイドには日本語もあるので、せっかく回るのであれば、活用するのも良いでしょう。

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バチカン美術館に行くおすすめ時期や時間帯

バチカン美術館のオブジェ

バチカン美術館には、年間1,800名を超える来場者が訪れます。
混雑を避けるためにも、空いている時期や時間帯は押さえておきたいですよね。

狙い目は以下の時期と時間帯です。

  • オフシーズン(夏のバカンスシーズン以外の時期)
  • 平日
  • ランチタイム(13:00頃)or 夕方(16:00頃)

各国の夏のバカンスシーズンとなる7月~8月は特に混雑しますので、もし時期をずらせるのであれば避けた方がいいシーズンです。
シーズンを避けた平日は比較的空いているので狙い目です。

時間帯で言えば、午前中の方が混み合う傾向がありますので、ゆっくり見たい方は、ランチタイムの13時ごろや夕方16時頃を狙って行くのも良いでしょう。
ただ、閉館時間の30分前には展示場から出るようアナウンスされるので、遅い時間に行こうと思っている方は、バチカン美術館の最奥に位置している必見ポイントであるシスティーナ礼拝堂から先に見ておいた方がいいでしょう。

混雑を避けるためにおすすめなのは、やはりチケットの予約を事前にしておくことです。
チケット予約をして行けば、入場列でそこまで並ぶことなく入ることが出来ます。

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バチカン美術館の予約方法

バチカン美術館で、最も混雑するのが入場列です。
セキュリティチェックを受け、チケットを買うまで、長い時は3時間も並んだという例もあるほどです。

しかし、チケットを事前予約している場合、チケット予約者向けのレーンから優先的に入ることが出来、チケットを購入する列にも並ばずに済みます。
バチカン美術館を訪れる予定があるなら、事前予約をして行った方がいいでしょう。

バチカン美術館の予約方法。公式サイトは英語だけ?日本語ツアーは?【予約しないと入れない】バチカン美術館ってどんなところ? ユネスコ世界遺産に登録されているバ...

【英語】バチカン美術館公式サイトから予約する方法

ネットで通販

バチカン美術館のチケット予約は、オンラインからをすることができます。
チケット予約用の専用サイトがありますので、リンクを利用して予約をしてみて下さい。
バチカン美術館 オンラインチケットオフィス(英語)

英語での購入ページになりますので、心配に思う方もいるかと思いますが、そこまで難しい手順はありません。
オンライン予約の流れは以下のような流れです。

①チケットの種類を選ぶ
 → ADMISSION TICKETS(入場チケット)を選択
②チケット(ツアー)の種別を選ぶ
 →VATICAN MUSEUMS AND SISTINE CHAPELを選択
③希望期間と人数を選ぶ
④カレンダーで希望日時を選ぶ
⑤チケットを選ぶ
 →Full price ticket:一般チケット
⑥個人情報を入力
⑦支払い情報を入力

以上の手順を進めば購入完了です。
登録したメールに、チケット引換用のPDFバウチャー(予約証明)が添付されて送られますので、印刷するかデータ保存して、現地で提示できるように準備しておきましょう。

実際の予約方法について、こちらの記事でより詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

【日本語】チケット販売サイトから予約する方法

ネット予約

英語での予約が不安という方には、日本語対応のチケット販売サイトもあります。
いくつかのサイトがありますが、おすすめなのはVoyaginから予約できるバチカン美術館・システィーナ礼拝堂 優先入場チケットです。

公式サイトで予約するのと、さほど変わらない金額で安心して予約できるので、英語サイトは不安という方は利用してみて下さい。

また、日本語対応のツアーも各社から出ています。
アテンダントによるガイドを聞きながら館内を回ることが出来るので、ツアー料金を払う価値ありです。

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バチカン美術館への行き方

地図 探す

バチカン美術館へは、様々な方法でアクセスしやすくなっています。
選択肢は次の通りです。

  • メトロ
  • バス
  • トラム
  • タクシー

メトロ

メトロの最寄り駅はA線のOttaviano(オッタビアーノ)駅Cipro(チプロ)駅
徒歩10分ほどの距離があり、ややオッタビアーノ駅の方が近くなっています。

 

バス

バチカン美術館にアクセスしやすいバス番号は以下の通りです。

49番
『Musei Vaticani』 で下車
★バチカン美術館入り口前に停まる

32番・81番・982番
『Piazza del Risorgimento』で下車
★停車駅のリソルジメント広場から美術館までは徒歩5分ほど

492番・990番
『Via Leone IV & Via degli Scipioni』で下車
★バチカン美術館まで徒歩3分ほど

トラム

バチカン美術館やバチカン市国にアクセスしやすいトラム(路面電車)と停車駅はこちらです。

19番
『Risorgimento - San Pietro』で下車

タクシー

交通手段としては一番シンプルなのがタクシーを使う方法です。
目的地であるバチカン美術館を意味する『Musei Vaticani(ムゼイ バティカーニ:伊)』や『Vatican Museums(バチカン ミュージアム:英)』と運転手に告げるだけで美術館の入り口前に停めてくれます。

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バチカン美術館での注意点3選!

