【旅行の前に】ソマリアってどんな国?
ソマリアの歴史や地理
ソマリア連邦共和国、通称ソマリアはエチオピア・ケニアと国境を接し、インド洋とアデン湾に面する場所に位置しています。インド洋にするどく突き出たその大陸の地形から、東アフリカのアフリカの角と呼ばれる地域を領域とし、事実上は独立国家として機能してはいるものの国際的に国家の承認はされていない状態の国です。
1991年にバレ大統領が追放されて以降は無政府状態となっていましたが、2012年8月には国際社会の後押しを得て正式に新政府が樹立されました。とはいっても依然として他の国家であると主張する政府が統治している地域もあり、現在の国土はソマリア連邦共和国政府が統治する南部と、北東部に位置するプントランド、北部に位置する旧英領のソマリランド共和国(国際的には未承認)と南西ソマリアの4つに大きく分割されています。
緑に恵まれたサバンナ地帯では多くの動物が繁殖しており、ソマリランドにしか生息しない固有種もいます。特徴的な動物としてはクーズーをはじめとするレイヨウ、ソマリノロバ(アフリカノロバの亜種)、イボイノシシ、ヒツジ(ソマリ羊と呼ばれる)など様々な動物が見られ、またブラオにはカラカルの世界最大の生息地があることでも知られており、鳥類や魚類にも多くの種類が見られる他種多少な生物に溢れた国でもあります。
ソマリアの気候
ソマリアの多くは砂漠で覆われているため年間を通して暑く、降雨は不規則なため乾燥した気候です。
首都であるモガディシュでは、夏は暑く、風が強く、冬は短く、暖かく、かなりの強風です。1 年を通して、気温は 24°Cから 32°Cに変化しますが、23°C 未満または 33°C を超えることは滅多にありません。
また、2つの季節風の間(10~11月と、3~5月の間)は "tangambili" と呼ばれ、蒸し暑い気候が続きます。ですが、モガディシュでは南西季節風と海風のおかげで5月から10月くらいまでの気候が穏やかで過ごしやすいとされています。
ソマリアは難民が多い
1988年から続く内戦による劣悪な治安状況や慢性的に続く飢餓の影響で、大量の難民が発生しました。国外へ難民として逃れたソマリア人は主にケニアなどの近隣諸国に逃れて生活を送っています。
彼らの多くは難民キャンプに滞在していますが、蔓延する伝染病、武装勢力による暴力的犯罪や無差別テロなどの脅威に常に晒されており、住民たちは極めて過酷な生活を強いられています。難民発生原因は戦争やテロなど色々ありますが、一番の原因は飢餓です。
ソマリアの通貨や物価は?
通貨はソマリアシリング(SOS)でソマリアシリングは1000ソマリア・シリング紙幣、1種類のみです。大量の偽札流通などで価値が急落しソマリア国内でもドルやユーロ、サウジアラビア・リヤルの方が流通しています。
現在ではソマリアから独立を宣言したソマリランドの通貨、ソマリランド・シリングの方が価値が高いとされており安定している状態です。
物価に関しては物や場所によりけりではありますが、日本よりも安く、コーラ(0.33リットル)は0.6ドル程度、ローカルレストランなどでは1食2ドル程度のところもあります。 出典元
渡航禁止の国ソマリアの治安は?旅行で行けるの?
ソマリアには海賊がいる
アデン湾とインド洋のソマリア周辺海域では海賊が横行しています。19ソマリア内戦が始まった1990年代初期頃から目立つようになり、近年には活動が活発化しており、商船にとっては大きな脅威となっています。
2013年頃からはソマリア沖及びアデン湾での海賊発生件数は激減しており、2014年以降は目立った被害も発生していない状態が続いていましたが、2017年ごろに数年ぶりにタンカーが乗っ取られる事件が発生し、2012年以来の大型船舶の被害として報道されたこともありました。
また、ソマリア人からすると海賊は高級車を乗っていたりと、お金持ちのイメージもあることか憧れの存在としている人もいるようです。
ソマリアにはテロ組織も!
ソマリア南部を中心に活動するイスラーム勢力で「アフリカで最も危険なテロ組織」と指摘する声も出ているアル・シャバブというテロ組織がソマリアに拠点に活動をしています。ソマリアで最も有力なイスラーム勢力であり、ソマリア南部で最も支配地域が広い勢力でもあります。
主な活動目的は、イスラム国家の樹立・ソマリア政府の打倒・アフリカ連合ソマリア・ミッション(AMISOM)部隊など外国軍部隊の排除としており、米国の支援を受けるソマリア政府を「背教政府」と非難し、同政府及び軍を主な攻撃対象としているほか、同国に駐留するAMISOM部隊など外国軍部隊に対してもテロを継続しています。
ソマリア国内だけでなく、近隣諸国でも多数のテロ攻撃や自爆テロを起こしており、非常に過激派の勢力と世界から危険視されています。
海外の会社はソマリアへの旅行ツアーを開催している?