バチカン美術館に訪れるなら、気を付けておかなければいけない注意点が3点あります。
現地で困らないためにも、事前に押さえておきましょう。

注意点①服装に気をつける

カジュアル ファッション

バチカン美術館は、ただの美術館ではなく教会や聖堂と同じ宗教施設のくくりとなっています。
そのため、服装にも厳しく、男女それぞれに対して禁止している服装が決められています。

規定にそぐわない場合、入り口でガードマンに入館拒否される場合もあります。
現地に着いてから戸惑わないように、今からチェックしておきましょう。

男女問わず、露出に対しての規定が厳しくなっていますので、夏場でも肌が見える服装は避けましょう。

男性

男性の場合、タンクトップやハーフパンツなど肩・膝が出る服装はNGです。
また、靴もサンダルやクロックスなど爪先が見えるような靴はやめておいた方がいいでしょう。

露出がなければ、GパンやTシャツ、スニーカーなどのカジュアルな服装でも大丈夫です。

女性

女性の場合も同様、キャミソールやショートパンツ・ミニスカートがNGなのはもちろんですが、オフショルダーやへそ出しなどの服装もNGです。
また、ストラップが付いていないミュールやつっかけタイプのローファー・サンダルなどの靴も、避けた方がいいでしょう。

夏場でも大判のストールやパレオなどを持っていれば、露出を隠すのにも便利ですので、一つ持参しておくのをおすすめします。

注意点②写真撮影が禁止の箇所がある

禁止 ストップ

バチカン美術館には、撮影禁止の1箇所だけあります。
それが、システィーナ礼拝堂です。

バチカン美術館で最も立ち寄るべき場所であるシスティーナ礼拝堂は、写真撮影だけではなく私語も厳禁になっています。
観覧する際は、厳粛な気持ちで静かに見ましょう。

バチカン美術館では、ほどんどの場所で写真撮影をすることができます。
ただし、館内では美術品の状態保存のため、フラッシュは禁止となっていますのでお気を付けて。

注意点③ローマ・パスは使えない

ローマ市内の様々な観光施設がお得に楽しめるローマ・パスですが、バチカン美術館は該当していません。
忘れてしまいがちですが、ローマの中にあるとはいえ、バチカン美術館があるのは、既に別の国バチカン市国です。

そう考えるとローマの観光施設に使えるローマ・パスが使えないのも納得ですね。

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バチカン美術館で見るべきおすすめの作品15選

それでは、お待ちかねのバチカン美術館で見るべきおすすめ作品15選をご紹介していきます。
膨大な数の美術品を所蔵するバチカン美術館で、これらさえ押さえておけば一通り有名どころを押さえることができます。

まずは見ておくべき作品を押さえ、時間に余裕があれば他の美術品にも目を向けるといいでしょう。

バチカン美術館のおすすめ作品①:ピナコテカ(絵画館)『キリストの変容』ラファエロ作

中世~ルネサンス期に制作された作品が展示されているピナコテカ(絵画館)の第8室にある作品ラファエロ作の『キリストの変容』
キリストが天からの声によって自らが神の子であると告げられたシーンを描いています。

この時代の主流である、画面を上下に分割してそれぞれ違うシーンを描く手法を取られ、上部が告知の瞬間、下部はキリストが悪魔に憑りつかれた少年を救う場面となっています。
ラファエロの光と影、色彩を豊かに描き出す特徴がよく分かる、感動の作品です。

ラファエロの遺作となった『キリストの変容』と比較して見ていただきたいのが、この作品の両隣にある作品です。
『聖母の戴冠』と『フォリーニョの聖母』は、ラファエロ作品の中でも初期のもので、その作風の違いが見て取れて面白いですよ。

バチカン美術館のおすすめ作品②:ピナコテカ(絵画館)『聖ヒエロニムス』レオナルド・ダ・ヴィンチ作

ピナコテカ(絵画館)の第9室にある、レオナル・ド・ダヴィンチ作の『聖ヒエロニムス』は、ダ・ヴィンチの未完作品として有名な作品です。
荒野で修業するヒエロニムスの苦行に耐える表情や、浮かび上がるやせ細った体の筋など、完成している上半身からだけでもまざまざと感じることが出来ます。

聖ヒエロニムスを見守る神の象徴として描かれているライオン、寒々とした荒野の風景など、未完ながら迫ってくるものがある迫力がある作品です。

バチカン美術館のおすすめ作品③:ピオ・クレメンティーノ美術館『八角形の中庭』シモネッティ作

エジプト美術館を抜けた先にあるピオ・クレメンティーノ美術館には、古代ギリシャ・ローマの彫刻が中心に展示されています。

まず初めに見ていたが来たいのが、シモネッティ設計の『八角形の中庭』です。
『ベルヴェデーレの中庭』とも呼ばれるこちらは、中庭を囲む形で廊下があり、多くの彫刻が展示されています。

中庭という空間を一つの芸術品として見ることが出来ます。

バチカン美術館のおすすめ作品④:『ラオコーン像』作者不明

この『八角形の中庭』に展示されている彫刻で、見ておくべき一つが『ラオコーン像』です。
作者や制作年が不明の古代ギリシャ彫刻ですが、その後多くの芸術家たちに影響を与えた作品になっています。

この彫刻は、トロイア戦争時、女神アテナの怒りを買った神官ラオコーンとその2人の息子がアテナに遣わされた海蛇によって絞殺されるシーンを表しています。
苦悶の表情を浮かべるラオコーンの顔つきや、筋肉の細かい描写がなされた肉体美は、その後、ミケランジェロなどの彫刻にも影響を与えています。

バチカン美術館のおすすめ作品⑤:ミューズの間 天井画 トンマーゾ・コンカ作

ミューズの間またはムーサたちの間と言われる場所で見るべきなのは、トンマーゾ・コンカ作の天井画です。
この部屋の名前の由来ともなっている天井画には、アポロンとミューズ(女神たち)が描かれ、荘厳な神話の世界が表現されています。

バチカン美術館のおすすめ作品⑥:円形の間

そして、ミューズの間に続く第2室の円形の間は、18世紀シモネッティによって作成された部屋も見どころ。
部屋を取り囲む彫刻や、中央に鎮座する赤大理石の一枚岩で作られた大きな杯、そして床にはギリシャ時代のモザイク画が描かれ、部屋全体で美術品となっている場所です。

バチカン美術館のおすすめ作品⑦:ギリシャ十字の間

部屋の形自体が十字になっているギリシャ十字の間には、コンスタンティヌス帝の娘コンスタンティアとコンスタンティヌス帝の母ヘレナの石棺が展示されています。
どちらも貴重な赤大理石製のもので、側面に施された繊細な彫刻に驚かされます。

また、床を飾るギリシャ時代のモザイクは、アテネの胸像を色鮮やかに描いています。

バチカン美術館のおすすめ作品⑧:地図のギャラリー

16世紀に作られたイタリア各地が描かれている地図を展示した地図のギャラリー
豪華絢爛な展示に圧巻すること間違いなし、立ち止まって記念写真を取る方も多い場所です。

120mのギャラリー両サイドに並ぶ様々な地方の地図40点は、16世紀にグレゴリウス13世が描かせたフレスコ画。
当時、このような精巧な地図を作ることが出来ていたという統治状況を知ることができる貴重なコレクションです。

また、天井には所狭しと絵画や彫刻で埋め尽くされていて、一つ一つが貴重な作品となっています。
部屋全体の装飾も豪華に施され、窓枠の端や出入り口部分の細かな装飾も見ごたえがあります。

バチカン美術館のおすすめ作品⑨:コンスタンティヌスの間(ラファエロの間 第1室)

4室で形成されるラファエロの間の中で最も大きな部屋となっているコンスタンティヌスの間は、部屋の4面を使ってコンスタンティヌス帝の生涯を表しています。
それぞれの面に『十字架の出現』『ミルウィウス橋の戦い』『コンスタンティヌス帝の寄進状』『コンスタンティヌス帝の洗礼』が描かれています。

これらの作品は、ラファエロの没後に彼の弟子たちであるジュリオ・ロマーノ、ペンニ、デル・コッレによって完成されました。

コンスタンティヌス帝の軌跡をたどる最初の作品が『十字架の出現』
コンスタンティヌス帝と対立していたマクセンティウス帝を破るため進軍していた際、頭上に勝利へ導く十字架が現れた様子を描いています。