現在、残念ながら日本の旅行会社からはソマリアへのツアーは開催されていないのですが、イギリスを拠点としているUntamed Bordersという旅行会社がソマリア旅行のツアーを開催しています。中東・アフリカをメインにツアーを組んでいる会社なので、心強いサポートが期待できます。
料金は1人あたり1250ドル(日取りによって変動する可能性あり)で、1人あたり400ドルのデポジットが予約の際に必要となります。
料金には含まれているものは、
- 宿泊施設
- 宿泊施設内での食事
- 空港への送迎
- ローカルフィクサー/翻訳者
- 2台の車によるセキュリティ
- ビザサポート
と安全な環境でソマリア観光ができます。詳しい内容は公式ホームページより確認してみてください。
Untamed Borders公式サイト
ソマリアへ旅行に行くのに必要なものは?ビザは必要?
ソマリアへ旅行する際にはビザが必要となってきます。上記で紹介した旅行会社を経由すれば、費用内のサポートとして含まれていますのでそろえてくれるでしょう。
国内は安全とは言えないため、セキュリティやガイドをつけて観光することをおすすめします。外国人というだけで狙われてしまうケースも多いようなので、1人で行動することは控えた方が良さそうです。
また、厳格なイスラム教の国なので女性が肌を露出することは厳禁とされています。スカーフや薄手の長袖、ひざ下までの長さのあるものを事前に用意しておくことをおすすめします。
日差しが強くシーズンによっては蚊が多いので、サングラスや虫よけスプレーを持っていると心強いです。
ソマリアへ旅行!行き方は?
飛行機でソマリアへ
飛行機でソマリアに行くにはトルコやドバイから乗り換えていく必要があります。目的都市や利用航空会社によってエチオピアやケニアでの乗り換えが必要な場合もありますが、ドバイからの直行便が各都市へ運航しています。
所要時間は乗り換えなしの場合で5時間未満で到着します。
陸路でソマリアへ
陸路からの場合、エチオピアのジジガからソマリランド国境近くの町、トグワジャレへ定期的にバスがでており2時間程度で到着できます。ッソマリア国内の移動は乗り合いのバスなどでの移動が便利です。
また、ジブチからも乗り合いタクシーが利用できますが、距離もあり20時間程度かかる場合もあるので、エチオピアからのアクセスが効率的です。
ソマリア旅行で気を付けること!
ソマリアでの写真撮影に注意
旅行に行ったからには写真撮影はしたいことの1つとも言えますが、場所によっては写真撮影が禁止されているところもあります。安全のためにもガイドの方に事前に確認してから撮影するようにしましょう。
特に軍事施設などは撮影が禁止のことも多いですし、教会などでも止められる場合があるので気をつけて撮影に挑んでください。
ソマリアはイスラム教の国
国教はイスラム教で国民のほとんどが信仰しています。特に女性は服装に注意する必要があるでしょう。現地では日本人というだけで目立ってしまう上に、日本人の服装はソマリア人にとっては珍しく目につきやすいです。
宗教上女性は髪を覆い肌を露出しないことが基本的な格好のため、現地に馴染む格好をするためにも露出の低い服装で行動することをおすすめします。
ソマリアでは旅行客も襲撃される可能性が!
ソマリアは地域によっては外国人というだけで犯罪の対象となってしまう場合もあるほど、危険な状態に巻き込まれる可能性が高い国です。外国人観光客に対する殺傷事件や誘拐事件も発生しているため、外を歩く際は護衛付きの現地ガイドと行動を共にすることが安全への近道です。
ソマリアと日本には国交がない
1991年にバレ大統領が追放されて以来、事実上政治が崩壊した状態になっていたため、日本はソマリアを国家として承認していないことから国交がない状態が続いていました。2012年に国際社会の後押しを得て新政府が樹立された以降は国家として承認しているため状態は変わりつつありますが、現在でもソマリア国内に日本の大使館はなく、ほとんど国交はない状態なので旅行の際にはこちらも頭に入れてきましょう。
ソマリアに旅行で行くならソマリランド!
ソマリア内でも比較的情勢が安定し、安全といわれているソマリランドは旧イギリス領ソマリランドを領土とする共和国で、旅行におすすめの場所です。
世界から位置づけとしてはソマリアの一部という認識をされていますが、ソマリランドの人々にとっては独立国家でソマリアとは別の国という認識です。
街の人々もフレンドリーでソマリアと比べると安全に楽しめる場所としておすすめしている人が多い場所です。比較的発展もしており、モバイルバンキングが主流に使われていたり、街を走る車のほとんどが日本車だったりと意外な一面を発見できるでしょう。
ソマリア旅行でおすすめの観光スポット6選!