それに続く『ミルウィウス橋の戦い』では、西暦312年10月28日に起こった戦いでの様子を描いています。
両軍がぶつかり合う生々しい戦いの様子を壁一面の迫力ある画となっています。

そして、『コンスタンティヌス帝の寄進状』は「ローマ皇帝コンスタンティヌス帝に領地を寄進する」という内容を記した寄進状を手渡す場面を表しています。
この場面で描かれた、後に偽造文書であると判明した寄進状は実在しており、歴史的な事実を知ることが出来る貴重な場面でもあります。

そして最後の絵、『コンスタンティヌス帝の洗礼』は、臨終の瞬間にあるコンスタンティヌス帝の姿を描いた作品です。
絶大な勢力を誇っていたコンスタンティヌス帝も死には抗えない、という真意が隠されており、人生の盛衰を完結させる意味を持つ作品となっています。

バチカン美術館のおすすめ作品⑩:ヘリオドロスの間(ラファエロの間 第2室)

コンスタンティヌスの間第2室であるヘリオドロスの間は、神やキリストが教会に与えた保護を主題にした4つの作品で形成されています。
時間が許す限り一つ一つ見ていただきたいのですが、時間がない場合は部屋全体を一つの美術作品として観覧するのもおすすめです。

『ヘリオドロスの神殿からの解放』は、この部屋の名称のもととなっラファエロ作の作品。
『マカバイ記Ⅱ』第3章21~28節に記されたヘリオドロスの物語を描いており、財宝を奪うためにエルサレム神殿に訪れたヘリオドロスとそれを打ち負かす天使たちの姿は、今にも動き出しそうな躍動感があります。

『ボルセーナのミサ』は、ローマ近くの地ボルセーナで行われたミサで起こった奇跡の瞬間を表した作品。
「パンとワインはキリストの肉と血」であるというキリスト教義に疑いを持っていたボヘミアの僧侶が、ボルセーナのミサを行っていた時、パンから血が流れ出たという逸話を表しています。

『大教皇レオとアッティラの会談』は、レオ1世とフン族のアッティラ王との停戦交渉の様子を描いています。

そして最後の1枚『聖ペテロの放免』では、『新約聖書 使徒言行録』第12章に記された逸話について描かれています。
牢の中に幽閉された聖ペテロと後光で光り輝く天使の姿が印象的に描かれていますが、これはローマ教皇の権威が人の枠を逸脱することを暗喩した作品となっています。

バチカン美術館のおすすめ作品⑪:署名の間(ラファエロの間 第3室)

コンスタンティヌスの間第3室である署名の間はラファエロが最初に手掛けた部屋であると知られています。
この間は、ユリウス2世の書庫兼学習用の部屋で、元々は「使徒座署名院最高裁判所」となっていたことから名称付けられています。

こちらの部屋にも、4面の壁面にそれぞれ1つずつ計4つの作品が展示されており、キリスト教の知恵とギリシャ哲学の学問との調和をテーマに制作されています。
当時、宗教が単なる信仰ではなく、学問としての地位を確立していたという歴史的な背景を知ることが出来る作品群と言えるでしょう。

また、天井に描かれている、アダムとイブの逸話を描いた作品も見ごたえがありますので、壁面だけでなく頭上にも目を向けてみて下さい。

まず1つ目の作品『聖体の論議』は、ラファエロによって最初に描かれた作品です。
天上界の聖人・地上の神学者・聖霊の象徴である鳩を描くことで三位一体を表し、天上界と地上に広がる教会の権威を知らしめています。

『アテナイの学堂』は、2番目に描かれたラファエロの作品として最も有名なフレスコ画です。
プラトンやアリストテレスなど、歴史上著名な哲学者たちが集まり、議論しあっている様子を描いています。

1人1人の表情やしぐさ、動作が細かく描かれ、まるでその場に自分もいるようなリアリティーを感じることが出来ます。
建物の遠近感や光の使い方は後の美術に多大な影響を与えたラファエロの代表作ですので、絶対に見逃さないように

ラファエロが3番目に取り掛かった『パルナッソス山』は、アポロンとミューズ(女神たち)が住むパルナッソス山での姿を描いた作品。
音楽や詩作に興じる女神たちの姿と対照的に、詩人や哲学者が議論に熱を投じている姿が描かれ、当時の様子を感じることが出来ます。

そして最後の壁には、ラファエロの弟子たちによって描かれた2つの絵画と『枢要徳』と題されたドア上の半円部分(ルネット)に描かれた作品があります。
これは、3人の女性をそれぞれ「忍耐(または勇気)」「慎重さ」「自制」の象徴として描き出しています。

バチカン美術館のおすすめ作品⑫:ボルゴ火災の間(ラファエロの間 第4室)

そして、ラファエロの間第4室であるボルゴ火災の間
バチカン美術館の順路ではラファエロの間4つの内、最初と最後に訪れることになる部屋です。
この部屋に描かれた4つの作品の一つ『ボルゴの火災』から名前を取った間となっています。

絵画の題材は、レオ3世とレオ4世の生涯と権威となっていて、4作品のうち3作品はラファエロの弟子によって、『ボルゴの火災』は構成のみラファエロが関与した作品として弟子によって完成されました。

『レオ3世の宣誓』は、西暦800年12月23日に行われた宣誓の場面を描いたものです。
前教皇ハドリアヌス1世の甥らによってかけられた嫌疑に対する無実をレオ3世が宣誓している様子を描いています。

『レオ3世のカール大帝への授冠』で描かれているのは『レオ3世の宣誓』と同年のクリスマスに行われた、レオ3世がカール大帝へ冠を授ける場面です。

そして、部屋の名前のもととなった『ボルゴの火災』は、「教皇の書」に記されているレオ4世による奇跡の場面を描いています。
ローマのボルゴで起こった火災を、レオ4世の祈り(祝福)によって鎮めたという逸話を描いています。

『オスティアの戦い』では、レオ4世がイスラム教徒であるサラセン人を打ち破ったオスティアの海戦を描いています。

バチカン美術館のおすすめ作品⑬:システィーナ礼拝堂 天井画 ミケランジェロ作

バチカン美術館の最奥にあるシスティーナ礼拝堂の天井を埋め尽くす圧巻のフレスコ画は、旧約聖書 創世記の9つの場面を描いた天井画
天井画として最も有名な『アダムの創造』を始め、9つの場面を順に描いています。

主祭壇側から、『光と闇の分離』『太陽、月、植物の創造』『大地と水の分離』『アダムの創造』『エヴァ(イブ)の創造』『原罪と楽園追放』『ノアの燔祭』『大洪水』『ノアの泥酔』の順で並んでいます。
そして、それを取り囲むように、左右それぞれ5か所(計10か所)と主祭壇側と反対側の2か所、12か所のには、旧約聖書に登場する12名の預言者・巫女の姿が描かれています。

『アダムの創造』は、その指先を合わせる形が映画「E.T.」のモデルとなったことでも有名ですので、じっくり見てみて下さい。

バチカン美術館のおすすめ作品⑭:システィーナ礼拝堂『最後の審判』ミケランジェロ作

ミケランジェロの最高傑作として、世界中の来場者がこれを目当てにくる一大作品『最後の審判』
主祭壇背後の壁全面に描かれ、その大きさは1370㎝×1200㎝という巨大な作品です。
再臨したキリストを中央に、400人以上の人物が描かれており、死者を生前の行いによって天国と地獄に振り分けられている裁きの様子を表しています。

左側は天国へ昇天していく様子が、右側には地獄へ落ちていく様子が描かれ、その一人一人の描写の細かさは圧巻です。
見学者の中には、オペラグラスを持参して来る人もいるほど、細かいところまでじっくりと時間をかけて見たくなる作品です。

バチカン美術館のおすすめ作品⑮:二重螺旋階段

最後にご紹介するのは、美術作品として展示しているものではありません。
バチカン美術館の展示を見終わり、出口に向かう際に現れる二重螺旋階段は、一見の価値あり。

その名の通り、螺旋階段が2重に組み合わさった不思議な階段。
上り用の階段と下り用の階段の2つが交互に組み合っていて、一つの螺旋階段のように見えるんです。

もともとは、行きと帰りの人がぶつからないようにと作られた階段ですが、現在では入り口が別に設けられているため、出口に向かう際のみお目にかかることが出来ます。

<下に続く>

バチカン美術館の予約方法と必見の作品15選!おすすめ時期や時間帯ものまとめ

バチカン 美術館

世界中から1800万人もの来場者が訪れるバチカン美術館。
見どころが多すぎて、どこを重点的に回ればいいのか分からなくなる規模ですので、事前に要点を押さえて効率的に回りたいですよね。

今回ご紹介した、バチカン美術館でおすすめする作品を中心に、プランを練ってバチカン美術館を制覇してみましょう。

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