では、ソマリアの観光地をみていきましょう。
ソマリアには、以下の観光地があります。
- リドビーチ
- バカラ・マーケット
- モガディシュ セントラル モスク
- 無名戦士の墓
- モガディシュ大聖堂
- ラース・ゲール
ソマリアの観光地①:リドビーチ
ソマリアはインド洋に面していることから、たくさんビーチがありますが、その中でもソマリア屈指のビーチがリドビーチです。観光地としても整備されていて、ここがソマリアであることを忘れてしまうような南国のリゾート地を思わせる平和的な情景が広がるソマリアの観光スポットです。
多くの人がここで海水浴を楽しんでおり、陽気でフレンドリーなソマリア人と出会えるスポットの1つでもあります。
リドビーチ
住所:Secondo Lido Beach
ソマリアの観光地②:バカラ・マーケット
ソマリアのローカルな人々の生活を体感できるスポットしておすすめなのが、バカラマーケットです。ソマリア国内最大級のマーケットは首都のモガディシュに位置し、日本ではなかなか目にすることのない魚や肉が売られています。
また、マーケット内にはもちろんソマリアの伝統的なものを取り扱うお土産さんもありますが、多くの物は中国から輸入したものが売られています。その中でも日本には売っていない珍しいもの探しをしたりして楽しんではいかがでしょうか。
バカラ・マーケット
住所:Bakaara Market
営業時間:8:00-18:00
ソマリアの観光地③:モガディシュ セントラル モスク
ソマリアでの主な宗教は上記でも述べたように、イスラム教が国教です。モガディシュ セントラル モスクは首都のモガディシュに造られた大きなモスクで10,000人の礼拝者を収容することができる場所です。
一時期内戦の際に封鎖されてしまいましたが、2008年に再開され2015年に改装されています。部分的には新しいパーツがあったりと1つの建物で新旧のイスラム建築を体感できるスポットとしておすすめです。
モガディシュ セントラル モスク
住所:Mosque of Islamic Solidarity
ソマリアの観光地④:無名戦士の墓
市内ダウンタウンに位置する、高くそびえ立つ無名戦士の墓「The Tomb of the Unknown Soldier」は石を積み上げてつくられた、名もなき戦死者たちを弔うための記念碑です。周囲には国旗が掲揚されたポールがあり、観光スポットの1つとして訪れる人も多い場所です。
ソマリアの歴史を感じられる、心打たれる場所にぜひ足を運んでみてください。
無名戦士の墓
住所:The Tomb of the Unknown Soldier
ソマリアの観光地⑤:モガディシュ大聖堂
イスラム教徒が大半を占めるソマリアの観光地としては意外と感じられる方も多いでしょうが、この大聖堂はソマリアが植民地時代だった際に、クリスチャンも過去には存在していた事を教えてくれる歴史的なスポットの1つです。1928年にかつてこの地を統治していたイタリアによって建てられました。
しかし、大聖堂の多くの部分が残念な事に一部の過激派によって破壊されてしまいました。現在見る事ができるのは、外壁部分など一部となっています。残された大聖堂の欠片からでも、ソマリアの情勢や過去にこの大聖堂がどれだけ大きく豪華な建物だったかを推測できる印象的な観光スポットとしておすすめします。
モガディシュ大聖堂
住所:Kaniisadda Katholiga
ソマリアの観光地⑤:ラース・ゲール
ラース・ゲールはソマリランド首都ハルゲイサの近郊農村地帯にある洞窟で、紀元前5千年頃のものと見られる洞窟壁画がある歴史的なスポットです。2002年にフランスの考古学チームにより発見され、動物と思われる絵画が今なお鮮やかな色彩を保ったまま残されています。
ソマリランドの中心都市ハルゲイサから約50キロ離れた場所に位置しているため、公共交通機関もないので車をチャーターする必要があるでしょう。また、ラースゲールに行くにはソマリランド商務観光省の許可証(25USドル)が必要です。
ラース・ゲール
住所:Laas Geel Jire
ソマリア旅行に行くときは治安状況をチェックしよう!
外務省発表の海外安全情報によると、ソマリア国土は全土にわたって真っ赤に染まっています。国土全てが「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」となっているので、どのようなような目的であっても新たな渡航は控えるよう警告されています。
その他テロや誘拐情報、感染症などの情報もチェックする事ができるので事前に必ず確認することをおすすめします。
外務省海外安全ホームページ
ソマリア旅行は危険?治安や物価、行き方は?おすすめ観光地6選!のまとめ
世界一危険だと言われるほどソマリアは危険といえます。
テロや部族間争い、外国人の誘拐などの恐ろしい事件が絶えず、旅行するには危険が伴う可能性も少なくありません。
しかし、美しいビーチや歴史を感じられるさまざまなスポットがあったりと、日本とは全く違う文化や歴史に触れられる魅力的な国でもあります。
危険であってもその魅力を感じに行きたい!という方はしっかりと事前に準備をし、十分な注意をはらって渡航するようにしましょう。